藤本健のDigital Audio Laboratory

第621回

Windows 10で、FLACとApple Losslessが再生可能!

プレビュー版でUSB出力などオーディオ周りをチェック

 この秋ごろにリリースされると言われている次期Windowsの「Windows 10」。Windows 9を飛ばしてWindows 8からWindows 10へと進化するわけだが、そのWindows 10の開発者用プレビュー版、Windows10 Technical Previewの最新版が1月21日にリリースされた。

Windwos 10

 これまでは英語版のみだったが、今回のTechnical Previewは日本語化された日本語版となっている。Technical Previewとしては今回が最後とのことだが。ユーザー登録さえすれば誰でも無料で入手することができるので、実際どんなものなのか試してみた。事前情報としてFLACやApple Lossless(ALAC)にも対応したらしい、ということを聞いていたので、実際に再生することができるのか、さらにはUSB Audio Class 2.0に対応して192kHz/24bitをUSBデバイスとして標準でサポートできるようになったのか……といったあたりをチェックしてみた。

期待のUSB Audio Class 2.0対応は……

 MicrosoftのサイトからWindows 10 Technical Previewを入手するに当たっては、大きく2種類の方法がある。一つは小さなインストーラのみをダウンロードしてから起動し、その先は本体をダウンロードしながらインストールを進めていくという方法。もう一つは約4GBのインストールディスクのISOファイルをあらかじめダウンロードし、そのISOファイルからインストールする、という方法だ。

Windows 10 Technical Previewのインストーラダウンロード画面
インストールディスクのISOファイルダウンロードも可能

 どちらでも結果は同じなんだとは思うが、できるだけクリーンな状態のマシンにしたかったので、後者の方法をとるとともに、現在のWindows 8.1の環境は引き継がない形でインストールを行なった。

現在のWindows 8.1の環境は引き継がない形でインストールした

 事前の4GBのISOファイルのダウンロードには15分程度を要したが、ISOファイルを開いてインストーラを起動してからは、非常にスムーズだった。基本的にはインストーラも日本語化されているし、戸惑う部分もまったくなくインストールが行なえ、トータル10分もかからないで完了。さっそく起動してみると、Windows 8の全画面表示のUIは消えてなくなり、Windows 7と同様のデスクトップ画面が立ち上がってくる。まあ、Modern UIがなくなったわけではなく、デスクトップPCであれば、デフォルトが従来同様のデスクトップ画面であるという言い方のほうが正しいのかもしれない。

Windows 10のデスクトップ

 スタートメニューも復活しており、これまでWindows XP、Windows Vista、Windows 7を使ってきた人にとっては、まず違和感のないものになっている。先日のニュースによれば、このWindows 10はWindows 7、Windows 8/8.1ユーザーには無償配布されるということだったが、起動した直後には、もう今すぐにでもWindows 8.1からWindows 10へ移りたいと思ってしまったほどだ。Windows 8.1のデフォルトのオレンジ色も気に入らないし、音楽ファイルをクリックすると、いきなり全画面モードに移ってしまい、元に戻れないなど、とにかくイライラだらけのWindows 8の問題点が、片っ端から直っているようなのだ。もっとも、筆者もWindows 8を導入してすぐにClasic ShellやStart Menu 8をインストールしたり、Modern UI系アプリへの関連付けを解除するなどして、なんとかWindows 7風に使っているわけだが、そんな苦労をする必要なく従来通りの使い勝手になるのは嬉しいところだ。

スタートメニューも復活

 そのWindows 10の詳細についてはPC Watchなどで、いろいろ詳しくレビューされているのでそちらに譲るが、デフォルトのウィンドウカラーは落ち着いた水色になっているし、ミュージックやビデオ、ストアなど、Windows 8で登場したModern UI準拠のアプリも、デフォルトでは全画面表示ではなく、小さな画面で表示されるのでデスクトップのUIからも違和感なく扱えるようになっている。そのことだけでも十分にWindows 10にするメリットがあるように感じた。もちろん、タブレットマシンで使うときのために、Windows 8と同じ雰囲気の全画面での表示モードも用意されている。

