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4Kで“本物”を目指す「AQUOS UD1」。LC-60UD1を8月発売

60型もTHX 4K認証取得。均一性にこだわり

AQUOS UD1シリーズ

 シャープは22日、4K対応液晶テレビ「AQUOS UD1シリーズ」の報道向け説明会を開催。8月10日発売予定の60型モデル「LC-60UD1」の実機を披露するとともに、同社の4Kテレビへの取り組みを説明した。

 AQUOS UD1シリーズは、3,840×2,160ドット/4Kモスアイパネルを採用したAQUOSシリーズの最上位機種。米THXによる「THX 4Kディスプレイ」認定を取得したほか、大型スピーカーの内蔵など、AQUOS最上位機として映像/音声/機能にこだわっている。6月15日に70型の「LC-70UD1」(実売約85万円)を発売済みだが、60型の「LC-60UD1」が8月10日に発売される。LC-60UD1の店頭予想価格は65万円前後。

“均一性”が4K AQUOSの最大のこだわり

LC-60UD1

 基本的な仕様は60型も70型も共通で、解像度3,840×2,160ドットの4Kモスアイパネルを採用。バックライトはエッジ型のLEDで、テレビコントラストは1,000万:1、視野角は上下176度、左右176度。120Hzの倍速駆動パネルを採用する。

 また、外光や照明などの反射を大幅に抑えるモスアイパネルを採用。映り込みを抑えることで、高精細な4Kコンテンツの微妙な明暗までをくっきりと再現する。映像エンジンは、「AQUOS 4K-Master Engine PRO」で、入力信号をリアルタイムに分析し、映像のディテールを適切に復元し、地デジやBlu-rayの映像も4Kの臨場感ある映像で表示するという。

LC-70UD1(左)、LC-60UD1(右)
LC-60UD1
4Kモスアイパネルを採用
AQUOSの画質を担当する小池氏

 画質面での特徴は、均一性(ユニフォーミティ)。エッジ型のLEDバックライトを採用しながら、画面の中央から上下、隅などエリアごとの輝度のムラを極力抑えているという。同社の液晶パネル技術のほか、輝度ムラを抑える光学制御技術を搭載。画面の明るさを均一に保ち、忠実な階調表現や臨場感の向上を図ったという。多くの液晶テレビ上位機で搭載しているLEDのローカルディミング(部分駆動)に対応しない点も、均一性を高めるためとのことだ。

 AQUOSの画質設計を担当する小池氏は、画面の均一性については、「他社にはできないこと」と自信を見せる。均一性にこだわった理由は、「奥行き感」と「立体感」の実現のためという。

 高い均一性を保ったパネルで4Kの解像度を活かすことで、特に映像の“奥行き感”に大きな違いが出ることを紹介。実際にフルHDのAQUOSとくらべて、BDコンテンツなどで飛行機と地面との奥行きや、夜のビル街を俯瞰した映像におけるそれぞれのビルの前後感などが極めてわかりやすく、リアルに感じられた。

 こうした均一性へのこだわりは、THX 4Kディスプレイ取得にも役立ち、エッジ型のLEDバックライトでは取得が難しいとされていた同認定の400を超えるテスト項目をクリア。当初発表していた70型のLC-70UD1だけでなく、60型LC-60UD1でもTHX 4Kの認定を取得した。

THX映画モード
LC-60UD1もTHX 4Kディスプレイを取得

4Kで“本物を追求”。アナログ的な表現へ

アナログ的な映像表現を、SACDを例に解説

 小池氏は、AQUOS UD1シリーズなど同社4Kテレビの画質の方向性を「本物の追求」と説明。そのため、販売の現場においても、これまでのフルHDテレビとは違った訴求を行なうという。

 これまでは、4原色のクアトロンパネルで「色鮮やか」や、(LED部分駆動技術の)ローカルディミングにおけるコントラストや画質のインパクトなど、ある意味「ファーストインプレッション重視」(小池氏)の部分もあったという。

 しかし4Kでは、画素数を活かした線の美しさや、解像度と均一性を活かした奥行き感、立体感など「ファーストインプレッション重視でなく、本物の見え方を店頭で訴求したい」という。小池氏はフルHDと4Kの画質について、音楽CDとSACDの違いに例えて紹介し、4Kで目指す方向を「解像度を活かしたアナログ的な表現」とした。

店頭用に「高精細」モードを新搭載

 そのために、従来は店頭展示用に輝度が明るく、派手目の画作りの画質モード「ダイナミック」を用意していたが、AQUOS UD1シリーズでは廃止された。代わりに「高精細」というモードを追加。これは「標準」モードの輝度を単に上げただけで、他のパラメータは変えない。そのため店頭では「地味に見える」という。ただし、4K AQUOSの“良さ”を店頭でも知ってもらい、きちんと説明するためには高精細モードのほうが伝えやすいと考え、採用したとのこと。

 小池氏は、「(4Kを)いままでとは全然違うテレビとして知ってほしい。海外のメーカーが4Kで日本の市場に参入して来た際にも、“本物の見え方”をするテレビが日本メーカーの価値。それを店頭で知ってほしい」と訴えた。

接地性を向上し、買い替え需要を狙う

2006年の52型の設置スペースに60型を設置可能。60型はソニーの65型より横幅は小さい

 AQUOS UD1の最大の訴求点は4Kの画質だが、それ以外にも大画面テレビとしての魅力をアピール。4Kにより大画面になるほど目立つ「画素の粗さ」を解消できること、外光反射などの「映り込み」をモスアイで解消したこと、そして「設置スペース」についても5年ほど前の液晶テレビより大幅に小型化していることを紹介。かつての大型テレビの導入ユーザーの買い替え需要を狙う。

 設置スペースについても、新開発のアンダースピーカーの採用で小型化を図ったことで、同社の2006年の52型液晶テレビとほぼ同サイズで、60型を実現できることなどから、積極的にユーザーの買い替えを促していく。

 音質も強化。スピーカーはアンダースピーカー型で、10W×2ch+15Wの2.1chフロントサラウンドシステム。ミッドレンジとツィータは前向きに配置し、テレビ本体とは独立したボックス構造を採用。低音は、2つのウーファを向かい合わせに配置することで共振を抑える「DuoBass」で、低音再生を強化した。

2.1chスピーカーを搭載
独立したスピーカーボックスを装備
簡単フォトフレームとしても訴求

(臼田勤哉)