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シャープとNHK、8K試験放送用チューナ開発で放送文化基金賞を共同受賞
2017年7月5日 11:28
シャープとNHKによる8Kスーパーハイビジョン試験放送用受信機の開発グループは4日、第43回放送文化基金賞において、放送技術の分野で成果をあげた個人・グループとして共同で受賞した。
放送文化基金賞は「視聴者に感銘を与え、放送文化の発展と向上に寄与した優れた放送番組」と、「放送文化、放送技術の分野での顕著な業績」について表彰。放送技術分野については「放送に関連する技術の研究・開発、あるいは放送現場での工夫・考案で効果を上げた技術により、過去1年間に顕著な業績を残した個人またはグループ」が対象。賞金は30万円。
シャープは'16年5月に、8Kスーパーハイビジョン試験放送に対応する専用チューナを開発。8K試験放送の全国各地での受信公開に中心的に寄与したことや、'18年開始予定の実用放送に向けて受信機の小型化/省電力化に必要なHEVCデコーダのLSI化に成功したことなどが評価された。
同日行なわれた授賞式には、開発グループを代表してNHKの原哲氏が登壇。原氏は「世界に先駆けて開始したスーパーハイビジョン試験放送の受信機を開発するあたり様々な開発に取り組み、このような賞をいただけたことは仕事の励みになる。'18年には実用放送開始、'20年には東京オリンピック・パラリンピック開催と大きな場面を迎える。臨場感や迫力のある番組をどこの家庭でも見られるようにしたい。そのような環境を整えるために、様々な技術開発に取り組んでいきたい」とコメントした。
シャープ 研究開発事業本部 通信映像技術研究所 副統轄部長の吉田育弘氏は、「8Kの技術開発はリスクの大きい部分がたくさんあるが、その中でも先頭を切って走り続けていきたいと考えている。今回の受賞はひとつのマイルストーン。これからステップを刻みながら、範囲を広げてやっていきたい」と話した。
シャープでは、中期経営計画で「8Kエコシステム」の実現を基本戦略のひとつとして掲げており、中核事業として8K液晶ディスプレイの開発や8Kモニター商品化、8K映像の制作・配信、表示までの一連のバリューチェーンを、様々なパートナーと共に早期に構築するとしている。