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最大16K/HDR伝送が可能な「DisplayPort 2.0」規格。製品は'20年末

ビデオエレクトロニクス協会(VESA:Video Electronics Standards Association)は米国時間26日、最大16K解像度のHDR映像を伝送できる新しい伝送規格「DisplayPort 2.0」(DP 2.0)を発表した。8Kや4K/HDR、AR/VRディスプレイなどへの展開を見込む。DP 2.0搭載製品は、'20年末までの市場投入を予測している。

DisplayPortは、VESAで策定された映像伝送用のインターフェイス規格。AV機器ではHDMIが主流だが、ビデオカードやPCディスプレイなどで高いシェアを持つ。オプション仕様として、音声などの各種信号伝送にも対応する。

DP 2.0は、'16年3月に策定された「DP1.4」以来となるメジャーアップデートで、データ帯域幅が従来(DP 1.3/1.4)に比べ約3倍に拡張されたことが大きな特徴。

従来は1レーン/8.1Gbpsだったリンク速度が20Gbpsとなり、最大リンク速度80Gbps・最大ペイロード77.37Gbpsまで帯域幅性能が向上した。

非圧縮で10K(10,240×4,320)/60Hz/8bit/4:4:4映像を、DSC圧縮の場合は16K(15,360×8,460)/60Hz/10bit/4:4:4/HDR映像の伝送が可能になるという。

帯域幅の性能向上により、8Kを超える超高解像度、HFR(ハイフレームレート)やHDR映像、マルチディスプレイ、AR/VRディスプレイといった様々な用途をサポートし「ユーザーエクスペリエンスの向上を実現する」としている。

コネクタは、DisplayPortコネクタとUSB-Cコネクタに対応。USB-Cコネクタの場合、映像伝送と同時に高速USBデータ転送もできる。エラー訂正を使用したDSC(伝送時にデータ圧縮)やHDRメタデータ転送機能のほか、既存バージョンとも下位互換性を持つ。

DP 2.0では、DPプロトコルの柔軟性を維持しながらThunderbolt3物理インターフェース(PHY)層の活用が可能。またシングル、およびマルチストリームトランスポートの両方に、共通のマッピングプロトコルを付加することで、ドッキングステーションやデイジーチェーン対応ディスプレイを介し、複数のディスプレイを駆動できるという。

VESAでは、DP 2.0搭載の最初の製品は、'20年末までに市場に登場すると予測している。

VESAは映像機器関連の規格・標準化作業を行なうグループで、AMDやアップル、NVIDIA、サムスン、ブロードコム、クアルコム、インテルなどの大手半導体メーカーのほか、シャープ、ソニー、LG、パナソニックなどの電機メーカーもメンバーとなっている。

DP 2.0の伝送例

【シングルディスプレイの場合】
・16K(15,360×8,460)、60Hz、30bit 4:4:4 HDR(DSCあり)
・10K(10,240×4,320)、60Hz、24bit 4:4:4(圧縮なし)

【デュアルディスプレイの場合】
・8K(7,680×4,320)、120Hz、30bit 4:4:4 HDR(DSCあり)
・4K(3,840×2,160)、144Hz、24bit 4:4:4(圧縮なし)

【トリプルディスプレイの場合】
・10K(10,240×4,320)、60Hz、30bit 4:4:4 HDR(DSCあり)
・4K(3,840×2,160)、90Hz、30bit 4:4:4 HDR(圧縮なし)

【USB-Cコネクタで2レーンのみを使用する場合(USBデータとビデオ伝送)】
・3つの4K(3,840×2,160)ディスプレイ、144Hz、30bit 4:4:4 HDR(DSCあり)
・2台の4K×4K(4,096×4,096)ヘッドセット(AR/VR用)、120Hz、30bit 4:4:4 HDR(DSCあり)
・3つのQHD(2,560×1,440)ディスプレイ、120Hz、24bit 4:4:4(圧縮なし)
・1つの8K(7,680×4320)ディスプレイ、30Hz、30bit 4:4:4 HDR(圧縮なし)