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“究極”を目指した。薄さ3.9mmで明るさアップ「新LG OLED TV」。Dolby Atmosサウンド

 LGエレクトロニクス・ジャパンは、有機ELテレビ「LG OLED TV」の2017年モデル3シリーズ4モデルを4月上旬より発売する。価格はオープンプライス、壁に貼りつけるようなデザインの最上位モデル「OLED 65W7P」は65型で店頭予想価格は100万円前後、ガラスと一体になったようなデザインの「OLED 65EP7」は65型で同80万円前後。薄さを生かした「C7P」は65型の「OLED 65C7P」が70万円前後、「OLED55C7P」が50万円前後。

OLED 65W7P

 有機EL(OLED)パネルや映像エンジンは共通だが、デザインやオーディオシステムの違いで、3シリーズ展開。有機ELならではのテレビの使い方を提案する。

 最上位モデル「OLED 65W7P」は、薄さ3.9mmとスリムさを追求したディスプレイ部と、チューナや映像処理回路、スピーカーなどを統合したコンパニオンボックスから構成した「Picture On Wall」デザインを採用。「壁にかかった一枚の絵のようなデザインを目指した」という。なお、パネルとコンパニオンの間は、専用のケーブルで接続する。

OLED 65W7P
パネル部とコンパニオンボックスは専用ケーブルで接続

 OLED E7Pは、ガラス製のバックカバーの上に壁紙のような極薄パネルを一体化した「Picture on Glass」デザイン。有機ELならではの格調の高さを目指したという。

OLED 65E7P

 OLED C7Pシリーズのみ、55型と65型を用意。最薄部は4.6mmで、横から見ると1枚のブレードのような「Blade Slim」デザインを採用。背面から見ても美しくみえるようデザインした。

OLED 65C7P

新OLEDパネルで高画質化。Dolby Atmosも

 新世代の4K/3,840×2,160ドット有機EL(OLED)パネルの採用により、画質を向上。画質面では、'17年モデルはピーク輝度を25%向上。これは発光効率の向上や、カラーフィルタの光透過率向上などの組み合わせにより実現している。加えて、輝度レベル(APL)が50%以下のシーンでの輝度処理を見直したことで、よりコントラスト感を向上した。

輝度は25%向上
APL 50%以下の映像もコントラスト感を改善

 輝度やコントラスト表現力の向上により、ダイナミックレンジも21 Stops('16年モデルは20 Stops)まで拡張。明方向の1 Stopsはパネルの輝度が主因だが、それにあわせて映像処理も見直し、HDR映像の表現力を向上。「夜の星から真昼の太陽まで、迫真のリアリティを実現する」という。また、'16年モデルで指摘された暗部階調部のノイズについても、新開発のノイズリダクションなどを盛り込み改善しているという。

ダイナミックレンジは21 stops
暗部階調表現力も改善

 映像処理技術「True Color Accuracy」も導入し、色再現性を約6倍に拡張。広色域規格のBT.2020もサポートしている。ひかりTVと、NetflixのHDR10/Dolby Visionに対応する。

OLED 55C7P

 Active HDRを導入し、HDR方式は、Ultra HD Blu-rayで採用されている「HDR10」に加え、Dolby Visionに対応。HDR放送で利用されるHLG(Hybrid Log Gamma)も今後サポート予定としている。さらに、通常の映像(SDR)もHDRに近づけて表示する「HDR Effect」も搭載している。

 3Dには非対応。また、パネルや映像エンジンは各シリーズで共通だが、上位モデルでは品質検査がより厳格となるほか、モデルに合わせた若干の画質調整を行なっているという。

W7Pは薄さが特徴

ステレオスピーカーでもDolby Atmos

 全モデルが、Dolby Atmosに対応する。W7Pは上方向にサウンド出力するハイトムービングスピーカーを含むサウンドバー(コンパニオンボックス)により、Atmos対応しているが、E7P/C7Pシリーズは2つの内蔵スピーカーのみで、Dolby Atmos対応とした。

ドルビージャパン 技術サポート部 白柳亨氏がDolby Atmosについて説明

 最上位のOLED W7Pシリーズは、Dolby Atmosに対応したサウンドシステムを搭載。上方向に特化したハイトムービングスピーカー×2と、ミッドレンジ+ツィータ×4、ウーファ×2の8スピーカー構成で、出力は総合60W。360度からの音の移動を表現するDolby Atmos音場をテレビだけで実現する。

W7Pシリーズは、サウンドバー状のコンパニオンボックスでDolby Atmos対応

 Ultra HD Blu-rayや映像配信サービスのDolby Atmos音声に加え、ステレオや5.1ch音声をドルビーサラウンド アップミキサー技術を用いて、最適なサウンド環境に調整。Atmos収録のコンテンツ以外でも、その技術を使ったサラウンド感などが楽しめる。

 ハイトスピーカーは、テレビの電源をONにすると、本体内から出現。デザインの面でも、Dolby Atmosの上下方向の移動感を表現しているという。

OLED 65W7P

 E7P/C7PシリーズもDolby Atmos対応。E7Pはツィータ、ミッドレンジ、ウーファの3ウェイで総合出力60W、C7Pはフルレンジとウーファのみで総合出力は40Wで、一般的な構成のテレビ用スピーカーだが、Dolbyは2つのスピーカーのみでDolby Atmos音響を再生可能とするプログラムを開発し、新LG OLED TVが初採用製品となる。

