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「レディ・プレイヤー1」のVR世界にHDR映像で浸る。22日発売のUHD BDを観た

 スティーブン・スピルバーグ監督の「レディ・プレイヤー1」が、まもなく8月22日に4K Ultra HD Blu-rayで発売される。日本を含む全世界でヒットした話題作なのはもちろん、映像/音声クオリティの面でもUHD BD版にHDRのDolby Visionを採用、立体音響のDolby Atmosで楽しめる点が注目だ。発売を前に、その映像と音響を体験した。

「レディ・プレイヤー1」数量限定生産プレミアム・エディション 4K ULTRA HD&3D&2D&特典ブルーレイセット(c) 2018 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and RatPac-Dune Entertainment LLC. All rights reserved.

 価格は、UHD BD+3D BD+2D BD+特典BDをセットにしたプレミアム・エディションが、7,000セット限定で9,990円。3D BD+2D BDセットが6,990円、BD+DVDセットのブックレット付き初回仕様が4,990円、BD+DVDセットの通常版が3,990円。

(c) 2018 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and RatPac-Dune Entertainment LLC. All rights reserved.

 UHD BD版に採用されているDolby Visionの利点を一言で説明すると、「明るさの表現力を高めることで、現実に近い自然な映像を楽しめる」ということ。

 広大なダイナミックレンジを表現するために「PQカーブ」というガンマカーブを採用。メタデータを使って、シーンに合わせて輝度を動的に設定できるのも特徴。より細かく制御する場合にはフレームごとでもメタデータを持てる。そのデータをLEDバックライト制御などに活かし、映画の様々なシーンにおいて、正確かつ効率的にダイナミックレンジを高められる。

 仕様上は最大1万nitsをサポートする高輝度が注目されるが、明るさだけでなく、階調の表現や、広い色域を表現可能なのもポイント。超話題の作品で、そうした特徴がどのように活かされているかチェックした。

 視聴にはDolby Visionに対応したLGの55型有機ELテレビ「OLED55C7P」と、OPPOのUHD BDプレーヤー「UDP-203」を使用。暗室のため、テレビの表示モードは「ムービーダーク」を選択している。AVアンプはデノンの「AVC-X8500H」を使用。天井スピーカーなども合わせて、現行の家庭用単体アンプでは最大チャンネル数となる7.1.6chで観た。

UHD BDプレーヤーはOPPO「UDP-203」
AVアンプはデノン「AVC-X8500H」

 同作品は、海外の一部劇場で導入されている「ドルビーシネマ」(Dolby Cinema)ではDolby Vision映像で上映されたが、日本にはまだ無い(2018年内にMOVIXさいたまへ導入)ため、国内でDolby Visionで楽しめるのは今回のUHD BD版が初となる。劇場用と家庭用では環境が違うためDolby Visionの仕様も異なり、現在のプロジェクタでは明るさが最大108nitsとのこと。今回のLG有機テレビは輝度は公開していないものの、500nitsは越えていると見られ、そうした明るい映像を家庭で贅沢に楽しめるのはうれしい。

仮想空間に浸れる臨場感

 「レディ・プレイヤー1」の舞台は、いまから27年後、ゴーグル1つですべての夢が実現するVRワールド“オアシス”のある未来。バーチャル空間の中で、誰もがなりたいものになれる夢のような世界だ。オアシスの天才創設者からの遺言「3つの謎を解いた者に全財産56兆円と、この世界のすべてを授ける」という内容を巡って、子供から巨大企業まで全世界の壮大な争奪戦が始まる。

(c) 2018 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and RatPac-Dune Entertainment LLC. All rights reserved.

 よく知られる通り、作中には「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアン、「チャイルド・プレイ」のチャッキーなど、'80年代ポップカルチャーを中心に、アイアン・ジャイアント、キングコングから、「AKIRA」の金田のバイク、ガンダム、ハローキティまで、日米を代表するキャラクターやアイコンが多数登場することでも話題となった。

(c) 2018 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and RatPac-Dune Entertainment LLC. All rights reserved.

 冒頭のシーンでは、主人公のウェイドが住む集合住宅(スタック)で、現実世界に絶望したような人々の生活が、あえて色調を抑えて描かれている。それだけに、夢の世界であるオアシスへ移ると、一気に周りが色鮮やかになり、こっちの世界に浸ってしまいたくなる気持ちもよく分かる。

 オアシス内でアバターが倒された時に出てくる大量のコインの光沢や、銃など金属の質感も、細部まで再現。ヒロインと主人公のアバターによるダンスシーンでは、肌やドレスの表面の輝き、鮮やかな色合いも見どころ。色をコッテリのせるようなわざとらしさはなく、明るさと色の深みのバランスが絶妙なため、VFXと分かっていても、すぐ近くにアルテミスがいるようなドキドキ感を、パーシヴァルと一緒に体験しているように錯覚する。

 注目の戦闘シーンは、両軍入り乱れ、レールガンなどの兵器から強烈な光が目の前で飛び交う迫力に圧倒される。中でも、日本の有名キャラ同士によるバトルは、正直に言って画質云々の前に登場シーンだけでテンション爆上がりだが、強キャラだけが持つ圧倒的な攻撃が重厚な音とともに放たれ、それがぶつかり合う様子は、何度見ても思わず手に力が入る。

(c) 2018 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited and RatPac-Dune Entertainment LLC. All rights reserved.

 その音声についても、Dolby Atmosの自然な音の広がりによって臨場感を高めるのに大きく貢献している。オアシスが広大な空間であるのが音の響きでもよくわかり、「第1の謎」を解くためのレースシーンでは、後ろから追いかけてくる“あの怪物”の息づかいまで伝わり、恐怖感はかなりのものだ。仮想世界と現実の差がどこか曖昧になるような感覚の一端が、この映像と音声で味わえるといっても決して大げさではない。

天井スピーカー

 Dolby Visionに注目していたせいでもあるが、改めてこの作品を観ると、キャラクターの後ろから強く日が差していたり、1カ所が強く光るカタマリなど、明暗差の大きなシーンが多いことに気づく。HDRでない映像だと、逆光で人の顔などが見えにくかったり、一部が明るすぎて白飛びするなど、難しかった表現がしやすくなり、物語において光で表現できる人の感情や雰囲気などの幅が広がったと感じる。

何度でも観たいから高画質&高音質で

 細かい要素は抜きにしても、とにかく「レディ・プレイヤー1」のような話題作が、現時点で最高スペックといえるDolby Vision映像とDolby Atmos音声で家でも楽しめる意味は大きい。映画はストーリーを楽しめることが大事なので、それを補助するために開発された映像や音響の技術が、率先して新作に採用されることは、安心して買う理由になる。

 あまりにも多くのキャラが登場する作品ということもあって、劇場では、ほんの一瞬だけ現れたキャラを見逃してしまった人もいるかも知れない。また、昔の映画や音楽を思い出すなど、観た人とあれこれ語りたくなる要素がいくつも詰め込まれているので、改めてUHD BDで隅々まで映像を観て、仕込まれたネタ探しをするのも楽しそうだ。

BD/DVD/デジタル【予告編】『レディ・プレイヤー1』8.22リリース

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