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ノートPCでDolby Atmosを体感。ファーウェイ「MateBook X」の音の秘密

 ファーウェイ・ジャパンが、日本のパソコン市場参入第1弾として発売したノートPC「MateBook X」。A4サイズより一回り小さい筐体に、パソコンでは世界初となる「Dolby Atmosサウンドシステム」を搭載しており、Dolby Atmos(ドルビーアトモス)対応コンテンツの立体音響を手軽に楽しめる。

ファーウェイのノートPC「MateBook X」

 9日、ファーウェイ・ジャパンとドルビージャパンは共同セミナーを開催し、MateBook Xを分解して内部設計を初公開。従来の「パソコンは音が悪い」というイメージを覆すために、両社が共同開発したスピーカーや、ファーウェイ独自の冷却システムについて説明した。

「Dolby Atmosサウンドシステム」により立体音響コンテンツを楽しめる
MateBook Xを分解して内部設計を初公開

Atmosサウンドシステムをドルビーと共同開発。ファンレス設計

 「MateBook X」は、狭額縁の13型/2,160×1,440ドット IPS液晶ディスプレイを搭載し、外形寸法は286×211×12.5mm(幅×奥行き×高さ)でA4サイズよりもコンパクトなフットプリントを実現。金属製の筐体ながら重量も1.05kgに抑えている。7月に発売され、価格はオープンプライスで、実売価格は最小構成で144,800円、最上位構成は201,800円。

薄型軽量のMateBook X

 スマートフォン/タブレットで培ってきたノウハウを活かし、スマホの「P10/P10 Plus」で採用しているサンドブラスト処理や、エッジ部にダイヤモンドカットを施して筐体の質感を高めた。カラーバリエーションは、プレステージゴールド、スペースグレー、ローズゴールドの3色。

12.5mmという薄型デザインの金属筐体
上面にファーウェイ(HUAWEI)のロゴ。表面はサンドブラスト処理

 特徴は、両社の技術者が筐体設計からソフトウェアまで共同開発した「Dolby Atmosサウンドシステム」。Dolby Atmosはオーディオ信号にハイト(高さ)成分とメタデータ(位置・時間情報)を付加することでリアルな音の移動、広大な空気感を再現できる立体音響技術で、映画館のほか、Blu-rayや映像配信サービスを通じて自宅でも楽しめる。ドルビーは様々なメーカーなどと協力し、対応環境の拡充を図っている。

Dolby Atmosの概念
Dolby Atmosホームシアターのスピーカー配置。最大で34.1スピーカー(24.1.10ch構成)をサポートする

 MateBook X専用に設計されたスピーカーユニットを、キーボード上部の横長スペースの左右に1つずつ搭載。ユニットには1基あたり2つのドライバを備え、横長の1枚の振動板を駆動している。音を大きくしたときのひずみを抑えるための制振材を採用し、低域再生用の空間も確保。さらにソフトウェア側で精密なチューニングを行ない、立体音響再生を実現している。

スピーカーユニットは、キーボード上部の横長スペースの左右に1つずつ搭載
MateBook Xのスピーカーの内部
液晶ヒンジの左右に1基ずつ備える

 また、CPUに第7世代のIntel Core i7(構成によってCore i5も選べる)を採用しながら放熱効率を高めたファンレス設計とすることで、ノイズの発生を抑えて視聴を妨げない工夫をしているのも特徴。ファーウェイでは、 航空宇宙グレードの放熱素材を活用した「スペースクーリング・テクノロジー」と名付けている。

「スペースクーリング・テクノロジー」によるファンレス設計も採用

ノートPCでAtmosを体感

 実際に内蔵スピーカーでDolby Atmosのデモ映像を再生してみた。音の鳴っている箇所を表わす光の粒が、画面上を360度飛び回るように動き、それに合わせて音も奥から上下左右、背後へと自在に動いていく短いコンテンツだ。

MateBook XでDolby Atmosのデモ映像を再生

 画面の端から飛び出していった光の粒の出す音が、耳の横や頭の上、後ろ側に回り込んでいくような感覚で、薄いノートPCのスピーカーによる空間表現とは思えないDolby Atmosらしい音場感が味わえた。

 今回のセミナーはDolby Japanカンファレンスルームで行なわれ、同じデモ映像を別室の「Dolby Atmos 7.1.4サラウンドデモルーム」でも体験。ここには大型の4KテレビとAVアンプ、7ch構成のスピーカーに加えてサブウーファ、4つのトップスピーカーが設置された7.1.4ch構成となっており、映画館に近い迫力ある低域や臨場感を味わえた。

 しかし、そうした機材を揃えたり設置する手間をかけなくても、MateBook XのようにDolby Atmosに対応したノートPCがあれば、パソコンで楽しむ映画や音楽体験は従来よりもリッチなものになりそうだ。

「Dolby Atmos 7.1.4サラウンドデモルーム」
天井にトップスピーカー×4を備える。映っているのは前方の2基

 ドルビージャパンの大沢幸弘社長は、Matebook Xについて「Dolbyの技術革新の中でも代表的な、Dolby Atmosの技術をファーウェイのノートPC上に実現していただいた。とてもPCとは思えない素晴らしい製品で、(その発売日は)ノートPCがオーディオ機器になった記念すべき日だ」とコメント。

 また、NetflixやU-NEXT、ビデオマーケットといった映像配信サービスからDolby Atmos対応作品を配信するなど、配信業者と連携することでAtmos対応コンテンツを視聴できる環境の拡大を目指していることも話した。

ドルビージャパンの大沢幸弘社長