小寺信良の週刊 Electric Zooma!

第662回

Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語

いよいよ発売! 4K対応ミラーレス、パナソニック「DMC-GH4」

プロも注目する4K動画の実力をチェック

4Kの目玉となるか

 今年1月のCESで存在だけは確認できた、4K動画が撮影可能なパナソニックのミラーレス「DMC-GH4」。もっとも当時は型番などは発表されず、展示はGH3をベースにしたモックアップだったが、2月に行なわれたCP+では動作実機を大量に展示、さらには拡張インターフェースユニットの「AG-YAGHG」も発表され、プロユースでも十分に機能が拡張できることが明らかになった。

 今年に入って発売されたコンシューマクラスで入手可能な4Kカメラとしては、ソニー「FDR-AX100」に続いて2機種目となる。店頭予想価格はボディ単体が17万円前後と、レンズまで一体になっているAX100よりは割高感はあるものの、すでにマイクロフォーサーズのレンズ資産があればすぐに使える。

 ソニーも今後発売予定の「α7S」で4K撮影が可能としているが、本体では収録できず、外部レコーダが必要となる。このことを考えれば、AX100とGH4の2モデルが、実質的にコンシューマでは今年の4Kレースを牽引すると言ってもいいだろう。

拡張ユニットのAG-YAGHG

 なお拡張ユニットAG-YAGHGはオープンプライスで、実売およそ20万円弱。GH4本体とAG-YAGHGをセットにしたAG-GH4Uもオープンで、実売約30万円前後となっている。

 プロ業界ではすでに4Kの収録や放送が視野に入ってきている段階だが、拡張ユニットの登場でGH4はプロにも注目のカメラとなった。今回もいつも通り静止画を全く撮影していない、動画のみのレビューであるが、さてその実力はどうだろうか。さっそく試してみよう。

ボディはGH3を踏襲

 まずボディデザインだが、基本的にはHG3と同等で、外観からわかる違いは少ない。目に付いたところでは、モードダイヤルにロックボタンが付いたところ、LUMIXロゴがゴールド地から黒地へ、といったところぐらいだろうか。

 だがもちろん中身は全然違う。撮像素子は有効画素数1,605万画素の4/3型Live MOSセンサーで、アスペクト比は4:3。カラーフィルターは原色だ。

ボディはほぼGH3と同じ
注目の4Kセンサー
モードダイヤル部分

 動画撮影モードは4K、1080p、720p、VGAがあるが、システム周波数によって若干違いがある。システム周波数とは、基本的にはNTSC圏(59.94Hz)かPAL圏(50Hz)かといった違いを設定するものだが、24Hzという映画向けの周波数も別途用意している。

 注目の4K撮影、59.94Hzでは3,840×2,160のUHDサイズだが、24Hzに設定すると4,096×2,160のDCIサイズでも記録できる。コーデックはMPEG-4で、ファイルフォーマット(コンテナ)はMOVとMP4が選択できる。音声はMOVはリニアPCM、MP4も原則リニアPCMだが、30pだけはAACでも撮影できる。

システム周波数 画質モード 解像度 FPS ビットレート
59.94Hz 4K30p 3,840×2,160 29.97p 100Mbps
4K24P 23.98p
24Hz C4K 4,096×2,160 24p
4K24p 3,840×2,160 24p

 記録するSDカードは、4K収録の場合はSDXCのUHS-I スピードクラス3(U3)規格のものが推奨されている。

SDカードスロットはグリップ側
4K撮影にはU3のカードが必要だ

 ビューファインダは約238万ドットのOLED(有機EL)で、GH3よりも解像度が上がっている。またフリーアングルの3.0型モニタも約104万画素と、こちらもスペックアップしている。

スペックアップしたビューファインダ
バリアングルモニターも健在

 ボディで最も違うのは底面だろう。拡張ユニット接続用として、2箇所に集合端子が設けられている。使用しない時はゴムで蓋ができるようになっている。

底部に2箇所の接続用集合端子がある
AG-YAGHG側。ここに底部端子がドッキング

 今回撮影では使用していないが、拡張ユニットAG-YAGHGもお借りしてみた。底部の集合端子2箇所と、側面のmicroHDMI端子の3箇所で接続するボックスで、HD SDI×4の4K出力が可能だ。内部のSDカード記録では、8bit/4:2:0までしか収録できないが、この出力からは10bit/4:2:2が得られる。外部レコーダを接続することで、プロクオリティの収録(あるいは中継用伝送)をやろうというわけだ。

GH4とドッキングしたところ
HD-SDI端子4本で4K出力可能。左端はタイムコード入力

 またXLRの音声入力も可能で、LINEとMIC、さらにファンタム電源出力のマイクに切り換え可能。背面にはオーディオのレベルメータも備えている。側面のHDMIは、単に本体出力のスルーが出るだけだ。

背面にはレベルメーターも
側面のHDMI端子はスルー出力用

 ただこのユニットを動かすためには、別途12Vの外部電源が必要だ。これは製品には付属しないので、別途自分で用意する必要がある。つまり、このユニットを付けると全体的にかなりオオゴトになるので、リグ組みなどをする必要があるだろう。

