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ESS、DAC「SABRE」にMQA再生機能を統合。プレーヤーの省電力/小型化も

 ESS Technologyは9日、オーディオ用DACのSABREに、MQAファイルの再生機能を統合すると発表した。間もなく登場予定の同社製モバイル向けDACやヘッドフォン向けシステムにMQAレンダリング機能を搭載し、よりシンプルにMQA再生が行なえるとしている。

 MQAは、ハイレゾ音源を「クオリティそのままに小さくできる」とする技術。音楽を“0~24kHzまでの音楽信号”と、“それよりも高周波な音楽信号”に分け、高周波な信号をまるで折り紙を折りたたむように、0~24kHzまでの音楽信号の中にある耳に聞こえないレベルのノイズ信号の中に移動させる、独自のエンコード方法を採用している。

 折りたたまれた情報を展開する「アンフォールディング」は2つのステップで行なわれ、最初のコアデコーディングと呼ばれるステップは、ほとんどのDSPシステムで実行可能。TIDALや、Roon、Amarra、Audirvanaなどの既存PCソフトウェア音楽アプリケーションで採用されている。コアデコーディングは、オンキヨーやパイオニアのポータブルプレーヤーのほか、一部のスマートフォンも対応している。

 最後のステップとなるレンダリングは、DACと密に連携して行なう必要があり、レンダリング品質はDAC出力フィルタに依存。通常は個別の手動調整により実現している。今回、ESSとMQAの間が連携することで、従来よりもシンプルにMQA再生が可能になるという。

 ESSが間もなく投入予定とする、MQAレンダリングを統合したSABREモバイルDACとヘッドフォンシステムは、レンダラーをDACに結合したハードウェアブロックとして統合。設計の容易さや性能の向上、低消費電力などの利点を持つ。また、SABRE DACのHyperStream IIモジュレータとQUAD DAC技術により、音楽の細かなニュアンスまで再現可能としている。

 MQAレンダリングとDACを組み合わせることで、個別のDSPとスタンドアロンDACを使用する場合に必要な手動調整とソフトウェアの統合が不要。自動レンダリングにより、システムはコアMQAストリームを検出し、最適な品質の出力を提供するようにカスタムフィルタ設定を構成できる。また、ハードウェアブロックを組み合わせることで、DSPなしでソリューションを実装でき、電力とサイズ、コストを削減。ソフトウェアデコーダを持つアクティブヘッドフォンに最適としているほか、据え置き/ポータブルプレーヤーにも適用可能。