Modern UIのアプリも、デフォルトでは小さな画面で表示
全画面での表示モードも用意

 まあ、そうしたUIについてはさておき、さっそく本題に入っていこう。まず最初に試してみたかったのは、USB Audio Class 2.0に対応するようになったのか、という点。Mac OSXはもちろん、iOSも、そしてAndroidだって、USB Audio Class 2.0に対応しているのに、Windowsはこれまでサポートしてこなかった。ハイレゾブームなのは国内だけなのかもしれないが、Microsoftは本当にオーディオ系に真剣に取り組む気がないんだな……ということを象徴する事象だと思っているので、ここからチェックしてみたのだ。さすがにAndroidにまで負けることは、もうないだろう、と。

SSDをフォーマットした上で再度Windows 10をインストールしてみたところ、UR12もUS-4x4も認識しなかった

 ちょうど、最新のUSB Audio Class 2.0に対応デバイスとして、Steinbergのオーディオインターフェイス、UR12があったので、これを試してみたところ認識したので、「やった! 」と思ったのだ。また、これまで使っていたTASCAMのUS-4x4もしっかりと認識する。ところがほかのUSB Audio Class 2.0デバイスを試すとダメなのだ。もしかして、「Windows 8.1の環境は引き継がない」としてインストールはしたものの、フォーマットまではしていなかったので、Windows 8.1のドライバが引き継がれている可能性はありそう。そこで、一度CドライブであるSSDをフォーマットした上で、再度Windows 10をインストールしてみたところ、予想は的中。やはりぬか喜びだったようで、今度はUR12もUS-4x4も認識しなくなってしまった。これまでと何も変わっていないということのようだ。

ハイレゾのFLACとALACもOS標準プレーヤーで再生可能に

 ここで気を取り直して、FLACやApple Losslessを標準でサポートしたというの情報が本当なのかを試してみた。こちらのチェックはいたって簡単。FLAC、ALACのファイルをダブルクリックして確かめればいいだけだ。ご存じのとおり、これまでのWindowsではFLACもALACも標準ではサポートされていなかったため、foober2000やiTunes、AudioGateといったプレーヤーソフトをインストールして使っていたわけだが、これがどうなるのか。

 まずFLACのファイル(96kHz/24bit)をダブルクリックしてみると……、普通にWindows Media Playerが起動して再生された。確かに事前情報通りにFLACが標準サポートされたようだ。Windows Media Playerのプレイリストに追加することも可能であり、WAVやMP3、WMAなどと同じように扱えるようだ。プレイリストに組み込んだ場合、漢字に文字化けが生じていたが、この辺はそのうち改善されることだろう。もっとも、これまでもWindows Media Playerで再生するだけならFLACのコーデックをインストールすればできたわけだが、これでようやく普通に使えるようになったわけだ。

FLACのファイル(96kHz/24bit)をダブルクリックするとWindows Media Playerが起動して再生
Windows Media Playerのプレイリスト追加なども可能

 では、ALACはどうなのだろうか? 今回試したALACのファイル(96kHz/24bit)を見てみると、FLACとアイコンが違うことに気付く。これをダブルクリックするとWindows Media Playerではなく、Modern UIのミュージックが起動して、再生されるのだ。なぜ挙動が異なるのかが、やや納得のいかないところだが、とりあえずALACも標準サポートされて再生できることは確かなようだ。

ALACファイルアイコンは、FLACと違った
ダブルクリックするとModern UIのミュージックが起動して再生できた

 ここで試しにALACのファイルを右クリックして「プログラムから開く」を見ると、ミュージックだけでなくWindows Media Playerもあり、これで再生することができた。まだ、正式版ではなく、Technical Previewなので、この辺が整理されていないだけなのかもしれないが、デフォルトのアプリはALACだろうとFLACだろうと、WAV、MP3だろうと揃えておいてもらいたいところだ。