 従来この手のユニットはサードパーティが作る例が多く、せいぜい音声入力を拡張する程度だったが、カメラの内部に入り込んで高次元の映像出力を取り出せるのは、さすがメーカー純正である。

安定の4K撮影

 ではさっそく撮影である。撮影は非常に風が強い日でマイクが盛大にフカレているが、拡張ユニットを使わず内蔵マイクのみの集音ということで、ご容赦頂きたい。使用レンズは、LUMIX G X VARIO 12-35mm/F2.8 ASPH./POWER O.I.S.、LUMIX G X VARIO 35-100mm/F2.8/POWER O.I.S.の2本をお借りした。

 またちょっと古いレンズがあったほうが面白いだろうということで、筆者個人所有のExacta用Carl Zeiss Jena Tessar 50mm/F2.8をマウントアダプタ経由で使ってみた。柔らかい描写が特徴の、およそ60年前のレンズである。

Xレンズ2本を使用
Zeiss Jena Tessar 50mm/F2.8

 撮影モードはMP4の4K30pで行なっている。なおサンプル動画は、画質評価用は4K解像度だが、ほかはHD解像度にダウンコンバートしてある。

 今回はAFにかなり力を入れたということだが、確かに合焦は速くなっている。途中までは高速な空間認識AFで近寄り、そこから高精度なコントラストAFに移る。最後はコントラストAFなので、フォーカスポイントを行ったり来たりはするのだが、それもかなりのスピードなので、ストレスはない。

顔・瞳認識AFは、どっちの目にフォーカスしているかまでわかる

 人の顔については、顔・瞳認識AFが追加され、人物撮影に大きく貢献する。また追尾AFもアルゴリズムが新しくなり、動きベクトル検出も組み合わせるようになった。いつもの撮影で両方のモードをテストしてみたが、結果的にはあまり違いは出ないようだ。動きベクトルも、手前に近づいて来るのではあまり威力を発揮できないのかもしれない。

顔・瞳認識AFと追尾AFで比較したサンプル※フルHDに変換
af.mp4(82MB)

 ただ一般的な撮影では、AFモードが多彩なこともあり、フォーカスの心配はほとんどなかった。いざとなれば画面をタッチすればすぐにそこに合うので、一発本番の場面でもなんとかなる。また電子接点のないオールドレンズに付け替えれば、それだけでマニュアルフォーカスモードになるので、Fn3キーで拡大したり、画面右の矢印をタッチしてフォーカスアシスト機能を呼び出したりと、楽ちんである。

 録画ボタンも、動画モードにしておけば前のシャッターボタンで動画撮影になるので、間違って写真撮っちゃった、という事がない。いや、写真を撮る人にとっては変な気がするだろうが、動画しか撮らない人にとっては、後ろの押しづらい録画ボタンしか使えないのは逆スイッチの危険性もあり、怖いのである。その点、押しやすいシャッターボタンが録画ボタンになるのは、有り難いポイントだ。

 描画については、さすがにXレンズ、申し分ない解像感を叩き出す。一方Zeiss Jenaは、Xレンズに比べれば低コントラストだが、人物や木陰での撮影では独特の味がある。動画撮影でもパッと見ただけでレンズの質まではっきりわかってしまうあたりは、さすがに4Kである。動画サンプルのうち、どれがZeiss Jena撮影のものか、探してみて欲しい。

動画からの切り出しでも4Kならこのクオリティ
深度表現も十分
4K解像度のサンプル
4ksample.mp4(750MB)

 ボタン類やメニュー操作体系がGH3とほとんど同じなので、手慣れた操作でそのまま4Kに移行できるのもポイントだろう。8bit/4:2:0という縛りはあるが、本体だけで4Kが撮れる手軽さも大きい。

HDならではの機能も

 映像トーンのプリセットとして、フォトスタイルが8つ仕込まれている。カスタムはデフォルトではスタンダードと同じになっているが、いわゆるユーザープリセットである。各プリセットもメニューに入れば、コントラストやカラーがいじれるようになっている。

フォトスタイル サンプル
スタンダード
ヴィヴィッド
ナチュラル
モノクローム
風景
人物
シネライクD
シネライクV

 本機には4Kでは使えないが、HD解像度なら使える機能がいくつかある。その一つが、「EXテレコン」だ。これはLive MOSの読み出し範囲を変えることでよりアップを撮るための機能で、望遠側が足りないときに利用できる。

 撮影解像度によって倍率が変わるが、1080pでは2.4倍、720pでは3.6倍、VGAでは4.8倍に拡大できる。今回は1080pの2.4倍で撮影してみたが、多少解像感は下がるものの、2倍以上寄れることを考えれば、十分に使い出はある。

4Kモードではここまでしか寄れないが……
HDモードでEXテレコンを使えば2.4倍に

 もう一つ拡張された機能が、バリアブルフレームレート撮影である。GH3に比べると、より広範囲のバリアブル撮影に対応した。最低で2fps、最高で96fpsまでの11段階で撮影できる。スローモーションは、30pでは31%、24pでは25%となる。GH3では40%と48%までしかなかったので、これも大きなポイントだ。

