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VRがぼやけないJDIヘッドセット。透明スクリーンなど「ファインテック」開幕

最新のディスプレイ技術が展示される「第28回 液晶・有機EL・センサ技術展(ファインテック ジャパン)」が5日に千葉・幕張メッセで開幕。ジャパンディスプレイ(JDI)やシャープなどパネルメーカーのほか、材料や部品、製造装置などの様々な企業が出展している。同イベントは業界関係者向けの商談展となっており、入場には登録が必要。期間は12月7日まで。

第28回 液晶・有機EL・センサ技術展(ファインテック ジャパン)

なお、有機ELディスプレイを手掛けるJOLEDは、esports向け21.6型など、開発中の試作機や製品を多数展示しており、その内容は別記事でレポートしている

JDIとJOLEDは共同でブースを出展。写真は21.6型フルHD有機ELを9枚使ったJOLED「6K3K」ディスプレイ

JDIが高画質再生特化のVRヘッドセット

ジャパンディスプレイ(JDI)は、VR専用に開発した液晶パネル搭載の高精細ヘッドマウントディスプレイ「VRM-100」を開発。日本国内企業の開発者向け限定で3日より販売開始した。2,880×1,600ドット(615ppi)のパネルとジャイロセンサー搭載のVRモニター部と、着脱できるゴーグル部で構成。ゴーグルはコンパクトにして持ち運んだり、使用後に清掃もしやすい構造となっている。Unityで開発されたVRコンテンツを表示可能で、購入者に対しOpenVRのドライバを提供する。

JDIのVRヘッドセット「VRM-100」

ゲーム用途でない高画質VRコンテンツの視聴に特化したのが特徴。既存のハイエンド機とは異なり、外部ヘッドトラッキングセンサーやコントローラーは省いてVR映像視聴に特化した製品となっており、VR専用液晶ディスプレイの開発、製造、販売のみ手掛けてきたJDIが、初めてVRヘッドセット製品として販売を開始した。

映像表示部

615ppiの高精細で、視線を動かしても残像感を抑えた表示が可能。一般的なスマホを使ったVRゴーグルとの比較体験ができ、スマホの場合は頭を左右に動かすと、追従の遅れで残像のようにぼやけた表示を知覚したのに対し、JDIのVRヘッドセットでは素早く表示されたためストレスなく解像度の高い映像を観ることができた。

ゴーグル部と分離できる

そのほか、裸眼で3D映像表示ができる「ライトフィールドディスプレイ」の試作機を展示。17型と、スピーカーもついた5.5型を展示している。アイドルやキャラクターなどの映像を投影して、スマートスピーカーのような双方向のやりとりができるような製品を目指す。ハードウェア開発だけでなく、表示するコンテンツと合わせての製品化を目指しており、コンテンツを持つ他社と協力して定額サービスとして提供することも見据えているという。

製品化に向けたハードウェアの課題として、表示のフォーカスが合う深度を広げて全体にピントが合った映像を表示することが求められているほか、映像処理の軽減も進めるという。

液晶だけでなく、蒸着方式の有機EL(OLED)の開発も進めており、予定通り開発検証を終了したという。プラスチックフィルムを使ったフレキシブルでデザイン自由度の高いディスプレイを実現できるという。主にスマートフォンでの利用を想定している。

蒸着方式のフレキシブル有機ELも開発
AIが最適価格を導くダイナミックプライシングソリューション(DPS)と連動した電子棚札

シャープはインパネ向けIGZO液晶や曲がる有機EL

シャープは、IGZO液晶を使った車のインパネを参考展示。コネクテッドカー時代に向けた統合インパネとしており、安全性に配慮しながらエンターテインメントに活用できる大画面の高精細ディスプレイとして紹介している。また、任意の形状に曲げられるフレキシブル有機ELディスプレイや、超低反射の3型液晶なども紹介している。

シャープが展示した車載統合インパネ
フレキシブル有機Elディスプレイ
3型の超低反射液晶(右)

透明スクリーンや、空中をタッチするディスプレイも

大日本印刷(DNP)は、透明なパネルにプロジェクター映像を投写する「透明スクリーン」を紹介。約1%という低ヘイズ(曇り度)で、透明度が高く、映像が空間に浮かび上がるような演出ができるのが特徴。

DNPの透明スクリーン

ブースに展示していたのは70型で、下から約4,000ルーメンの超単焦点プロジェクターで投写。パネルの向こう側と映像が同時に見えるように表現していた。透過率は約60%。表示輝度は、3,300ルーメンのプロジェクタを使って40型表示した場合が700cd/m2

下から超単焦点プロジェクタで投写

アスカネットは、独自の「3Dプレート」を使って、映像が浮かび上がるように結像する「ASKA3D」の新たな製品として、現在のガラス製プレートよりも安価な樹脂プレートの「ASKA3D-200NT」を紹介。表示映像の解像度を左右する“ミラーピッチ”を、ガラスプレートの0.5mmよりも細かい0.3mmとしており、高画質に表示できるという。ガラス製プレートも0.3mmピッチにすることは可能だが、樹脂製プレートの方が低コストで実現している。ASKA3D-200NTは現在サンプルを先行販売している。

このディスプレイに赤外線センサーを組み合わせて、空中の画面に指でタッチするような操作が可能。この技術を使って、住宅のインターフォンなどの設備や、エスプレッソマシンなど家電への搭載例として紹介していた。

アスカネットの樹脂製プレートを使った「ASKA3D-200NT」の活用例