 Atmosによるオブジェクトオーディオの処理の基本は、W7PシリーズやAVアンプとほぼ同じだが、最終出力する際に、ステレオスピーカー再生用の処理を追加。その信号に、Dolbyによる専用のバーチャライザーを適用することで、2つのスピーカーでもAtmos音響を実現できるようにした。

 実際にC7PでのDolby Atmosデモコンテンツを見てみたが、上方向からの音の広がりがしっかりわかるほか、左右の移動感も明確。奥行き方向の表現は、実際のスピーカーを使ったシステムには及ばないものの、Dolby Atmosらしい音の広がり感、囲まれ感を味わうことができた。

C7PでDolby Atmosのデモ
初期設定でAtmosはONになっている。ここがONになっていると、ドルビーサラウンドアップコンバートも動作する

 Dolbyではこの技術を広くテレビメーカーに提案していく予定で、すでに数社と話を進めているという。また、LGはDolby Visionも採用するなど、Dolbyとの関係が深いが、Dolby Visionを導入しなければ、Atmosを導入できない、というわけではないとのこと。

webOS 3.5搭載。パノラマモードも追加

 チューナは地上/BS/110度CSデジタル×2で、別売のUSB HDDへの録画にも対応する。HDMI入力×4、コンポーネント/コンポジット入力×1、光デジタル音声出力×1、ヘッドフォン出力×1、USB×3、Ethernetなどを備えている。

 OSは、webOS 3.5で、マジックリモコンによるジェスチャー操作や音声文字入力に対応する。NetflixやYouTube、ひかりTVなどに対応する。よく使うアプリをリモコンの番号キーに登録する「お好みボタン」や、テレビ画面上の注目して見たい箇所や文字を最大500%まで拡大するマジックズームも搭載。マジックズームは新たに拡大した状態で録画できるようになった。YouTubeのお気に入りコンテンツを登録する「マイコンテンツ」も搭載した。

 さらに、360度カメラで撮影したパノラマ写真やビデオを再生する「パノラマモード」や、ミュージックプレーヤーも備えている。

リモコン

 65W7Pの消費電力は520W、年間消費電力量は335kWh/年。外形寸法はパネル部が145×0.4×82.5cm(幅×奥行き×高さ)、コンパニオンボックスが126×7.8~9.4×19.8cm(同)、重量は7.6kg、10kg。

 65E7Pの消費電力は500W、年間消費電力量は278kWh/年。外形寸法は146.1×19.5×90.4cm(幅×奥行き×高さ)、重量は23.1kg。

 65C7Pの消費電力は500W、年間消費電力量は265kWh/年。外形寸法は145.3×21.7×87.3cm(幅×奥行き×高さ)、重量は24.7kg。55C7Pの消費電力は370W、年間消費電力量は234kWh/年。外形寸法は123×21.7×75cm(幅×奥行き×高さ)、重量は19.2kg。

目指したのは究極。信念を貫いたLG

 新LG OLED TVにあわせて、液晶テレビも4Kテレビ4シリーズ10モデルを発表。2017年のラインナップをまとめて披露した。(SJ8500/SJ8000シリーズの記事UJ7500/UJ6500シリーズの記事)

 LGエレクトロニクス・ジャパンの李 仁奎社長は、有機ELの先駆者としてのLGエレクトロニクスを強調。「2年前は夢の製品として登場した。LGは有機ELという革新により、テレビの未来を切り開いてきた。LGが目指したのは、シンプルさを追求した究極のテレビ」と語り、「OLED W7P」を紹介した。

LGエレクトロニクス・ジャパン李社長

 LGエレクトロニクス・ジャパン マーケティングチームの金 東建部長は、「テレビが液晶から有機ELになる。かつて、そう確信していたのはLGだけでした。信念を貫き通して、時代を切り開いた。今年は、画質はもちろん、デザイン、音質のすべてで究極を目指した」と語り、デザインの柔軟性などのLG OLED TVの特徴と、パイオニアとしてのLGエレクトロニクスをアピール。

LGエレクトロニクス・ジャパン マーケティングチームの金 東建部長
デザインと音にこだわる新LG OLED TV

 「有機ELは、LG」をアピールする同社だが、金部長は、「液晶もあります。液晶でもほかに負けない映像美、こだわりを盛り込んでいる。昨年は全て4Kテレビにしましたが、今年は全てHDRに対応した」と語り、Tru Nano Displayなどの独自技術を紹介した。

液晶テレビも一新

 2016年までは、LGが日本国内で唯一の有機ELテレビメーカーとなっていたが。しかし、'17年には、東芝がX910シリーズを発売。さらに、ソニーやパナソニックも製品投入を予告しているなど、大手テレビメーカーが続々参入する。

 そうした状況について、李社長は、「ほかのメーカーが有機ELに入ってきてくれるのは素直にうれしい。1社で店舗などを開拓してきたが、昨年まではあまり認知されてこなかった。昨年の後半ぐらいから認知が高まっているが、メーカーが増えることで、知ってもらえる。競争して小さなパイを切り分けるのは意味がない。パイを大きくしてその中で良さを訴えていきたい」と説明。具体的には、画質に加え、Dolby Atmosなどの音質の先進性、優位性。スマート機能などの充実を訴えていくとした。

有機ELは、LG