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「パラダイムシフトを起こす」JH Audio「LOLA」、ゼンハイザーのネックバンド型「MOMENTUM」

 東京・中野にあるAV機器の専門店フジヤエービックのデジタルスタイルショップが主催する「春のヘッドフォン祭 2017」が、4月29日、30日の2日間、中野サンプラザで開催。入場は無料。ここではFiiOやミックスウェーブのブースをレポートする。

中野サンプラザ

FiiO

 小柳出電気商会のブースでは、FiiOのハイレゾ対応ポータブルオーディオプレーヤー「X5 3rd generation」が展示されている。5月12日発売で、価格はオープンプライス。店頭予想価格は46,000円前後。

FiiOのハイレゾ対応ポータブルオーディオプレーヤー「X5 3rd generation」

 FiiO X5シリーズの第3世代プレーヤーで、DACチップは旭化成エレクトロニクス「AK4490EN」を2基搭載。DSD 5.6MHzのネイティブ再生が可能で、PCMは最大384kHz/32bitまで対応する。クリスタルオシレータ(TCXO)とローパスフィルタもデュアル構成。

 アンプICは「OPA426」。イヤフォン出力はステレオミニのアンバランスに加えて、2.5mm 4極のバランス出力を装備。出力はバランスが240mW(32Ω)、アンバランスが250mW(32Ω)。同軸デジタル/アナログ兼用の出力端子も装備する。USB DAC機能も備えるほか、今後のファームウェアアップデートでUSBオーディオデジタル出力もサポート予定と、多機能なプレーヤーだ。

カラーはBLACK、TITANIUM、REDの3色
専用レザーケースが付属する

 デザインや操作系を一新し、上位モデル「X7」と同様に、Android 5.1と3.97型/480×800ドットのタッチスクリーンディスプレイを搭載。音楽専用プレーヤーとして機能する「Pure Music」モードと、Androidアプリが使える「Androidモード」の2つを用意。Pure Musicモード時は他のAndroidアプリを立ち上げないことによる音質向上を実現する。

 再生アプリ「FiiO Music」には、多彩なエフェクトで音の変化を楽しめる「ViPER Effect」を新搭載。有料で提供する機能もあるとのことだが、例えば、真空管アンプのサウンドを再現するエフェクトなどもあるという。

 なお、オヤイデブースを取材していると、なんともアンティークな風合いの木箱を発見。その上には、ゼンハイザーの「HD540 Reference Gold」という珍しいヘッドフォンが置かれている。なんでも、オヤイデの山能氏がヨーロッパに出張した際に、アンティークショップで箱を見つけ、開けてみると中にこれが入っており、そのまま買い求めたものだという。

 HD540の限定モデル的な位置づけの製品で、1980年代に発売されたものだという。黒と金のコントラストが鮮やかで、古さを感じさせないデザインだ。ケーブルの端子はゼンハイザーのモジュラープラグで、HD25用のケーブルである、オヤイデのHPC-HD25V2 改を接続している。現行モデルの遠い“ご先祖様”にあたるヘッドフォンのサウンドを聴いてみるのも楽しいだろう。

「HD540 Reference Gold」。アンティークなケースも、このヘッドフォン純正のものだ

ミックスウェーブ

 最大の注目は、「業界に新たなパラダイムシフトを起こすべく開発した」というJH Audioのハイブリッド型イヤフォン「LOLA」(ローラ)だ。カスタム版と、ユニバーサル版の2タイプがあり、カスタム版は5月下旬~6月下旬の発売で、価格はオープンプライス、店頭予想価格は21万円前後。ユニバーサル版は6月上旬~8月上旬の予定で、店頭予想価格19万円前後だ。

 ブースでは試聴ができるほか、手掛けたジェリー・ハービー氏も登場。彼が自分用にカスタマイズして作った、“凝りに凝った”カスタム版LOLAを見る事もできる。

24K金メッキなども使った、ジェリー・ハービー氏のカスタムLOLA
ケースまで特注品とのこと

 低域にバランスドアーマチュア(BA)型ドライバ×2、中域に4.9mm径のダイナミック型ドライバ×2、 高域にBA×4、合計8基のドライバを搭載。新技術「D.O.M.E Midrange Enclosure Technology」や、独自の「freqphaseテクノロジー」を投入している。

Unique Melodyの平面振動板を採用したイヤフォン「ME.1」

 Unique Melodyのコーナーでは、4月28日に発売するカスタムイヤフォン「MAVERICK II」を紹介しているほか、平面振動板を採用したイヤフォン「ME.1」も参考展示している。以前「ポタフェス」でも展示されていたが、その時と比べ、デザインも大幅に変更。中国では5月頃から量産もスタートするという。日本での展開はまだ未定だが、価格は12~13万円程度のイメージだという。

tia Fourte

 米64 AUDIOのユニバーサルタイプ・イヤフォン「tia Fourte」も、最終的な外観のモデルを展示。「tia(Tubeless In-ear Audio)」テクノロジーを採用した、オープン型バランスドアーマチュアユニット(BA)を採用しているのが特徴で、筐体を密閉にせず、オープンにする事で、「ドライバ自体が本来持っているポテンシャルを引き出し、多くのハイファイスピーカーが採用している設計のように、 ダイヤフラムからの音を直接得ることを可能にする」という。

