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「君の名は。」が’17年ブルーレイ大賞。高画質UHDは「マリアンヌ」

 デジタル・エンターテイメント・グループ・ジャパン(DEGジャパン)は21日、2017年に発売されたBlu-ray/Ultra HD Blu-rayソフトの中から、優れた作品を表彰する第10回「日本ブルーレイ大賞」を発表。「君の名は。」がグランプリを受賞した。同作はアニメ賞(邦画)も獲得している。

第10回日本ブルーレイ大賞グランプリは「君の名は。」
「君の名は。」Blu-rayスタンダード・エディション
(C)2016「君の名は。」製作委員会

 画質や内容のクオリティの高さ、さらにUHD BD化にあたってHDR用の階調調整を新たにした点も挙げつつ「総合的に優れたすべての年代から支持された名作」と評価。ビジネス面においても「Blu-rayがこれほど売れたという市場性は他の作品より突出しており、まさにグランプリにふさわしい」とした。

 表彰式で東宝は「新海誠監督をはじめ、沢山のクリエイターとの協業で、素晴らしいソフトを作り上げることができた。全国の販売店とも協力して、非常に沢山のお客様にソフトを手に取っていただけた。栄誉ある賞をいただけて本当にありがたい。今後また、このような優れた作品が彗星のように現れ、業界が盛り上がることを願いたい」と、受賞の喜びを語った。

審査委員長の麻倉怜士氏(右)と女優の清野菜名さん(左)から「君の名は。」発売元・販売元の東宝にトロフィーと盾が贈られた

 第10回日本ブルーレイ大賞では、'17年に国内で発売されたBlu-rayの中から、高画質や高音質などBDならではの特長を活かした作品を審査する「クオリティ部門」と、売上や話題性で注目を集めた作品を総合的に審査する「カテゴリー部門」を用意。クオリティ部門3作品、カテゴリー部門8作品、計11作品が選出され、その中から'17年を代表するグランプリ、準グランプリ作品を決定した。審査委員長はAV評論家の麻倉怜士氏。

 従来は「DEG ジャパン・アワード/ブルーレイ大賞」として実施していたが、開催10周年の節目となる今回から、名称を「日本ブルーレイ大賞」に改めた。

 準グランプリは「ダンケルク」と「モアナと伝説の海」の2作品に決定。ダンケルクはカテゴリ部門の映画賞(洋画)、モアナと伝説の海は同部門のアニメ賞(洋画)とクオリティ部門の高画質賞(ブルーレイ)も受賞している。

「ダンケルク」が準グランプリに
準グランプリのもう1作品は「モアナと伝説の海」

 モアナと伝説の海について、麻倉氏は南太平洋の波や飛沫をリアルなCGで描いた画質の高さに注目。「時代を作ってきたディズニーアニメだが、この作品は新しい時代を作ったのではないかと思う。質感が素晴らしい。非常に濃密な色、階調、密度で大自然の広がり感を描いていて、我々は大変びっくりした。これからのCGアニメの一つの指針になるのではないかと思う」とコメントした。

 ダンケルクについては、会場スクリーンに映された砂浜の爆撃シーンを観ながら、砂がこちらに飛んでくるような迫力や質感、精細感の高さを評価。空戦シーンについても「まるでスピットファイアとメッサーシュミットにIMAXカメラを載せて撮ったよう」と話し、作品全体として「IMAX映像とBlu-rayの画質が相まってここまでのものができ上がっている。(UHD BDの)マリアンヌは8K撮影でデジタルの究極をいったが、ダンケルクはアナログを究極に突き詰めたBlu-ray」と語った。なお、マリアンヌは今回、高画質賞(UHD BD)を受賞している。

 審査員特別賞は「ラ・ラ・ランド」。選考委員を務めるAV評論家の本田雅一氏は「『ラ・ラ・ランド』のBlu-rayはポニーキャニオンがより階調豊かにS/N感も良く観てもらうために、とパナソニックのMGVCテクノロジーを使って日本でマスタリングし直した映像が入っている。その結果ハリウッド版マスターを収めたUHD BDよりも(BDの)映像がキレイに仕上がっており、このモノ作りのこだわりに対してぜひ賞を、ということで選んだ」と話した。

