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Shure初のBluetoothイヤフォン「SE215 Wireless」や、MMCX無線化ケーブル。BT導入の理由とは?

 シュア・ジャパンは、Shure初となるBluetoothイヤフォン3モデルを発表した。いずれも10月13日に発売し、予約開始は10月5日午前10時。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は、ケーブル一体型の「SE112 Wireless」が12,800円前後、ケーブル着脱可能な「SE215 Wireless」が18,380円前後。「SE215 Special Edition」のワイヤレスモデルも同じく18,380円前後。

「SE215 Wireless」

 さらに、Bluetoothケーブル部分単体の「RMCE-BT1」も同日に発売。他のMMCX端子のイヤフォンをBluetooth化できる。店頭予想価格は12,800円前後。

ケーブル一体型の「SE112 Wireless」
ケーブル単体の「RMCE-BT1」

 SE112/215/215 Special Edition Wirelessは、Bluetooth 4.1対応のケーブルを備えたイヤフォン。SE215 Special Editionは、SE215から中低域を強調したユニットを搭載したモデル。SE112 Wirelessはケーブル直付けで、SE215 WirelessはMMCX端子によりケーブル着脱ができるのが主な違い。

SE215 Wireless
SE215 Special Edition Wireless
RMCE-BT1

 カラーは、SE215 Wirelessがクリアとトランスルーセントブラックの2色、SE215/SE215 Special Editon Wirelessはトランスルーセントブルー、ホワイトの2色。SE112 Wirelessはブラック。

 イヤフォン部の仕様は、SE215 Wirelessが感度107dB SPL/mW、インピーダンス17Ω、再生周波数帯域22Hz~17.5kHz。SE215 Special Edition Wirelessは、感度107dB SPL/mW、インピーダンス17Ω、再生周波数帯域21Hz~17.5kHz。SE112 Wirelessは感度105dB SPL/mW、インピーダンス16Ω、再生周波数帯域25Hz~17kHz。

SE215 Special Editonのワイヤレスモデル

 ケーブル単体のモデル「RMCE-BT1」は、SE215 Wirelessに付属するBluetoothケーブルと同じもの。SE315やSE535といった上位モデルを含むMMCX端子搭載モデルも、このケーブルを利用することでBluetooth対応になる。

SE215 Wirelessはケーブルを着脱可能

 イヤフォンユニットはダイナミック型で、有線の既存モデルSE112/215/215 Special Editionとそれぞれ共通。Bluetoothの仕様も全モデル共通で、コーデックはSBC。マルチペアリングに対応する。3ボタンのリモコンとマイクを内蔵。音楽の再生/停止や通話応答に対応する。8時間の連続使用が可能で、充電は2時間。15分で2時間の急速充電も可能

 また、既存の有線モデルと同様に、Shureがプロ向けに開発している遮音性の高いイヤーピースを採用している。そのほか、USB充電ケーブルや、キャリングポーチなども同梱する。

Bluetoothペアリング時のデバイス名は、いずれのモデルも「Shure BT1」と表示(写真はiPhone接続時)
リモコン部
バッテリ部分
付属のクリップを使うと、シャツの襟などにケーブル部を留められる
付属のケースや充電用USBケーブル
使わないときは首にかけて持ち運べる
新製品ラインナップ

Shureが「満を持して」Bluetoothを導入した理由

 同社は19日に製品発表会を開催。Shure初となるBluetooth対応モデル導入に至った背景などを説明した。

 プロダクトプランニングの昆卓也氏は、これまでのSEシリーズを振り返り、新製品のBluetoothイヤフォンやBluetoothケーブルによって「6つのSEシリーズの音質、デザインをそのままに、ワイヤレスで楽しんでいただける」と説明。

昆卓也氏

 昆氏によれば、Shureのイヤフォン/ヘッドフォンなどリスニング関連の最高責任者であるマット・エングストローム氏や、イヤフォン/ヘッドフォンのプロジェクトリーダーを務めるショーン・サリバン氏など、シカゴにある本社の間でも「ワイヤレスをShureがやるべきか?」という議論が多く交わされていたという。そのため「開発そのものに時間がかかったというよりも、“ワイヤレス製品を作るべきか”に非常に時間がかかった」とのこと。

 議論された理由として「Shureはもともと、ミュージシャンのインイヤモニターなどのプロ向け製品から派生して、一般消費者向け製品も発売した」という経緯がある。

 「今までの製品はすべて、プロがライブステージで使っても支障がない“プロの品質”でモノづくりをしている。今回のワイヤレスモデルもBluetoothを使う以上、遅延は避けられないため、プロがステージでイヤモニターとしては使えない。コンシューマに特化した製品を作ることは、今までのShureの開発の理念、設計思想から転換する形になるため、非常に多くの議論をした」という。

 サリバン氏らも「『Shureはワイヤレスをいつやるのか』と、たくさんの人に聞かれた。期待が大きかったことをずっと感じていた」とのこと。そうした中で、Westoneやソニーなど他社がBluetooth対応のMMCX対応ケーブルを発売し、ShureのSEシリーズをこれらと接続して多く使われているという現状も同社は認識。「他社ケーブルと組み合わせてまでSEシリーズを使いたい人が多くいることは無視できない。Shureが出した結論は『ユーザーが満足できる、SEシリーズのイヤフォンに最適化して設計された製品を Shure自身が作らないといけない』」として、Bluetoothモデルを“満を持して”発売することに至ったという。

「Shureユーザーが満足できるワイヤレスイヤフォン/ケーブルをShure自身が開発すべき」との結論で製品化された

 シュア・ジャパンのトーマス・フレデリクセン代表取締役は、「リテールプロダクト(コンシューマ向け製品)の発表は、購入されるお客様の気持ち、感情に深くかかわるため、特別なものだと思っている。Bluetooth製品の発売には時間がかかってしまったが、とてもいいプロダクトに仕上がった」と述べた。

シュア・ジャパンのトーマス・フレデリクセン代表取締役