 BAは、低域×1、tia仕様の中域×1、中高域×1、tiaの高域×1の4ウェイ4ドライバ。筐体はアルミニウムの無垢材から機械加工で造り上げており、 フェイスプレートには耐久性が高く、エレガントなパティナ仕上げ(緑青仕上げ)の銅を採用している。

qdcの新フラッグシップモデル「Gemini」

 カスタムイヤフォンメーカーqdcからは、新フラッグシップモデル「Gemini」(ジェミニ)が登場。4月28日発売で、価格はオープンプライス。店頭予想価格は239,075円。

 片側に8基のマイクロBAを搭載。異なる2つのサウンドキャラクターを、フェイスプレートに搭載したマイクロスイッチで切り替えられるのが特徴。名称「双子座(Gemini)」も、その機能から名付けられている。

 また、筐体やケースに24K金メッキを施した「1LE(Limited Edition)」というモデルが3月に発売されたが、それとは異なるバージョンの「1LE」も参考展示。筐体素材などはまだ未定だが、その可能性の1つを会場で体験できる。

1LE

ラックスマン

 6月下旬に発売される、新フラグシップヘッドフォンアンプ「P-750u」が披露されている。価格は30万円。

新フラグシップヘッドフォンアンプ「P-750u」

 お馴染みの高音質増幅帰還回路ODNFの最新バージョン4.0を、完全な同規模・同一構成で4チャンネル分搭載。BTL接続によるバランス出力に対応し、左右のセパレーション性能の大幅な向上を始めとした、BTL接続のメリットを享受できる仕様としている。'13年発売の「P-700u」と比べ、「広帯域ののびやかな表現力と、自然でエネルギーみなぎる躍動感が加わった」という。

新フラグシップヘッドフォンアンプ「P-750u」

ゼンハイザー

 エレガントなデザインのイヤフォン「MOMENTUM」が人気だが、そのネックバンド型Bluetoothバージョンと言える「MOMENTUM In-Ear Wireless」が参考展示された。6月頃の発売で、価格は20,000円~25,000円程度のイメージだという。

MOMENTUM In-Ear Wireless
イヤフォン部分はMOMENTUMそのままだ

須山歯研(FitEar)

 目玉は、チタン製シェルを採用したカスタムイヤフォン「FitEar TITAN」だ。「FitEar MH334」、「MH335DW Studio Reference」というモデルも紹介している。価格はいずれもオープンプライス。

「FitEar TITAN」

 FitEar TITANはレーザー積層によるチタン製カスタムシェルを採用した世界初のカスタムイヤフォン。「秋のヘッドフォン祭2016」で発表され、会場限定でモニター販売も行なわれたが、今回、一般発売を開始した。ダイナミック型ドライバとバランスド・アーマチュア(BA)ドライバによるハイブリッド構成で、ダイナミック型はフォステクスカンパニーの9mmドライバを採用。ケーブルは付属せず、ユーザーが別途用意する必要がある。

 FitEar MH334/MH335DW Studio Referenceは、既発売のカスタムイヤフォン「MH334」と「MH335DW」で、スタジオユースで正確なモニタリングが行なえるよう、高域周波数レンジの拡大と中低域解像度を改善した製品。

FitEar Custom

 「FitEar Custom」も注目を集めている。価格はオープンプライス。遮音性と装用感の両立を目的に開発したという「ミドルレッグシェル」デザインを採用。「ショートレッグシェルを採用したFitEar Air開発で得たノウハウを応用し、カスタムIEMを初めて使う人や、既に使っている人にも違和感のないフィット感を実現する」という。シェルのカラーはブラックで、フェイスプレートはブラック鏡面仕上げ。

その他

 Sonus faberが、デザインや設計開発、生産まで全面的に携わったPrymaのヘッドフォン。エレガントなデザインや、ヘッドバンドとハウジング部分は取り外しできる機構などが特徴だが、そのデザイン性の高さを活かしながら、Bluetooth化するためのレシーバユニットが参考展示された。

Prymaのヘッドフォンをワイヤレス化するBluetoothレシーバ

 クラリオンのブースでは、フルデジタルサウンドヘッドホン「ZH700FF」のスペシャルチューニングモデル3種を展示。「ガールズ&パンツァー」爆音上映など、映画館ならではの迫力あるサウンドを手掛けてきた音響監督の岩浪美和氏、ランティスの音楽プロデューサーで「ラブライブ!」や「TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND」を手掛けた佐藤純之介氏、オーディオビジュアルライターの野村ケンジ氏の3氏が監修したもので、それぞれの音の違いを体験できる。

クラリオンのブース