31%スローで撮影したサンプル※フルHDに変換
slow.mp4(33MB)

 ただしバリアブルフレームレート撮影時はAFが効かず、マニュアルフォーカスのみになってしまう。高速にセンサーを駆動させると、AFの余裕がないということかもしれない。

4K編集用マシン、MausePro W720DF9X

 さて、今回は4Kの編集マシンとして、マウスコンピューターの4K編集用ワークステーションとして販売されている、MousePro Wシリーズの「W720DF9X」をお借りした。CPUはIntel Xeon E5-2620v2プロセッサ×2で、12コア24スレッド、メモリは64GB、グラフィックスカードにAMD FirePro W9000を採用、ディスクドライブは256GBと512GBのSSDと、3TB×2のRAID-0というハイスペックマシンで、価格は1,098,000円だ。BTOで選択すれば、Xeon E5-2690v2×2で、なんと20コア40スレッドという構成も可能だ。

 高解像度編集用に、6GBのビデオメモリを搭載したFirePro W9000を標準で搭載している。筐体の内部スペースには余裕があり、FirePro W9000やQuadro K5000といったより大型のビデオカードも搭載できるという。内部に余裕があるため、ハイスペックな割には動作音も静かだ。

内部。拡張スロットが豊富で、キャプチャカードなどの増設も可能だ
Xeon E5-2690v2×2で、20コア40スレッドという構成も可能なCPU
内部空間にはかなり余裕がある

 AMD FirePro W9000は、マイクロディスプレイポートが6つある。4K2K解像度の6画面同時出力も可能だ(6画面時は30p/3画面同時では60p)。今回は変換コネクタを使ってDVI-Iのモニタ2台と、HDMIのテレビを1台接続した。

グラフィックスカードはAMD FirePro W9000
マイクロディスプレイポートが6つ
ディスクドライブ部。東芝製の256GBと512GB、さらに6TBのHDDもRAID-0構成で搭載。BTOでSSDやRAIDのカスタマイズメニューが自由に設定可能だ

 EDIUS Pro7で4K編集したが、パワフルなマシンだけあり、編集操作のレスポンス自体は快適だった。ただ、クリップの再生時に多少ひっかかった。おかしいと思いEDIUS側で、コマ落ちしたら停止するよう設定してみたが、再生は止まらないので、EDIUS側はコマ落ちしていると認識していない様子。パフォーマンスモニタで見ると、CPUもディスクドライブもまだ余裕があるようなので、EDIUSとグラフィックスカードやドライバの相性かもしれない。

総論

 GH3も動画撮影用としてかなり完成されたカメラだったが、GH4は同じボディサイズながら4K撮影と本体収録を実現した。フレームレートが30p止まりなのは残念ではあるが、それはソニーAX100も同様であり、コンシューマ機ではしばらく4K30pが主流になるのかもしれない。

 マイクロフォーサーズ機としてはボディはかなり大型なので、普通に静止画のカメラとして選ぶならもっと他にも選択肢はあるだろう。だが4K動画の本体収録ができるデジタル一眼となると、本機しかない。放熱処理もなかなか上手くできており、撮影中にどこかが熱くなるようなこともなかった。

 4Kで不安視されるのが、現場のモニタではフォーカスがよくわからないという点だ。これは多彩なAFとフォーカスアシストでかなりの部分はクリアできるだろう。ただ、追従させていてもたまにちょっとズレる事もあるので、AFロックを上手く使う必要がある。

 それよりも大変なのは編集環境で、フォーカスの外れたところを避けて編集するためには、4Kモニタとまではいかなくても、HDでもかなり大きなサイズのモニタを繋いだ方がいい。ただ各モニターのカラーマネージメントなど、トータルでの作業環境構築は、調整ツールの有無も含めてまだ十分なレベルとは言えない。GH4にも3種類のカラーバー出力が搭載されているが、そもそも民生機の世界ではカラーバーで調整できるようなモニタが少ないのも一つの課題である。

 4Kデジタル一眼は、もっと大仰な格好で出てくるのかと思ったが、従来通りの操作性であっさり4Kが撮影できる点は、ユーザーにすれば最初からハードルを上げずにチャレンジできるわけだ。また、拡張ユニットはプロユースを目的としているあたり、動画カメラもいよいよプロとアマの垣根がなくなってきているのを感じる。

 4Kの映像制作は、プロでもまだぼちぼち始まっている程度だが、コンシューマ機でこれだけの絵が撮れてしまうあたり、およそ10年前のHDの黎明期とは状況がまったく違っているのを感じる。

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小寺 信良

テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「難しい話を簡単に、簡単な話を難しく」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンテンツのフィールドで幅広く執筆を行なう。メールマガジン「小寺・西田の『金曜ランチビュッフェ』」( http://yakan-hiko.com/kodera.html )も好評配信中。