日沼諭史の体当たりばったり!
チキチキ45~49型4Kテレビ組立バトル。4製品をイッキ組みで見えてきた違い
2016年12月21日 08:00
手頃な価格帯に落ち着いてきて、入手しやすくなってきた4Kテレビ。特に40型後半あたりのサイズは、すでに別記事でも紹介している通り、画質と機能、値段のバランスが良いからか、売れ筋の商品となっているようだ。
クリスマスやボーナスシーズンを迎え、既存のテレビをアップグレードするべく4Kテレビを物色している人もいるはず。日々メーカーサイトの製品ページやカタログを開いてスペックを眺めながらワキワキしたり、店頭で画質を確認したりしつつ、どの製品を購入しようか比較検討していたりするのではないだろうか。
しかし、いくらじっくり見た目や機能・性能を比較しても、実際に自宅に届くまでわからないのが、テレビの組み立てのしやすさ。もちろん、家電量販店などでテレビを購入した場合、たいていはそのお店が提供している自宅への設置サービスも利用できるわけだから、組み立ての方法を知る必要はないとも言える。55型や60型を超えるようなより大きなテレビとなると、物理的に1人では運べず設置も困難を極めるから、そもそも自分でやりたくもない。
一方、40型台後半のクラスとなると、大きさはもちろん重量面でも1人、あるいはせいぜい2人いればなんとかなりそうな雰囲気だ。実際にあるメーカーの方の話では、最近は店舗で40型~50型クラスのテレビの持ち帰り購入も多く、店舗でも「自力で設置できるのか? 」と尋ねる人も多いのだとか。
そこで今回は、一人暮らしのワンルームから、ふつうのご家庭まで、幅広い層が満足できる値頃な国内メーカー4社の45~49型テレビを使い、実際に1台ずつ組み立てて、それぞれの体感的なセットアップのしやすさを検証してみた。組み立ての様子を記録した動画もぜひご覧いただきたい。
サイズ、重量、パーツ数、組み立て時間が要チェック箇所
今回検証に用いたテレビは以下の4台。実売20万円以下の40インチ台後半の4Kテレビをチョイスしている。
・パナソニック「VIERA TH-49DX750」
・東芝「REGZA 49Z700X」
・ソニー「BRAVIA KJ-49X8300D」
・シャープ「AQUOS LC-45US40」
これら4台を順番に組み立てて、その過程で体感的にどういう作業が楽もしくは大変か、あるいは組み立ての際のポイントとなる要素としてどういったものがあるか、などをチェックした。組み立て時に気にしておきたい主な項目は以下のような点になるだろう。
- 1.本体と梱包のサイズ・重量
- 2.組み立てるパーツ(ネジ)の数
- 3.組み立てにかかる時間
- 4.注意・特筆すべきポイント
なお、3つ目の「組み立てにかかる時間」については、梱包から解き、主に脚を組み立てて、テレビ台に載せて電源ケーブルを接続し、電源が入るまでのタイムを計測している。ただ、メーカーよりお借りした製品ごとに梱包の程度に差があった。新品同様のものもあれば、なんども貸出・梱包された箱になっていることもあって、後者の方がテレビ本体を取り出しやすいこともあり、組み立て時間としては有利になってしまっている。
いずれのモデルも組み立てに必要なのはプラスドライバー1本のみ。ただしモデルによって梱包テープを取り外す際にカッターが必要になる場合があったりなかったりで、そもそも実際の製品とは梱包のされ方が異なる可能性もある。組み立ての順番によって筆者自身の慣れが影響するところもあるので、あくまでも組み立てにかかった時間は参考程度に止めておいていただければ幸いだ。
ちなみに筆者の身長は約177cm。持ち運びのしやすさは両腕のリーチと肩幅(両腕を広げた時の左右指先間の長さは身長とだいたい同じくらいと言われている)にも関係してくるので、ここでの所感は筆者と同程度の体格の男性が組み立て作業した時の感覚と捉えていただきたい。
1台目:慣れのせい? 最速で組み立てられたパナソニック「VIERA TH-49DX750」
Firefox OSを搭載したHDR対応49インチ4Kテレビの「TH-49DX750」。こちらのモデルは実は以前お借りして組み立てたことがあり、梱包自体も緩い状態だったことから、かなりスムーズにセットアップを進めることができた。
本体重量はやや重い18kgではあるものの、49インチながら狭額縁ということもあって、十分に1人で持ち運べる大きさ。しかし梱包は今回の4モデルの中で最も幅があり、外箱両サイドにある持ち手部分に両手が十分に届かない(力が入らない)ため、箱に入った状態で1人で持ち運ぶのは難しい。購入して自宅に届いた時は、できるだけ配達の方にも協力してもらって、設置場所の近くまで運んでもらうのがおすすめだ。
組み立てが必要なパーツは大きなスタンド1つ、ステー2本、ねじ8本、電源ケーブル。パーツ数はやや多い方で、電源ユニット内蔵でケーブルが脱着式なのはこのモデルが唯一。ステーとスタンドを固定する皿小ねじと、ステーと本体を固定するナベ小ねじとで、色が同じで大きさも似ているため、区別が付きにくい。それさえ注意すれば、さほど時間をかけずに組み立てられるだろう。
タイムは以下の動画の通り7分19秒で、今回の4モデルの中では最速だった。とはいえ、本体を持ち上げて脚のステーに差し込む組み立て方法では、本体の重量もあるため、安全第一で2人で作業した方が良いかもしれない。もしくは、少し高さのある台を用意して、その上に本体を寝かせて脚を取り付ける方法も検討したいところだ。
2台目:梱包の工夫が光る、東芝「REGZA 49Z700X」
