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新生JDIがコンシューマ市場参入。“うしろ姿”が見えるミラーディスプレイ
2018年8月1日 22:07
ジャパンディスプレイ(JDI)は1日、「JDI Future Trip」と題した事業戦略発表会を開催。JDI常務執行役員 チームマーケティングオフィサー(CMO)の伊藤嘉明氏が登壇し、同社初となるコンシューマ向け製品のコンセプトとして「HUD搭載スマートヘルメット」や裸眼3D表示の「5.5型ライトフィールドディスプレイ」などを披露。今後の同社ビジネスの方向性などを示した。
コンシューマ向けに投入するのは、「HUD搭載スマートヘルメット」や「5.5型ライトフィールドディスプレイ」、「コンシェルジュ機能付きミラー」、IoTフルハイトドアの「FULL HEIGHT MILAOS(フルハイトミラオス)」。ヘルメットとライトフィールドディスプレイについてはそれぞれ別記事で紹介している。
JDIは同社の東入來信博会長兼CEOの元で、経営資源の見直しなどディスプレイ事業における経営課題への取り組みを進めている。伊藤氏は、「納得のいく利益は出せていない。第二の創業を担うスピード改革が必要だ」と話し、“モノづくりからコトづくり”への転換を掲げ、B to C市場参入を表明。新生JDIにかける意気込みを語った。
新たな企業理念を「今までにない発想と、限りない技術の追求をもって、人々が躍動する世界を想像し続ける」と定めた。マーケティング・イノベーションを推進する組織体を4月に発足。中小型液晶ディスプレイで世界シェアトップの技術力を駆使し、新たなコトづくりを進める「JDI Future Trip Project」を推進する。今回発表したコンセプトは、いずれも3カ月ほど(100日)で用意したものだという。
コンセプトモデルのひとつである「おくれ鏡」は、コンシェルジュ機能付きのミラー。JDIのコア技術を適応した液晶スイッチを備え、音声操作で鏡の一部をディスプレイに切り替えて、内蔵カメラで捉えた鏡の前にいる人の姿を数秒遅れで再生する。確認しづらい後ろ姿のスタイリングチェックに使え、「朝の忙しさにゆとりをもたらすミラー」とする。
一般のハーフミラーを備える鏡機能付きディスプレイより明るく、高コントラストの映像を瞬時に表示できるという。カレンダーや天気予報などを表示させる機能も備える。浴衣の帯を楽に確認したり、内蔵カメラが捉えた姿をスマートフォンに静止画転送するデモを行なった。
室内ドアの専門メーカーである神谷コーポレーション湘南と共同で、おくれ鏡の機能を内蔵した「FULL HEIGHT MILAOS(フルハイトミラオス)」も披露。
全面をミラーで覆い、一部に本牛革も使った高級デザインを採用。おくれ鏡と同じく、後ろ姿を見たり天気予報などを表示する機能も内蔵し、世界初のIoTフルハイトドアを謳う。2019年度の一般販売を予定している。
「ディスプレイはインターフェイスに」
モノを売るだけではなくコトも意識したビジネス戦略として、裸眼3D映像が楽しめる5.5型ライトフィールドディスプレイに、キャラクターやアイドルの映像をダウンロード販売する課金モデルを検討。リカーリングによって利益を得る形にしたいという。
「テクノロジーで社会的課題を解決する」ことも掲げる。たとえば、HUD搭載スマートヘルメットをスポーツイベントの警護向けに展開したり、ミラー液晶の技術を使った“名札”に個人情報保護機能や通信連携機能を持たせ、高齢者や子どもの外出時の安全性を高めるソリューションに活かすことを検討している。
JDIのディスプレイの位置づけについて、「これからは見るだけでなく、人間の五感全てにフォーカスすべきと考えている。ディスプレイはインターフェイスに変わる」(伊藤氏)とした。