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低価格化が期待されるLTHタイプのBD-Rが販売開始
-初値は1,000円台前半。PLAYSTATION 3では再生できず


左から三菱化学メディアの「VLR130N5」、太陽誘電の「BR-V25WTY5P」。どちらも5枚組みタイプ
2月26日発売開始


 MPEG-4 AVC/H.264での録画機能や、各社からのダビング10対応予定のアナウンスなどがあり、昨年末から本格的に立ち上がってきたBlu-ray Discレコーダ市場。だが、いざ購入してみると、DVDメディアと比べ、BDメディアはまだまだ高価。「メディアが高いので書き出しを控えている」という読者も多いだろう。

 秋葉原で実施している毎月のBD/HD DVDメディア価格調査では、2月7日の時点で録画用BD-Rの最安値が単品で499円、5枚組で3,180円という状況。これは台湾製メディアのRiDATA(70L5EKRDA0002)の価格であり、国内メーカーのものは低価格なものでも1枚900円程度、4倍速対応のものでは最安値でも1枚1,380円(ソニー/BNR1DBSJ4)という状況だ。

 そんな中、低価格化が期待される「LTHタイプ」のメディアが26日から登場した。三菱化学メディアの「VLR130N5」と、太陽誘電の「BR-V25WTY」だ。なお、同じLTHタイプのメディアとして日立マクセルも「BDR25VL.1P」を発表しているが、こちらは少し遅れて3月上旬の発売が予定されている。

左が三菱化学メディアの「VLR130N5」、右が太陽誘電の「BR-V25WTY5P」。どちらもパッケージに「LTH TYPE」と明記されている 3月上旬発売予定の日立マクセル「BDR25VL.1P」。単品で店頭予想か各は1,000円前後の見込みだ

 発売日の翌日である27日、新宿のヨドバシカメラ、ビックカメラと、秋葉原のヨドバシカメラ、ファーストメディアショップの4店舗で確認したところ、新宿のヨドバシカメラと秋葉原のファーストメディアショップで販売を確認した。27日午前中時点の、各店舗の価格は下表の通り。

種類 確認したメディア 枚数 【新宿】
ヨドバシカメラ
マルチメディア新宿東口店
【秋葉原】
ファーストメディアショップ
録画用BD-R
1~2倍速対応
片面1層 25GB
太陽誘電
BR-V25WTY
1枚 1,000円 1,280円
太陽誘電
BR-V25WTY5P
5枚 4,700円 5,680円
三菱化学メディア
VLR130N5
5枚 3,980円

 流通量がまだ少ないこともあり、従来の無機記録層のメディアとあまり価格は変わらないようだ。なお、LTHのメディアには4倍速対応のものや、片面2層のもの、BD-REメディアはまだ発表/発売されていない。

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【2月19日】太陽誘電、LTHタイプのBD-RでBlu-rayメディア市場に参入
-録画用5枚パックで4,000円半ば。「BDも日本製」
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【2月19日】三菱化学とマクセル、LTHタイプの録画用BD-Rを発売
-有機色素を採用し低価格化。実売1,000円/枚
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080219/bdlth.htm
BD/HD DVDメディア価格調査【秋葉原】【2008年2月7日】
~ 単品最安がBD-R 499円、BD-RE 968円に ~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20080207/ps_disc.htm


■ LTHメディアとは?

 LTHメディアとは、2007年春に「Blu-ray Disc Recordable Format Ver.1.2」で採用された記録方式「Low to High」(LTH)に対応したメディアのこと。記録膜に有機色素を使っているのが特徴で、“有機色素系BD-R”とも呼ばれている。レーザー光の当たった部分の記録層の性質を化学・物理変化させることで、記録後に、低い反射率から高い反射率に変わることから「Low to High」と名付けられている。

 生産コストに優れる有機色素はこれまでも、DVD-RやCD-Rなどの追記型メディアで使われ、DVD-RW/RAMなどの書き換えメディアでは無機材料が使われてきた。従来販売されているBDメディアにはいずれも無機記録層が使われていたが、LTHメディアの規格が策定されたことで、有機色素のBD-Rが生産できるようになったというわけだ。

 DVD-Rなどの生産で培った技術がBD-Rでも活用できるほか、有機色素のBD-Rは、既存のCD-R、DVD-Rの塗布型製造設備を一部改造するだけでBD製造ラインに転用でき、大規模な設備投資が不要であることも、ディスクの低価格化に繋がると言われている。有機色素のディスクをメインに手掛けてきた太陽誘電がLTHタイプのBD-Rで初めて、Blu-rayメディアに参入したのもこうした理由からだ。

両メディアとも、記録面は緑が強めのゴールド レーベル面はどちらもシンプル。しかし、ここにも「LTH TYPE」と明記されている 三菱化学のケースは白一色。太陽誘電のケースは紺色を基調としたシックなデザイン

 しかし、従来のBDには無機材料のメディアしか無かったため、互換性の問題が発生する。BDレコーダではソニーと松下電器が2007年末にファームウェアのアップデートで対応。具体的にはソニーは「BDZ-X90/L70/T70/T50」。松下は2007年発売の「DMR-BW900/BW800/BW700」と、2006年の「DMR-BW200、DMR-BR100」の5製品でサポートするほか、3月28日発売のシングルチューナ搭載新モデル「DMR-BR500」もLTH対応となっている。

 なお、シャープでは「BD-HDW15/20」を「LTH対応予定」とアナウンスしているが、太陽誘電では自社LTH BD-Rの製品情報ページにて、対応レコーダとして「BD-HDW15/20」も挙げている。

太陽誘電の背面。使用機器のLTH対応状況を確認するよう、注意書きが書かれている 三菱化学メディアの背面。こちらには対応BDレコーダの機種名が明記されている

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■ 現時点でPS3では再生できず

 三菱化学メディアの「VLR130N5」と、太陽誘電の「BR-V25WTY」を、編集部の「DMR-BW200」でテストした。対応モデルであるから当然だが、どちらのメディアもデジタル放送のムーブや、ライティング後の再生は問題無く行なえた。

DMR-BW200では録画/再生とも、問題なく行なえる

 しかし、そのディスクをPLAYSTATION 3(ファームウェア Ver 2.10)に挿入したところ、どちらのメディアも再生できなかった。画面に波紋のようなディスクローディングマークは表示されるが、「ビデオ」メニューにメディアは表示されず、認識していない様子だ。

PS3でテスト。ローディングマークは表示されるが、ディスクは認識されない

 なお、この件についてソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンに聞いたところ、「PS3はLTHに対応しておらず、今後の対応は検討中」との回答だった。今後サポートされる可能性はあるかもしれないが、現時点で、BDレコーダで録画したディスクをPS3で再生しようと考えているユーザーには注意が必要だ。

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【2007年11月8日】【RT】「新型PS3の秘密」と「これからのPS3」
- SCE平井社長に聞く39,980円の理由」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20071108/rt046.htm

□三菱化学メディアのホームページ
http://www.mcmedia.co.jp/japanese/index.html
□ニュースリリース
http://www.mcmedia.co.jp/japanese/news/press/0070.html
□太陽誘電のホームページ
http://www.ty-top.com/
□製品情報
http://startlab.co.jp/products/ad/BD-R/index.html
□日立マクセルのホームページ
http://www.maxell.co.jp/jpn/
□ニュースリリース
http://www.maxell.co.jp/jpn/news/2008/news080219.html

(2008年2月27日)

[AV Watch編集部/yamaza-k@impress.co.jp]


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