ALACは、Windows Media Playerでも再生できた

 ちなみに、この「プログラムから開く」の中にはWindows Media Playerとミュージックのほかにも、なぜかサウンドレコーダーも入っている。音楽ファイルに上書き録音などされたら、たまったものではないが、試しにこれを選んでみたところ、画面がちょっと違うだけで、問題なく再生できた。では、FLACのファイルも同じなのか? 改めてFLACのファイルを右クリックして、「プログラムから開く」を選ぶと、こちらにはサウンドレコーダーどころか、ミュージックも存在していない。つまり、FLACはWindows Media Playerのみで再生可能というわけなのだ。一方で、ALACのほうはWindows Media Playerのプレイリストには入れられないという違いもあるなど、ちぐはぐさも感じさせられる。いずれにせよ、FLACとALACの扱いにおいて何か違いがあるようだ。

ALACは、サウンドレコーダーでも再生できた
FLAC右クリックでは、サウンドレコーダーもミュージックも表示されなかった

 なお、Windows Media Playerのバージョンを見てみると12.0.98となっている。最新のWindows 8.1のWindows Media Playerは12.0.96なので、微妙に違いがあるのかもしれないが、基本的な機能はまったく変わっていないようだ。一方の、ミュージックのほうは2.6.653.0。こちらは明らかにバージョンアップしており、全画面でなくても動作するのが、最大のメリットかもしれない。

Windows Media Playerのバージョンは12.0.98
ミュージックのバージョンは2.6.653.0

ASIO/WASAPI周りもチェック

 オーディオに関してWindows 10 Technical Previewの標準状態でできるのは、この程度であり、それ以外は従来のWindowsと何も違いは感じられなかった。ということはASIOもWASAPIも従来通りであると思われるが、本当にこれまで通り動くのか。これについても簡単にチェックしてみた。

 まずfoober2000をインストールしたところ、何もトラブルなく入り、再生もできる。ここにWASAPI、ASIOのプラグインを追加したところ、これらも動作する。そこで前述のSteinberg UR12、TASCAM US-4x4のドライバをインストールしてみたところ、問題なく動かすことができ、またASIOドライバもしっかりと機能する。

foober2000をインストールすると、問題なく再生もできた
ASIOドライバも機能

 DAWであるCubase AI 7をインストールしてみたが、これも普通に動くし、コルグのAudio Gate 3.0をインストールしてDSDファイルを再生してみても、問題なく扱える。つまりオーディオ回りにおいては、FLAC、ALACのコーデックがサポートされたこと以外は、特に違いはないように見受けられる。

Cubase AI 7利用時
Audio Gate 3.0をインストールしてDSDファイルを再生したところ

 ここまでを見る限り、結局、Microsoftはオーディオなんてオマケ機能としか考えてないんだろうな、というのが正直な感想。Windows 10のリリースが秋だとすると、それまでは半年以上あるのだから、その間にせめてUSB Audio Class 2.0への対応くらいしてもらいたいところだ。そして、何よりも一番気になるのは、Windows Media PlayerやミュージックのWASAPI対応だ。以前の記事”第528回:「Windowsオーディオエンジンで音質劣化」を検証”などでも見てきたとおり、Windowsのオーディオエンジンを通す限り、音質が劣化するのは事実。Windows Media Playerのバージョンが変わっていないことを見る限り、ここにも進化がないと思われるが、もしかしたらMicrosoftがこっそりと対応を進めているのでは……なんて期待もしているところ。機会があれば、Windows 10 Technical Previewでどうなっているのかを検証してみようと思うが、ぜひこの点も合わせて、製品版登場までにはしっかりMicrosoftに対応してもらいたいところだ。

藤本健

 リクルートに15年勤務した後、2004年に有限会社フラクタル・デザインを設立。リクルート在籍時代からMIDI、オーディオ、レコーディング関連の記事を中心に執筆している。以前にはシーケンスソフトの開発やMIDIインターフェイス、パソコン用音源の開発に携わったこともあるため、現在でも、システム周りの知識は深い。  著書に「コンプリートDTMガイドブック」(リットーミュージック)、「できる初音ミク&鏡音リン・レン 」(インプレスジャパン)、「MASTER OF SONAR」(BNN新社)などがある。またブログ型ニュースサイトDTMステーションを運営するほか、All AboutではDTM・デジタルレコーディング担当ガイドも務めている。Twitterは@kenfujimoto