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待望のシネコン「シアタス調布」を体験。都内にULTIRAとdts-X、最大級4DXや贅沢シート
2017年9月29日 16:45
東京・調布市の調布駅前に誕生した大型シネマコンプレックス「イオンシネマ シアタス調布」。11のスクリーン、総座席数1,672席を備え、東日本で初となる立体音響の「GDC featuring dts-X」を採用し、大型スクリーン「ULTILA」も都内初登場となる。オープン日である9月29日に体験してきた。
20mスクリーンとdts-Xの40台超スピーカーでリアルな映像/音響
イオンシネマ シアタス調布は、9月29日にオープンした商業施設「トリエ京王調布」のC館にて同日より開業。トリエ京王調布はA/B/C館の3つで構成し、A館はショッピングセンターとなり、B館の核テナントにはビックカメラが入居する、大規模な商業施設となっている。
都内シネコン最大級となる530席を備える10番スクリーンに立体音響テクノロジー「GDC featuring dts-X」を採用。幅約20mで前面の壁をほぼ覆う大型スクリーンの高画質映像とイオンシネマ独自の4ウェイ立体音響システム「ULTIRA(ウルティラ)」を組み合わせて臨場感を高めている。なお、10月2日(祝・月)まではオープン記念で誰でも映画が1本1,100円となる(3D作品は別途追加料金が必要)。
GDC featuring dts-Xとは、ホームシアターでも採用されているdts:Xと同様に、上下方向の音の定位までリアルに表現できる立体音響技術。GDC Technology製のデジタルシネマサーバーと組み合わせて提供される映画館向けのシステムとなっている。
この10番スクリーンのスピーカーは、前面のスクリーン側がセンターとL/Rの3台に加え、センターとL/Rそれぞれの間にもう1台ずつ使った5台で構成。側面と後方は、左右それぞれ19台の38台を使用。側面のスピーカーは通常の高さに加え、もう一段高い場所にも複数設置されており、高さ表現の向上を図っている。チャンネル数は15.1ch。
現在は、ロングランを続ける「この世界の片隅に」や、クリストファー・ノーラン監督の「ダンケルク」が10番スクリーンで上映されており、30日からは「亜人」も上映。さらに、10月公開の「ブレードランナー 2049」もこのスクリーンで観られるという。
GDC featuring dts-X向けに制作されたコンテンツの場合、よりリアルに立体音響を楽しめるが、それ以外の作品もこのスクリーンでは上映される。上記のスピーカーを使って、5.1chや7.1chなどのコンテンツもより迫力のある音で楽しめるという。
短時間ながらデモ映像を体験したところ、音楽作品の音の広がりや、アクションシーンの音の移動などが自然で、映像との一体感が高い。同じイオンシネマの「イオンシネマ幕張新都心」にあるDolby Atmosとの違いとして、天井にはスピーカーを埋め込んでいないが、前述した上下2段配列の側面スピーカーにより、上下方向の定位も違和感なくリアルに再現していた。
シネマプロジェクタは4K対応(映画以外のライブビューイングなどは上映システムの関係で4K非対応)。特に前方の列にいると、ほぼ壁一面という大きさと、湾曲したスクリーンによって映像が視界を覆うような形となり、映像に没入できた。
最大級の4DXシアター、足を投げ出せる「Gran Theater」も
6番スクリーンには、シートが映画に連動して動き、ミスト、雨など18種類の演出を行なう体感型アトラクションシアターの「4DX」を採用。4DX対応劇場としては、最大タイの128席を用意する。29日は人気アニメの「ユーリ!!! on ICE 4DX vol.1」が上映されていた。
5番スクリーンは、フランス キネット製のシネマ専用最高級シート「ダイヤモンド・クラス」を全席に完備した「Gran Theater」。飛行機のファーストクラスを凌ぐという余裕あるシートで、電動リクライニング機構も装備。背もたれとフットレストの角度を好みに合わせて調節して観られる。同シートをスクリーンの全席に採用したのは日本初となる。
試しに最大まで背もたれを倒し、フットレストをフラットまで上げてみると、映画館とは思えないリラックスした姿勢で観られて、シート表面仕上げの質感の高さもあって贅沢な時間を過ごせそうだ。Gran Theaterの初回上映作品は「ラ・ラ・ランド」。
本当の“映画の街”に。市長や「ガチョラ」も応援
29日にはオープニングセレモニーが開催。角川大映スタジオの社長で調布市観光協会副会長も務める小畑良治氏や、調布市長の長友貴樹氏、“映画のまち調布”応援キャラクターの「ガチョラ」も応援に駆け付けた。
イオンエンターテイメントの片岡尚社長は、「シアタス調布」というネーミングについて「“シアター”に新たな価値を“足す”という意味を込めた」と説明。「映画作品だけでなく、コンサートやスポーツ、演劇、ゲームなど、様々なコンテンツを地域で楽しんで欲しい」と述べ、新しい人の流れを生むといった地域の再活性化への意欲を示した。
東京現像所や日活調布撮影所といった映画/映像関連の企業が多い調布。角川大映スタジオの小畑良治社長が登壇し、制作だけでなく、高品位に観る環境も整ったことで「本当の意味で“映画の街”といえるようになったのでは」と述べた。
さらに、「映画のまち調布」応援キャラクターのガチョラも来場。調布エフエムのラジオ番組から生まれたキャラクターで、名前は「ガメラ」、「調布(チョウフ)」、「ラジオ」のそれぞれの頭文字から付けられている。
ガチョラは、調布市観光協会副会長でもある小畑良治氏とともに今回のオープンを歓迎し、通訳を介して「シアタス調布ができたことで、あらためて映画のまちとしてスタートすることお祝いします」とコメントした。
調布市の長友貴樹市長も登壇。シアタス調布を含む大規模商業施設「トリエ京王調布」の誕生により地域の経済発展に期待を寄せ、「年内いっぱいは“調布100日まつり”と銘打って、70近いイベントやプロジェクトを推進する」と調布市全体で盛り上げる方針を説明。施策の一つとして、映画館へ出かける子供や高齢者、障害者に500円助成する「シネマでお出かけサポート」を実施する。長友氏は「市内外から、なぜ映画館がないのかと言われてきたが、ようやく不満が解消される。これからも行政にできる手立てを打っていきたい」とした。