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パナソニックが地震に強いテレビを作る理由。転倒防止の再確認を!

地震に強い液晶テレビ。VIERA FX750登場

 パナソニックが2月23日から発売した液晶VIERA「FX750シリーズ」。43型「TH-43FX750」、49型「TH-49FX750」、55型「TH-55FX750」の3モデル展開で、液晶VIERAの中核シリーズと位置付ける製品だが、最大の特徴は「地震に強い」ということだ。

TH-55FX750

 どういうことか?

 吸着機能付き「転倒防止スタンド」を採用し、テレビ台などの天板に密着・固定する。前面の着脱操作スイッチをロックすると、転倒防止スタンド底面の吸盤が接地面に吸着。スタンド底面が接地面から離れる力が働くと、真空に近い状態になり、テレビ台に吸い着くため、台からテレビが脱落しない。だから「地震に強く、倒れにくい」というわけだ。

下面に転倒防止スタンドを装備

 実際の映像を見てみてほしい。かなり大きな“揺れ”に耐えていることがわかるはずだ。

 パナソニックによれば、「第三者機関にて震度6強の揺れを再現した実験を実施しています。ただし、いかなる条件においても転倒・落下しないことを保証するものではありません」とのことだ。

 その震度6の再現試験の模様もYouTubeで公開しているので、こちらもぜひ見てほしい。

4Kビエラ FX750シリーズ 転倒防止スタンド実証実験【パナソニック公式】

 改めて震度6の揺れの怖さが伝わる動画だが、この大きな揺れでもテレビが転倒せずに、しっかりと固定されている。なお、転倒防止スタンドを固定無しのテストも行なっているが、「テレビが飛ばされるショッキングな映像」のため、YouTubeでは公開していないそうだ。

 しかし、実際の地震災害時の問題としては、揺れによるテレビの破損の防止はもちろんだが、テレビ自体が吹き飛んで人に危害を及ぼす事態を防ぐことが重要だ。

 その点、前面のスイッチを倒すだけの簡単操作で、がっちりとテレビ台にテレビを固定できるFX750の転倒防止スタンドのメリットは大きい。最近のテレビでは、ほとんどの製品に転倒防止用のバンドやひもなどが付属し、台に固定するように推奨されているが、実際には使っていない、という人も多いのではないだろうか? その点、FX750はスイッチを押すだけで固定と解除ができるので、「テレビ固定」の手間は格段に楽になる。

前面のスイッチで固定・解除を切り替えられる

 2011年3月11日の東日本大震災からまもなく7年。地震による転倒への対策は、日本における薄型テレビの重要な機能の一つといえ、各社が転倒防止対策には力を入れている。

 また近年量販店でテレビの購入した人は、あわせて転倒防止用のマットや転倒防止ジェルといった製品を勧められたことはないだろうか? お店では、テレビ購入者への定番オプションとして推奨されることが多い。ユーザーのニーズがそこにあるという証左だろう。

エレコムのテレビ用耐震ジェル「AVD-TVTGC」

 パナソニックのユーザー調査でも、テレビに求める機能として、上位に「地震への対策」が入っているという。ただ、従来の落下防止用のバンドやひも、金具などで固定するという“手間”の問題があった。また、テレビをちょっと動かすときに、これらを外すのも面倒ではある。

 こうした問題に対し、確実にテレビを固定する地震対策として、FX750で搭載したのが「転倒防止スタンド」だ。2月下旬から販売開始したFX750だが、販売店でもユーザーからも「非常に好評」とのことだ。

 そのトレードオフとしては、スタンドがかなり重く、55FX750で約4kgとなっている。デザイン面でも、最近のスリムなスタンドに比べると、かなり重厚なものになっていること。

 だが「地震対策としての安心感」を求める人には、唯一無二の選択肢といえるはず。なお、パナソニックでは、転倒防止スタンドだけでなく、これまで同様に付属の転倒・落下防止部品での処置も行なうよう推奨しており、FX750の反応を見て、さらなる対応製品の拡大なども検討してくという。

スタンド部

明るいHDR&画質向上のFX750。改めてテレビ周りの地震対策を見直そう

 FX750シリーズは、4K VIERAの中心的な機種となるだけあり、画質や音にもこだわっている。

 4K高輝度IPSパネルと映像エンジン「ヘキサクロマドライブ」の組み合わせ、HDR10/HLGなどのHDR映像信号対応、ユーザーインターフェイスの改善なども特徴だ。

 画質面での前モデルからの強化点は、「最暗部の色表現の改善」。ヘキサクロマドライブの強化によるものだが、3D-LUTの補正点数を約1.6倍に増加させたことで、本当に暗いシーンでの深い青などの色がしっかり出るようになったという。また、部分ごとに適応的に映像を処理して、質感表現を向上する処理も新たに導入した。

 バックライトエリア制御とエリアコントラスト制御による「Wエリア制御」も搭載し、コントラスト感と、明暗の表現力を向上した。「明るいリビングでも楽しめる高画質」がFX750シリーズのテーマとなっている。部屋の明るさにあわせてHDR画質を自動調整してくれる「明るさ連動HDR」も新搭載した。

スピーカーも充実

 スピーカーはフルレンジ×2で、最大出力は30W(15W×2ch)。チューナは地上/BS/110度CSデジタル×3で、別売USB HDDへの2番組同時録画に対応する。Netflix、dTV、YouTube、Amazonビデオ、アクトビラ4K(HDR非対応)、ひかりTV 4K、デジタルコンサートホールなどの映像配信サービスにも対応する。なお、HDMI入力は4系統で、うち2系統が18Gbps対応。全HDMI端子がHDCP 2.2対応となる。

 こうした基本機能の向上に加え、地震への備えとして「転倒防止スタンド」という“安心”を追加したVIERA FX750。

 日本が地震大国であるが故の、ある意味「ガラパゴス」な製品といえるのかもしれない。だが、同時に日本の消費者からのニーズに真摯に答えたからこその製品ともいえる。

 この機能が「使われることがない(地震が起こらない)」ことが最も望ましいことではあるが、災害時の貴重な情報源となるテレビを守る、そしてテレビに起因するトラブルを抑える意味で、常に地震によるテレビの転倒対策は意識しておきたい。

 まもなく、東日本大震災から7年。あらためて、今一度テレビ周りの地震対策を確認しておきたい。

各社テレビの転倒対策

パナソニックVIERA:
地震!テレビ転倒への備えは大丈夫?テレビ ビエラ
http://panasonic.jp/viera/digital_fun/earthquake.html

ソニーBRAVIA:ブラビアの安全設計
https://www.sony.jp/bravia/safety/

シャープAQUOS:製品の転倒・落下対策 液晶テレビ
http://www.sharp.co.jp/support/info_protect.html

東芝:地震などに備えた家電製品転倒防止の対策について
http://www.toshiba.co.jp/csqa/contact/support/info/tentou.htm
東芝REGZA:安心設計の〈レグザ〉
https://www.toshiba.co.jp/regza/detail/safety/index_j.htm