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リコー、360度映像を24時間配信するカメラ「RICOH R」の4K対応試作機公開
2018年1月11日 11:20
リコーは、米ラスベガスで現地時間の1月9日に開幕した「CES 2018」において、360度映像の24時間ライブ配信が可能なカメラ「RICOH R」を、4K・360度に対応させた試作機を展示した。また、会場から4K・360度動画のリアルタイム配信も行なっている。
RICOH Rは、同社が2017年5月に出荷した製品で、360度動画ストリーミングの長時間配信に特化した機器。リコーには、360度カメラとして「THETA」ブランドが存在するが、RICOH RはTHETAとは別の存在だ。
THETAなどのカメラは、数分から数十分程度まで、比較的短時間の動画撮影には耐えられるものの、数時間、時には24時間を超えるような長時間撮影を行おうとすると、発熱でトラブルが起きてうまくいかない。
そこで、動画に特化して高い放熱効率を持つボディとし、24時間の連続配信を実現したのが「RICOH R」だ。長時間の360動画撮影にはどんなニーズがあるのかを調べるため、現在出荷されているのは「デベロッパー向け」のバージョンとなる。
RICOH Rの現行版は基本的にフルHDでの出力だが、「4Kを求める声が多かった」(RICOH Rの開発担当、リコー事業開発本部 X-PT“Xプロジェクトチーム”の生方秀直氏)ということから、4K版の開発に着手した経緯がある。
一方で、360度動画の撮影は、フルHDであっても24時間駆動では発熱に悩まされる。4Kになって扱うデータ量が劇的に増えると、発熱はさらに厳しいものになる。
今回試作した4K版では、従来のものとは異なり、新たにHuaweiの半導体子会社であるHiSiliconが試作中の「Hi3559A」というプロセッサを採用。4K映像のリアルタイムスティッチングを行なっているが、デザイン・サイズともに、現行製品とほぼ同じ形を実現している。
HiSiliconの半導体を使った試作機は、実はCESが初お披露目ではない。2017年11月、中国最大のセキュリティーショー「CPSE 2017に展示されていたのだが、その時は開発用機材を使っていたため、処理回路が本体内に収まっていなかった。今回はより完成度を高め、ボディ内にすべてを内蔵することに成功している。
現時点では、4K版の販売予定はない。だが、RICOH Rのデベロッパー版販売を通じたマーケット開拓・確認作業は続けられるという。