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マランツ、Auro-3D対応の11ch AVアンプ「SR8012」。SHARCプロセッサ4基搭載
2017年10月27日 11:00
Auro-3Dに対応
Auro-3Dに対応しており、対応ソフトを5.1chスピーカーにフロントハイト(FHL+FHR)、サラウンドハイト(SHL+SHR)およびトップサラウンド(TS/オプション)スピーカーを組み合わせた10.1chシステムで、自然な3Dサウンドを再生可能。
Auro-Maticアルゴリズムにより、モノラル、ステレオ、サラウンドコンテンツを自然な3Dサウンドにアップミックス再生する事も可能。Auro-3D再生には、少なくとも一組のハイトスピーカーの設置が必要。フロントハイト、およびサラウンドハイトを使うのが最適だが、サラウンドハイトの代わりにリアハイトを設置し、Auro-3DとDolby Atmosを両方楽しむ事もできる。
オブジェクトオーディオのDolby AtmosとDTS:Xにも対応。11chのパワーアンプを搭載しているため、パワーアンプの追加なしに最大で7.1.4chのサラウンドシステムを構築できる。従来のAtmos/DTS:X非対応コンテンツを視聴する際も、Dolby Surround/Neural:Xのアップミックス機能を使い、オーバーヘッドスピーカーを使用した再生が可能。
アンプはフルディスクリート回路で構成、全チャンネル同一クオリティ
AVアンプながら、Hi-Fiコンポに匹敵するレベルのチャンネルセパレーション、空間表現力を実現するために、11chのパワーアンプすべてを1chごとに独立した基板にマウント。電源トランスの左右に対称に配置するシンメトリカル・レイアウトを採用。
個々のアンプはハイスピードなフルディスクリート回路で構成し、全チャンネル同一クオリティを実現。チャンネル間の音のつながり、立体的な音響空間への没入感を最大化している。
定格出力は140W×2ch(8Ω/2ch駆動)、実用最大出力は250W(6Ω/1ch駆動)。接続するスピーカーのインピーダンスは最低4Ωまで対応。ディスクリート構成であるため、回路設計やパーツ選定の自由度が高く、「Hi-Fiアンプと同様に徹底した音質チューニングを行なった」という。
11chアンプであるため、サラウンドバックやオーバーヘッドスピーカーを使用しない場合には、5chのスピーカーをすべてバイアンプ接続して高音質化するフルバイアンプドライブも可能。
全11chを同時に使用した大音量再生時でも余裕のある電源供給ができるよう、強力な電源回路を搭載。シャーシ中央にレイアウトされたシールド付きのトロイダルコアトランスとカスタムメイドで15,000μF×2の大容量ブロックコンデンサにより、高い瞬時電流供給能力を実現。大型スピーカーも正確かつパワフルにドライブできるとする。
プリ部には電流帰還型回路を採用。Hi-Fiコンポで培ってきたワイドレンジ、ハイスピードな回路設計のノウハウを投入。心臓部には超ハイスルーレートを誇る、オリジナルのディスクリート高速アンプモジュール「HDAM SA2」を搭載。オペアンプを使った場合と比べ、スルーレートを約10倍に向上させた。
ネットワークハイレゾプレーヤー機能も
ワイヤレス・オーディオシステム「HEOS」のテクノロジーを搭載したネットワークオーディオ機能が利用可能。NASやパソコンに保存した音楽ファイルを、ネットワーク経由で再生したり、USBメモリに保存したファイルを再生可能。AirPlayやBluetooth接続にも対応する。ストリーミング音楽配信サービスのAmazon Prime Music、AWA、Spotify、SoundCloudや、インターネットラジオの受信も対応。スマートフォンやタブレットの「HEOS」アプリから制御でき、同一のネットワークに接続した他のHEOSデバイスにSR8012で再生中の音楽を配信することも可能。
ネットワーク再生やUSBメモリからの再生では、DSDは5.6MHzまで、PCMは192kHz/24bitまでのハイレゾ再生が可能。DSD、WAV、FLAC、Apple Losslessのギャップレス再生にも対応。
スマホやタブレット用に、リモコンアプリ「Marantz 2016 AVR Remote」も用意。SR8012の操作や設定が行なえる。
DACは、旭化成エレクトロニクス製 32bit 8ch DAC「AK4458VN」を採用。SN比に優れ、歪みが極めて少なく、繊細な音の描写、透明感の高い空間表現に優れるという。32bit処理の内蔵デジタルフィルタにより、きめ細かく自然なサウンドを実現。D/A変換回路を映像回路やネットワーク回路から独立した専用基板にマウントすることで、相互干渉も排除した。
