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パイオニア、UHD BDプレーヤー集大成「UDP-LX800」。HDR最適表示、ESS DAC 2基

オンキヨー&パイオニアは、パイオニアブランドのUltra HD Blu-ray対応ユニバーサルプレーヤーフラッグシップモデル「UDP-LX800(B)」を11月中旬に発売する。価格は36万5,000円。10月中旬から、東京・秋葉原の「Onkyo Base」で先行展示を行なう予定。

UDP-LX800

Ultra HD Blu-ray再生のほか、SACD/CDやDVDオーディオなどに対応したプレーヤー。'14年にBDプレーヤー最上位機として発売した「BDP-LX88」から高剛性筐体や3分割シャーシ、高SN、ジッターレスなどの特徴を継承しつつ、筐体設計や基板設計を進化。表示するテレビの種類などに合わせたチューニングなどを行ない、オーディオ専用機の高音質設計も投入している。「歴代の光ディスプレーヤーで培ったノウハウの全てを注ぎ込み、ディスク再生を突き詰めた、集大成となるユニバーサルディスクプレーヤー」としている。

UDP-LX800本体とリモコン

高剛性筐体とファン/放熱孔レスの静音性

理想的なディスク再生を行なう高剛性筐体を実現するため、ハニカム構造のシールドに黒色制振塗装を施し、高い制振性と剛性を実現した「リジッド&クワイエットBDドライブ」を搭載。高速回転による共振と、筐体内部で発生する定在波を抑制。制振対策として減衰性の高いラバー素材によるフローティング構造とした。

内部構造
ドライブ部

再生対応メディアは、UHD BD、BD、BD-R/RE、BD-R/RE DL、DVDビデオ、DVDオーディオ、DVD±R/RW、DVD±R DL、DVD+R/+RW、AVCHDディスク、DSDディスク、音楽CD、SACD、CD-R/RW(CD-DA)など。USBメモリも再生できる。

9月下旬発売の「UDP-LX500」(18万5,000円)との違いとして、DACチップはESS「ES9026PRO」を2基搭載(LX500はAK4490×1)、XLRバランス接続に対応した。また、オーディオ専用電源の搭載や電源回路カバーへの制振塗装など、回路部の高音質化を徹底。映像に関しても新たに高画質化チューニングを行なっている。

HDRのDolby Vision(ドルビービジョン)に対応。なお、HDR10+については「検討中」としており、アップデートで対応可能かどうか現時点では未定。

DACはES9026PRO×2
電源回路カバー部分
上がUDP-LX800、下がUDP-LX500

UHD BD対応による高回転化や情報処理量の増大に対し、部品選定や電気回路設計の最適化により、トップカバーとリアパネルを放熱孔レスとした。これにより回転計の音漏れ要因を排除。高い静音性と、強固で安定した構造を実現した。

ファンレスなど筐体構造の特徴

LX88から継承した構造として、ディスクトレイのオープン時にトレイと密着して放熱、クローズ時にフロントパネルと密着してトレイと空間を隔てる「アコースティックダンパートレイ」を採用。そのほか、サイドアルミパネルや、リジッドアンダーベース、亜鉛ダイキャストインシュレーターを搭載する。

ディスクトレイオープン時
LX88からの継承ポイントと、進化ポイント

高速回転するUHD BD再生を底辺から支える総重量約14.5kgの重厚な構造を採用。ドライブ回転時に発生する振動が筐体に伝わるのを防ぎ、高い静音性と制振性を実現している。

メイン基板は6層IVHを採用。デジタル信号配線の最適化とグランドインピーダンスの最小化を行ない、デジタルノイズを低減、映像/音声信号処理におけるSNを向上、最大18Gbpsの高速信号伝送の精度を高めた。

メイン基板

SACDプレーヤーのPD-70AEで開発した技術をアナログオーディオ部に適用。L/R両信号の経路をパターンからパーツの配置まで同一に設計、両信号のバランスを保ち、高いセパレーションで再生できるという。PD-70AEと同様に、ESSの8ch DAC ES9026PROを2基搭載し、L/R各チャンネルで8回路の並列処理により高精度にDA変換を行なう。バスバーによるグランド安定化などの技術もとり入れ、「温度や気配など空気感さえも感じられる高S/N感」としている。

HDMI端子は2系統で、映像と音声を分けるセパレートモードにより、高品位な伝送が可能。1本で送るシングルモードや、ピュアオーディオモードも用意する。

独自のPQLS機能により、パイオニアの対応AVアンプと組み合わせて高純度なジッターレス伝送が可能。情報量や表現力が向上し、上質なマルチチャンネル再生ができるという。PQLSは、UHD BDやBDだけでなく、DVDやDVDオーディオ、SACD、音楽CD、音楽ファイル再生時にも利用できる。PQLS対応のAVアンプは、SC-LX701/801/901など。

PQLSに対応

HDMI以外の出力端子は、光/同軸デジタル音声が各1系統と、アナログ音声がバランス(XLR)とアンバランス(RCA)各1系統。LAN端子やRS-232Cも備える。

