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スタジオのスピーカーも鳴らす「Xperia XZ」。ハイレゾ再生が着実に進化

 スマートフォンのXperiaユーザーに向けたロイヤルカスタマーイベント「au x Xperiaオーナーズパーティー」が、東京・港区のソニー・ミュージックエンタテイメント(SME)乃木坂スタジオで13日に開催。この中で、ソニーモバイルコミュニケーションズが、ハイレゾ音楽再生に対応したXperiaシリーズの特徴や、ハイレゾコンテンツの普及などの取り組みが紹介された。

ソニー・ミュージックエンタテイメント乃木坂スタジオで開催

 同イベントはKDDIが主催するもので、Xperiaの長期ユーザーを対象として、抽選で参加権を得たユーザーが来場。ハイレゾコンテンツを配信するレーベルゲートとソニー・ミュージックエンタテイメントの協力により、ハイレゾの高音質をユーザーが体感した。

 同スタジオでは、CDや配信ファイルになる前のマルチチャンネル録音を行なっており、JUJU、平井堅、浜田省吾、Little glee monster、西野カナ、欅坂46、押尾コータロー、ケイコ・リーといった多くのアーティストがこの場所でレコーディングなどを行なっている。

イベントが行なわれたスタジオ

 長年のXperiaユーザーである来場者に向けて、最初にスタジオのスピーカーで聴くのが実際にどんな音なのかを紹介。しかし、実はプレーヤーはスタジオの業務用機材ではなく、Xperia XZのヘッドフォン端子から出力した音声だということが明かされ、スタジオのスピーカーでも問題なく鳴らせるといった音質をアピール。

Xperia XZのヘッドフォン出力から、スタジオのスピーカーで音を聴いた

 続いて、ソニーモバイルの開発担当者が、Xperia XZの高音質について解説した。スマートフォンは、電話や無線LANのアンテナなどノイズにさらされやすいが、そうした中でも、左右のどちらから音が出ているかといった音のセパレーションや、高い周波数から低い周波数、微細な音まで表現できるといったハイレゾの特徴を、ヘッドフォンジャックからユーザーに届けるために、アナログ変換後の音質が重要であることを強調。Xperiaは早くからハイレゾ対応を実現しており、デジタル部分はノイズキャンセリングに対応した点など以外、大きな進化は無いように見える一方で、アナログ部分については、ソニーがこれまでレコードやテープなどのオーディオで培ったアナログの技術の積み重ねがXperiaにも活かされており、特に新しいXperia XZは「今まで以上にハイレゾの部分が良くできた製品」と自信を見せた。

 アーティストがハイレゾについて語るXperiaのテレビCMにも出演している、バイオリニストのAyasaさんが登場。生演奏を披露した。AyasaさんはXperia X Performanceを愛用し、レコーディングした音の細かな部分までチェックできる点などを紹介し、Xperiaを「無くてはならない存在」と評価した。

バイオリニストのAyasaさんが生演奏を披露

ハイレゾ対応Xperiaの販売は累計約1,000万台。ユーザーは半数が高音質重視

 報道陣には、スマートフォンによるハイレゾの拡大に向けたソニーモバイルの取り組み、同社マーケティング部 統括部長の杉山博康氏から紹介された。ソニーグループ全体でハイレゾ普及を推進する中、ソニーモバイルは「スマートフォンでハイレゾの高音質を手軽に体験できること」によって、ハイレゾの裾野の広がりを図っている。

ソニーモバイルマーケティング部 統括部長の杉山博康氏

 2014年のXperia Z3以降、ソニーモバイルはXperiaシリーズでハイレゾ再生に対応しており、これまでハイレゾ対応モデルの販売数は累計約1,000万台。'15年10月末時点の431万台から、'16年10月末時点で2倍以上の944万台に達している。

ハイレゾ対応Xperiaの販売台数

 ソニーモバイルの調べでは、スマホで音楽をよく聴く人は約1,360万人(スマホ契約者の約8,000万人×スマホで音楽をよく聴く比率の約17%)。スマホで音楽を聴く人において、Xperiaと他製品のユーザーで違いがあり、Xperiaユーザーで「音質が良い」ことを重視する人は49%(他社製品は29%)、「ハイレゾ楽曲が楽しめる」は28%(同7%)だったという。

Xperiaユーザーは高音質を重視

 同社はテレビCMにおいても、ハイレゾについて語った内容のコンテンツを'15年夏以降にオンエア。CMに出演した演奏家の様々な声を「VOICES」として、音楽配信サービスのmoraにおいてハイレゾ音質で無料配信している。前述したバイオリニストのAyasaさんの音源も用意されている。

 これまで、moraで配信しているハイレゾ楽曲を体験できるイベントには、累計約3万人が参加。また、'15年のXperia Z3以降は、ハイレゾ促進のプロモーションを実施し、ミュージッククーポンの配布などを行なうなど、ハードとコンテンツが協力してハイレゾ普及に取り組んできたという。

CM出演アーティストの「VOICES」をハイレゾで無料配信
mora配信のハイレゾ楽曲体験イベントなどを実施

 moraを運営するレーベルゲート 配信ビジネス部の中川雄策氏は、ソニーモバイルとともに、ハイレゾ楽曲のプレゼントキャンペーンや、Xperia関連情報アプリの「Xperia PRESS」でのアーティストのインタビュー掲載などで協力。

レーベルゲート 配信ビジネス部の中川雄策氏

 moraでハイレゾ配信を始めてから3年目に入り、これまでもハイレゾ対応Xperiaの新機種投入後に、楽曲の売上も上昇してきた事例を紹介。3年間でハイレゾのアルバム売上は7倍、単曲売り上げは39倍に上昇し、「スマホでハイレゾが定着しつつある」とアピールした。

moraのハイレゾダウンロード数の推移
アルバム売上と単曲売上の増加

 今後は、8月から開始されたレコチョクやauうたパスでのハイレゾ配信により、より幅広い層への市場拡大が期待できるとしたほか、最近の取り組みとして、e-onkyo music、Victor Studio HD-Music.、OTOTOYとともに実施するアワード「ハイレゾ音源大賞」を紹介。12月は、オーディオマニアとしても知られるアナウンサーの小倉智昭氏をセレクタ―として迎え、27日に結果を発表する予定。

「ハイレゾ音源大賞」を開催

 音楽制作の現場からは、ソニー・ミュージックコミュニケーションズ スタジオカンパニースタジオオフィス レコーディング&マスタリングエンジニアの鈴木浩二氏が、ハイレゾへの取り組みを紹介。

ソニー・ミュージックコミュニケーションズ スタジオカンパニースタジオオフィス レコーディング&マスタリングエンジニアの鈴木浩二氏

 「サウンドエンジニアは、アーティストの想いをどんな環境にも届けられるようにしている」とする鈴木氏は、普段からスタジオの機材だけでなく、ユーザーの環境に近い、Xperiaやウォークマン、小型アクティブスピーカー、イヤフォンなどでも聴いて音質を確認していることを説明。「Xperiaなどのスマートフォンで、ハイレゾ楽曲の購入からリアルなハイレゾオーディオをダイレクトに堪能できるようになったのは、我々作り手にっとてうれしいこと。アーティストは強い想いをもって制作しており、ハイレゾによって表現の幅が広がり、繊細な部分まで伝わると、アーティストからもよく聞いている」と述べた。