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深田恭子が4K8K旅番組などに注目。普及は“足踏み”、受信工事の助成金受付も
2019年4月3日 14:36
新4K8K衛星放送の開始から約4カ月が経過した4月3日、新年度の開始に合わせて放送サービス高度化推進協会(A-PAB)が記者説明会を開催。4K8K推進キャラクターの深田恭子さんが来場して同放送への思いを語った。
4K8K関連機器の普及状況や市場動向の調査結果、各放送事業者の春改編注目番組などを紹介。今後の周知広報施策が説明された。
登壇した深田恭子さんは新4K8K衛星放送で観た番組について、「食べ物や、自然などの番組が鮮明。虫が飛んでくるところなど、臨場感があります」とコメントした。
深田恭子が4K旅番組などに注目。サーフィンで出演も?
各局番組の「ピュア4K比率」については、民放で割合の高い局は20%弱、4局平均で2ケタ%としている。局によって違いはあるものの、平均的に高めているというよりは、“4Kウィーク”などメリハリをつけて関心を引くようにする方針だという。
9月1日から新たに放送が始まるBS日テレ4Kは、9月に開幕するラグビーワールドカップを、地上波放送試合の中から4Kでも放送するほか、プロ野球の巨人戦などを予定。
NHKは、BS4Kがピュア率100%で、8Kについても、お知らせなど短い内容を除くと全て8K制作。4月の注目は4週連続の紀行番組「究極ガイドTV 2時間でまわる○○」で、第1弾は4月6日のヴェルサイユ宮殿で、続いて日光、ローマのコロッセオ、厳島を訪れる。また、NHK BS4KとBS8Kで「ルーブル美術館・美の殿堂500年」を6月に放送する。そのほか、8Kで制作/放送された「宝塚スペシャルシート」を、初めて4Kでも放送。4月29日から5夜連続オンエアとなる。
深田恭子さんは、ドラマなど4K画質で撮影されることについて「怖くないということはないですが、自分は視聴者でもあるので楽しみな面もあります。怖いから(4K放送普及が)進んでほしくないとは言い切れないです」とコメント。4K撮影へ臨む場合にメイクなど特別な準備をするかという司会者の質問には「できる範囲で頑張って、あとは照明さん、カメラマンさんに頑張ってくださいとお願いしています(笑)」と答えた。
4Kで世界遺産や列車の旅などの番組も観るとのことで、「自分もその空間にいるような気持ちになれるのは素晴らしいです」とコメント。深田さんが好きなサーフィンやシュノーケリングを楽しむ姿を4Kで撮影されることについても「そんな機会があったらいいなと思います」と前向き。ただし「その時はウェットスーツを着ます。ちょっと水着じゃ……」と照れ笑いを浮かべた。
普及は“足踏み状態”。受信工事の助成金は4月8日から受付
JEITA(電子情報技術産業協会)とJCTA(日本ケーブルテレビ連盟)、A-PABの調査によれば、新4K8K衛星放送の視聴可能機器台数は、2019年2月末までの累計で69万4,000台(2月分は11万1,000台)。内訳はチューナー内蔵テレビが35万9,000台(同6万2,000台)、外付けチューナーが19万4,000台(同7,000台)。JEITA統計によれば、2月出荷では4K解像度のテレビのうち4Kチューナー内蔵は4割で、それ以外は“4K対応テレビ”だがチューナー非搭載だという。チューナー内蔵のCATV用STBが14万1,000台(同14万1,000台)。
A-PAB理事の木村政孝氏は、A-PABが販売店などからヒアリングした内容として「放送開始当初は、在庫がなくなるほど売れ、メーカーに早く作って欲しいとお願いせざるを得ない状況だったが、1月下旬ごろから2月にかけては少し足踏み状態」という現状を紹介。
これに関しては「マーケティング的に言えば“イノベーター”層の購入が一段落し、これから“アーリーアダプター”層の購入が始まるのでは」と量販店らは考えているという。また、来店客から「欲しいメーカーの製品が無い、時間が経てば安くなるのでは? 」という声も聞かれるほか、口コミなどから「ピュア4Kコンテンツが揃うのはこれから」と考えて購入を先延ばしにしている人も多いとのこと。
また、CATVについては「(契約の)予約は多いが、日程調整や工事日が確定しないケースがある。今後対応CATV事業者が増えると聞いており、着実に増えていくのでは」とした。
総務省による2019年度の「衛星放送用受信環境整備事業」が4月1日より交付決定したことを受け、電波漏洩対策の事業も開始。視聴者が受信設備を整える際に助成を受けられる制度も含まれ、4月8日から申請受付を開始する。
これは、新4K8K衛星放送を全て受信できる右左旋対応アンテナ工事を行なう際に、電波漏洩しないよう基準に適合した機器を使って、適切な工事を受けるための助成金を出すもの。新年度は約1.1億円でスタート。視聴者や管理組合などが助成の対象となる。対象範囲などには様々な条件もあり、詳細はA-PABのサイトで案内している。
放送を観た人は5%。所有者は9割が満足
同日に、4K8K放送サービスの認知や理解度などを測る調査の'19年3月の結果も発表された。4Kという言葉を知っている人は3月時点で87.6%。「新4K8K衛星放送」が昨年12月1日から開始したことを知っている人は36.9%まで増加した。同放送を視聴した人の8割以上が「満足できる」と回答したという。
調査は'16年より定期的に実施しているもの。47都道府県に居住する男女20~69歳にWeb調査を行ない、サンプル数は計5,000('17年は6,000)。
「4K」という言葉の認知は、9割近くが「知っている(“気がする”を含む)と回答。2017年7月以降は高止まりしている。「8K」という言葉を知っている(“気がする”を含む)人は今回調査で7割を超えた。
12月から新4K8K衛星放送が始まったことを知っていた人は、全体では4割弱。「認知を広げる余地はまだある」としている。必要な機器について知っていた人は、全体の4割強。
新4K8K衛星放送を視聴した人は5.3%でまだ少なく、視聴場所として最も多かったのは電気店の店頭で6割超。次は自宅の4K/8Kテレビで約3割。視聴した人の8割以上が放送に満足できると回答した。
4K(8K)テレビ所有者は全体の7.8%で、欲しい人は35.7%。テレビ所有者と「欲しい人」を合わせると4割を超える。放送を実際に視聴したことがある人の7割近くが 4K(8K)テレビが欲しいという回答結果になった。4K(8K)テレビ非所有者のうち、いずれ購入予定と回答した人は約3割で、7割は購入予定がないと回答。購入予定がない理由としては、テレビにお金を使いたくない、価格が高いといった理由が上位となった。
4Kチューナー内蔵テレビの所有者は3.1%、4K対応テレビ所有者は4.4%。4K(8K)対応テレビ所有者のうち、既にチューナー設置済みの人は1割強。これから対応予定の人は、設置済みの人を含めて約6割だった。4K(8K)テレビ所有者のテレビへの満足度は9割近くに達しており、満足の理由としては「画質のきれいさ」を挙げる人が4割を超えて最も多く、「新4K8K衛星放送の番組が魅力的」という回答は2割弱となった。
A-PAB福田俊男理事長は現状と今後の取り組みについて「番組の充実、機器類のラインナップの2つが課題。受信機についてはまだフルラインナップとはなっていないが、近いうちにそういう日は来ると確信していて、視聴者の皆さんの選択肢が広がるだろう。家電店の皆さんの話では来年のオリンピック/パラリンピックは、4K8Kで観たいという人気は底堅いものがあると聞いている。じっくり焦らずさらに地道に普及推進を進めたい」とした。