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日本の有機EL新提案、JOLEDがesportsや車に活用。大型TVは技術ライセンス

JOLED(ジェイオーレッド)は、12月5日~7日に幕張メッセで開催されている「ファインテック ジャパン2018」において、有機ELディスプレイ製品や開発中の試作機を多数展示。プロesportsチームの意見も取り入れたゲーム向け21.6型や、スマートディスプレイ向けの27型、テレビを想定した55型4Kの参考展示など、有機ELの様々な活用を提案している。

JOLEDとJDIの共同ブース

JOLEDが国内の展示会で製品と技術を一般公開するのは今回が初めて。ジャパンディスプレイ(JDI)と共同でブースを展開しており、JDIが展示していたVR向けヘッドマウントディスプレイの展示などについては別記事でレポートする。

esports選手の意見を反映した有機ELゲーミングモニター

esports向けモニターとして、21.6型の試作機を展示。プロesportsチーム「Burning Core」との協力により、esportsに適したディスプレイを開発中。色再現や動画の滑らかな表示などにより、没入感のあるゲームプレイができるという。同社が既に製品化している医療向け21.6型とは異なり、リフレッシュレートは144Hzに対応。それ以外にも実際にBurning Coreの選手の意見もとり入れながら画質調整した。

esports向けの144Hz対応有機EL

ブースではオンラインゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」のテストプレイが可能で、期間中にBurning Coreの選手が来場するデモも予定している。本体の前面と背面にJOLEDのロゴが入り、背面ロゴが光るなどゲーミング仕様も特徴的だが、このまま製品化するのではなく、既存のゲーミングモニターメーカーに同社技術が採用されるのを目指しているという。

背面にJOLEDロゴ

車載向けには、12.3型HDと、12.2型フルHDのフレキシブルタイプ試作機を展示。12.3型は3枚横に並べて各種メーターなどのインパネとして利用、12.2型はフレキシブルの特性を活かして車のデザインに合わせてカーブしたセンターインフォメーションディスプレイとして使用。高コントラストで視認性が高いことや、広視野角、高速応答などで運転中にも情報が見やすいのが特徴。

車載向けの活用例

ホームディスプレイとして展示しているのは27型4Kの試作機。壁掛けのディスプレイとして使用し、スマートディスプレイのように情報を表示するほか、“デジタル窓”のように風景映像を楽しむ使い方を紹介している。今後は30型以上の大型サイズも検討しているという。

ホーム向けの27型4K試作機

プラスチック基板を使った21.6型4Kフレキシブルディスプレイの短辺側を丸めた“円筒ディスプレイ”も試作。ビールを注いで満たされるような映像など、形状に合わせたコンテンツと組み合わせて紹介している。また、電車や地下鉄の車両内ディスプレイに用いた曲面のデジタルサイネージも提案している。

21.6型を使った円筒ディスプレイ
電車などの社内ディスプレイを想定した活用例
円筒ディスプレイを使った映像デモ

現在JOLEDが製品化しているのは21.6型の中型サイズだが、主にテレビを想定した55型モニターも参考展示。これは同社が大型を製造するのではなく、これから印刷方式の有機ELを使ったテレビを製品化したいメーカーなどに、大型OLED製造技術を供与する技術ライセンスを紹介するもの。

JOLEDディスプレイの特徴

印刷方式のメリットである、インクのロスが少ない点や真空装置が不要といった点は、大型の方が活きてくるとのこと。メーカーが持つ製造ラインで、新たに有機ELテレビの製造を立ち上げる際に、同社技術を使用でき、JOLEDのエンジニアもサポートする。同社は大型の製造を想定してG8.5サイズを実験中だという。

大型テレビ向けの技術ライセンスを進める