「Z700X」は、全チャンネル録画の「タイムシフトマシン」や、番組選びが容易になる「ざんまいスマートアクセス」といった利便性の高い独自機能を豊富にもつ49型HDR対応4Kテレビ。このモデルのみ梱包が新品で、タイトフィットかつ取り除くべき緩衝材の数も多かったこと、そして本来なら最初に取り除くべきサイドの緩衝材ごと本体を引き出そうとして苦戦したため、組み立て時間は9分35秒と一番長くなってしまった。
しかしながら、組み立てが必要なパーツの数は最も少なく、小さなスタンド2本、ねじ4本のみ。ステーはないので脚を直接本体に取り付けるだけと簡単だ。本体重量も15kgと軽めで、持ち運びや組み立てに必要な力は少ない。そして特筆しておきたいのが、梱包の丁寧さと、組み立てをサポートしてくれる梱包の構造だ。
まず、脚の取り付け時は本体を寝かせて作業することが前提となっており、本体を支えながらの作業は必要なし。寝かせながらの作業ではどうしても高さ(といっても10~20cm程度)のある台が必要となるが、Z700Xでは外箱自体を台の代わりに使うことが推奨されている。
さらに、本体にかぶせて傷から守る緩衝材は、一般的には柔らかい袋状のカバーのみであるところ、Z700Xの場合はカバーのディスプレイ面側にダンボールが貼り付けられ、梱包から取り出す時、台上に寝かせた時などに、画面をしっかり保護できる工夫がなされている。こうした配慮の行き届いた梱包は、製品を末永くきれいなまま使い続けたくなる。
3台目:薄型、軽量で持ち運びしやすいソニー「BRAVIA KJ-49X8300D」
「X8300D」は、スリムな奥行きが特徴の49型HDR対応4Kテレビ。今回の4モデルのなかでは唯一の「スカパー! 4K」チューナー搭載機種で、HDMI入力はHDR信号や転送速度18Gbpsにも対応している(2系統)。本体が薄いだけあって、重量も14.2kgと最軽量。ただし電源は外部ACアダプタを使う形になるので、このACアダプタも含めて考えると東芝のZ700Xと同等程度の重量になるだろう。
組み立てが必要なパーツは、大きめのスタンド1つ、ステー2本、ねじ6本、ACアダプター、電源ケーブルとなる。4モデルのなかではパーツは多い方だけれど、組み立てにかかった時間は8分56秒で、先にステーを本体に取り付けるか、脚に取り付けるかで迷うようなことがなければ、もっと短縮できていたと思われる。
スタンド部分の構造はパナソニックのDX750に近く、台を使わずに組み立てる場合は、やはり脚にステーを取り付けて、その上からテレビ本体をゆっくり降ろしてステーを挿入していく形がベター。本体重量は軽いためDX750ほどの力は不要で、1人でも全く問題なく作業できる。持ち運ぶのもかなり楽だ。ただ、ディスプレイ部が薄いので、本体の持ち運び時にはより一層慎重に取り扱う必要があるだろう。
4台目:スイーベル対応でも組み立てはカンタンなシャープ「AQUOS LC-45US40」
LC-45US40は、他と比べるとわずかに小さい45型のHDR対応4Kテレビ。映り込みの少ない「N-Blackパネル」を採用したディスプレイと、オンキヨーとの共同開発によるスピーカーシステム、独自の動画配信・ネットサービス「AQUOS City」などが特徴だ。45型ではあるものの、スタンドを含めた重量は今回の4モデルのなかで最も大きく、約20kg。サイズなりに箱はコンパクトであるものの、持ち運び時はソリッド感のある重さを感じる。
というのも、このLC-45US40のみ、スタンド機構がスイーベル対応で、画面の向きを左右30度まで簡単に動かせる。テレビ本体は16kgとそれほど重くはないが、スタンドが4.5kgある。画面を水平方向に向き変えできるスイーベルのための構造が重さにつながっているようだ。そのため、組み立てが必要なパーツも多い。大きめのスタンド1つ、取り付け金具1つ、スタンド取り付け部の目隠しカバー1つ、ねじ9本だ。
組み立てにかかった時間は、早くもなく遅くもない8分22秒。どこに何をどう取り付けるのかは分かりやすいし、スイーベル対応といっても組み立てに複雑な手順があるわけでもない。せいぜい、ねじが長いせいでねじ回しで多少手が疲れる程度だ。なにより、スイーベル機構はとても便利だ。
どれも10分かからず組み立て完了! 自力で設置すれば思い入れも強くなる?
結局、組み立て時間はモデルによって多少の差こそあれ、いずれも10分に満たない短時間で終えることができた。これが10分、20分という差になっていれば、明らかに組み立ての難易度が異なることになるが、全てが1、2分の差に収まっていることを考えると、スタンドの取り付けにかかる手間に関しては、ほとんど誤差と言える。
それなりに力が必要な場面もあり、基本的には2人がかりで組み立てるのが安全、確実だ。けれど、小柄な人は難しいところがあるにしろ、多くの男性なら1人でも問題なく作業できるだろう、ということは、実際に4台を組み立てて実感した部分でもある(しかしそれと同時に、これ以上の大画面テレビの組み立ては、1人では絶対に厳しい、ということも想像できたが……)。
作業する部分はほぼスタンド部分だけとはいえ、自分で組み立て、設置することで、我が家に新しく“家族”として加わるテレビにより一層愛着が湧く、ということもあるだろう。この年末に4Kテレビの購入を考えているなら、無理のない範囲で、自力組み立てにチャレンジしてみてはいかがだろうか。
49Z700X | TH-49DX750 |
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KJ-49X8300D | LC-45US40 |
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