Atmosなどのサラウンド音声のレンダリングやデコーディング、11.2ch分の音場補正などの処理を行なうため、アナログデバイセス製の32bitフローティングポイントDSP、第4世代「SHARC」プロセッサを4基搭載する。
プリアウト端子は11.2chを備え、よりグレードの高いパワーアンプと接続する事もできる。また、2台のサブウーファを接続してLFEを強化する事も可能。
DSPやネットワーク、USBなどのデジタル回路への電源供給には専用のローノイズSMPSを使用、アナログ回路との相互干渉を排除した。デジタル電源回路の動作周波数を通常の約3倍に高速化し、スイッチングノイズを再生音に影響の及ばない可聴帯域外へシフトした。
DAC回路は専用基板よって独立させ、シールドにより回路間のノイズの飛び込みを抑制。電源ラインに流入するノイズはデカップリングコンデンサで除去している。コンデンサの種類や定数はサウンドマネージャーによる試聴を繰り返して最適なものを選定。導電性ポリマーコンデンサーや薄膜高分子積層コンデンサーなど高性能なパーツを投入している。
シャーシには銅メッキを施し、基板やシャーシを固定するビスやワッシャーの種類を使用する箇所に応じて変更するなどして、音質をまとめ上げている。
すべてのチャンネルにスクリュー式のスピーカー端子を採用。バナナプラグにも対応する。スピーカー端子には金メッキ処理を施し、高品位な信号の伝送を実現。リアパネルの表示と同色のケーブルラベルも同梱し、スピーカーケーブルに貼り付けれて迷わずに接続できる。
専用マイクによるオートセットアップ機能「Audyssey MultEQ XT32」も搭載。最大8ポイントでの測定結果をもとに、スピーカーの距離、レベル、およびサブウーファのクロスオーバー周波数を最適な状態に自動設定する。
スピーカーとリスニングルームの音響特性を測定し、時間軸と周波数特性の両方を補正することで、ルームアコースティックを最適化。2台のサブウーファを個別に測定、および補正する「Sub EQ HT」も搭載。それぞれに最適な設定が自動で行なえる。ドルビーイネーブルドスピーカーについては、Audyssey MultEQによる自動補正に加え、天井までの高さを設定することでさらに補正の精度を高められる。セットアップマイクを取り付けるためのマイクスタンドも付属。
HDMI端子は入力8系統(フロント1系統含む)、出力3系統を装備。テレビとプロジェクターの同時接続や、マルチゾーン出力が可能。全HDMI端子がHDCP 2.2に対応。Monitor 1のHDMI出力はARCをサポート。ファームウェアアップデートで、eARC(Enhanced ARC)への対応も予定しており、テレビからAVアンプへのDolby Atmos、ドルビーTrueHD、DTS-HD Master Audio/DTS:Xの伝送が可能になる。
HDMI入力は4K/60p/4:4:4/24bitや、4K/60p/4:2:0/30bit、4K/60p/4:2:2/36bitなどをサポート。広色域規格のBT.2020、HDRのHDR10/Dolby Vision/HLGのパススルーにも対応する。
HDMI以外の端子は、映像入力がコンポーネント×3、コンポジット×5。音声入力がアナログ×8、Phono×1、7.1ch×1、光デジタル×2、同軸デジタル×2。映像出力はコンポーネント×1、コンポジット×2(Zone 2×1含む)。音声出力は11.2chプリアウト×1、ゾーンプリアウト×2、ヘッドフォン×1。LAN端子を備え、IEEE 802.11a/b/g/nの無線LANも搭載する。消費電力は780W。外形寸法はアンテナを寝かせた状態で、440×460×185mm(幅×奥行き×高さ)、重量は17.4kg。
音を聴いてみる
一聴して感じる進化点は、低域の沈み込みの深さだ。ズシンと地下に落ちるような重い低音がドッシリ出るようになっており、音場に安定感が出ている。前モデルと同じボリューム値でも、音量が大きくなったようにも聴こえる。電源も含め、アンプとしてのドライブ能力の高さをうかがわせる。
中高域の分解能もアップしており、細かな音の描写が良く見える。同時に、トランジェントも進化しており、1つ1つの音が出現してから消えるまでもハイスピードで小気味が良い。
Auro-3Dのコンテンツは、音の繋がりの自然さが魅力だが、「SR8012」で再生すると繋がりの良いサラウンドの中の、音の描写が細かく、視力がアップした目でコンサートホールを見回すような感覚が味わえる。AVアンプとしての基本的な能力の高さを感じさせるモデルだ。