「ラ・ラ・ランド」が審査員特別賞を受賞
選考委員を務めた本田雅一氏

 一般ユーザーからのWeb投票で決まるユーザー大賞は「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」に決定。また、第10回日本ブルーレイ大賞のアンバサダーを務める、女優の清野菜名さんによるアンバサダー特別賞は「キングコング:髑髏島の巨神」が選ばれた。清野さんは「とにかく興奮が終始収まらない作品。キングコングがデカい! 自分自身がパニックで息をするのを忘れるくらい迫力があった。アクション映画が大好きでぴったりはまった映画だった。次回作もあると聞いているので楽しみです」と話した。

ユーザー大賞は「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」
アンバサダー特別賞は「キングコング:髑髏島の巨神」

 その他の受賞作品の一覧は下記の通り。

【クオリティ部門】

  • 高画質賞(Blu-ray) モアナと伝説の海
  • 高画質賞(UHD BD) マリアンヌ
  • 高音質賞 ストラヴィンスキー「春の祭典」/ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団&ダニエレ・ガッティ(指揮)

【カテゴリー部門】

  • 映画賞(洋画) ダンケルク
  • 映画賞(邦画) シン・ゴジラ
  • TVドラマ賞 ゲーム・オブ・スローンズ 第七章:氷と炎の歌
  • アニメ賞(洋画) モアナと伝説の海
  • アニメ賞(邦画) 君の名は。
  • 音楽賞(洋楽) レベル・ハート・ツアー/マドンナ
  • 音楽賞(邦楽) namie amuro LIVE STYLE 2016-2017/安室奈美恵
  • 企画映像賞 すばらしき映画音楽たち
「シン・ゴジラ」は映画賞(邦画)を受賞
音楽賞(邦楽)に輝いた「namie amuro LIVE STYLE 2016-2017/安室奈美恵」

 DEGジャパンの川合史郎会長(20世紀フォックス)は、「2017年のビデオソフト市場全体でブルーレイの売上は金額が904億円、1,600万枚で、UHD BDも含めて54%のシェアを獲得した。2018年も様々なジャンルでUHD BDが発売されると聞いている。4Kのシェアがますます広がることに期待したい。私事だが、先日4Kテレビを購入した。家で観ると売場で観るよりも凄くイイ。表彰式の前にも近くの家電量販店でテレビ売場を観てきたが、今は50型4Kテレビが10万円台で売られている。平昌オリンピックが終わった後が(購入の)狙い目じゃないかなと思う」と話した。

 ブルーレイ大賞のまとめとして、麻倉氏はこの10年を振り返って「第1回は『ダーク・ナイト』でIMAXが凄かったが、今年の準グランプリ『ダンケルク』もIMAX。1回目から10回目の繋がりのようなものを感じる。Blu-rayのシェアが54%まで増えたのも、ブルーレイ大賞がきっと貢献したのかなと思う」としつつ、10回目の今回は賞のシステムを変え、「当初はDVDとの差別化という狙いもあってすべてのカテゴリで画質/音質を基準に選んでいたが、Blu-rayタイトルが増えたので他の要因も必要だということで、クオリティ部門に加えて市場性や売上、話題性を踏まえたカテゴリー部門を作った」と説明。

審査委員長の麻倉怜士氏

 グランプリを獲った「君の名は。」についても、「こちらに迫ってくるかのような『モアナ』と、こっちから向こうに行きたくなるような奥行き、透明感のある『君の名は。』」と映像を作り込む方向性の違いと良さに触れながら、「今回日本作品がトップに選ばれたことはとても意味のあること」と強調。また、「10年前には無かったインターネット配信が、今では放送を上回る勢いになった。これからは配信もBlu-rayも観られる時代であり、パッケージとしての良さや持つことの意味、パッケージだからこそできる高画質/高音質といった企画力が問われる」と締めくくった。

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