背面

AVアンプとRCAケーブルで接続してグランドインピーダンスを下げるZERO SIGNAL端子も装備。安定した信号伝送により、高品位の画質と音質を実現するという。

付属リモコンは自照式

有機EL/液晶テレビやプロジェクターに合わせたHDR表示

接続するテレビなどに合わせたHDRのプリセットを用意。液晶、有機EL、プロジェクターのモードを切り替えると、それぞれに適した表示ができるという。LCD(液晶)モード時は、なだらかな階調を活かし、暗部の再現性を重視。OLED(有機EL)モードは、高いコントラスト感を重視。Projectorモードは、スクリーンの大きさや視聴位置を考慮して精細感を重視したという。

高画質化設計

9月発売のLX500は、ノイズと精細感のバランスを重視した画質チューニングを行なっている。最上位のLX800は、徹底したノイズ対策による高SN映像をベースに、精細感と立体感を引き立たせるという専用チューニングを施した。

LX800とLX500の主な違い

再生中のディスクに記録されているメタデータや、UHD BDに記録されているHDR情報を読み出してメニュー画面上で表示するモードも備える。

HDR情報表示画面の例

デジタル再生の純度を高めるTRANSPORTモード

アナログ音声を再生する際に不要なデジタル音声や映像信号回路をオフにする「DIRECT」モードと、デジタル音声の再生時に不要なアナログ音声回路やトランスをオフにする「TRANSPORT」モードを用意。アナログ/デジタルそれぞれを高純度で出力可能としている。TRANSPORTモード時は、アナログ音声回路の電源と電源トランスへのAC100Vをリレーでカット。SN感が向上し、映像/音声のクオリティを高められるという。光/同軸デジタル出力時にも効果があるとしている。

高SN設計
TRANSPORTモード時は、アナログ音声回路の電源と電源トランスへのAC100Vをリレーでカット

アナログオーディオ部とドライブ/デジタル部、電源部を3分割配置して電気/磁気的相互干渉を除去。ブロック間には高剛性の梁構造を設け、剛性を高めている。この部分は従来モデルの技術を継承した。

その他の高音質設計として、アナログオーディオ回路には専用の大容量/高レスポンス電源トランスを搭載。オリジナルコンデンサーと共に、瞬時電流供給能力に優れた電源回路を構成したという。トランスから発生する不要な電磁波を銅メッキの上に制振塗装を施したシールドケースで封じ込め、楽器の「f字孔」形のプレスを施して定在波の発生を抑えた。電源回路も制振塗装で仕上げ、定在波を抑える「ヘ音記号」形状のプレスを施した鋼板ケースでカバー。ドライブ部、デジタル部へ高品位で安定した電源を供給する。

オリジナルコンデンサーを搭載

RCA/XLR端子は部品メーカーと共同開発。情報量や開放感があり、芯のある音を実現するという。専用の高音質電解コンデンサーも搭載し、低域の安定感や中低域のふくよかさを表現可能としている。

RCA/XLR端子部

USB端子は2系統で前面と背面に装備。消費電力は28W。外形寸法は435×339×131mm(幅×奥行き×高さ)、重量は14.5kg。

最高の光ディスクに最良のプレーヤー。音質追求のユーザーにも

オンキヨー&パイオニア商品企画本部の宮川修男氏は、パイオニア光ディスクプレーヤーの歴史を振り返り「LD(レーザーディスク)から始まり、DVDやBDなどで蓄積してきたノウハウが我々の強み。“単なるプレーヤー”は各社から出ているが、AV機器メーカーとしては、音質や画質などのクオリティを付加して楽しんでいただきたい。コンテンツの入手や再生方法はストリーミング配信が増えているのは事実だが、最高/最良のコンテンツを楽しめるのは光ディスク。UHD BDが規格化された中、最高を待ち望むユーザーがいる中で、AV機器メーカーとしては、何でも再生できる最良のユニバーサルプレーヤーを発売する」と説明。

オンキヨー&パイオニア商品企画本部の宮川修男氏

“最高のディスク再生”を実現するための要素として「高剛性筐体」、「高S/N設計」、「高音質化設計」、「HDMI高音質化技術」、「高画質化設計」の5つを挙げ、「5つの要素に関して、培ってきたノウハウで良い部分は残し、進化させてきた」と述べた。

光ディスクプレーヤーなどの歴史
“最高のディスク再生”のための要素

音質へのこだわりは、サウンドマネージャーの平塚友久氏が説明。「LX500/800は、どちらも音声のノイズフロアを下げることを目指して開発したものだが、LX500は価格を抑えたこともあり、映画も含めて音楽を楽しく聴いていただくようなチューニング。LX800は、SACDも含め交響曲やオペラ、演歌など幅広いジャンルで聴いていただきたい。難しいソースも(ユニバーサルではない)単体プレーヤーとそん色なく聴いていただけることを目指した」とした。

サウンドマネージャーの平塚友久氏

また、「録画したBD-Rなどの2ch音声を聴きたいという声もあった。(従来機の)LX88もそういった使い方をされていた。放送素材をなるべく高いクオリティで再生したい方にも使っていただきたい」とした。

LX800が持つ「トランスポートモード」については「もともと単体プレーヤーを使っていたり、アナログ音声が不要という方に向けたもの。単に信号行かなくするとか、動作を止めるだけでなく、トランスに行く電源から止めたらどうかと試してみたら、予想以上に差があると感じた」とした。

UDP-LX800を、AVアンプのSC-LX901や、スピーカーのS-1EXなどと組み合わせて映画や音楽を視聴した。プロジェクタで120型の大画面でも精細で質感の高い映像が楽しめた。音声は、高解像度で広がり感のあるボーカルや、地鳴りのような重低音もリアルに再現