ニュース

16K/60p HDR対応の「DisplayPort 2.0」'20年認証開始。DisplayHDRは有機EL/microLEDにも

映像機器関連の規格化作業を行なうVESA(Video Electronics Standards Association)は15日、伝送規格「DisplayPort」(DP)に関する年次記者会見を実施。DPの市場環境や次世代伝送規格「DisplayPort 2.0」、認証プログラム「DisplayHDR」などの現状を説明した。

DiplayPortが採用されている主な製品ジャンル

登壇したVESA コンプライアンス・プログラム・マネージャのジム・チョート氏は、DP規格の採用拡大を説明。「USB-Cコネクタを介してDP規格のデータを伝送する“DP Alt Mode”の登場がゲームチャンジャーとなった。DPの採用は'19年に飛躍的に拡大した」とコメント。

次世代USB規格の「USB4」においてもDP Alt Modeが必須サポートになることが決定しており、「モバイル端末やPC、PCディスプレイにおいてDPはデファクトスタンダードになりつつある。AR/VR端末や自動車などの関連製品においても、更なる利用拡大が期待できる」とした。

USB4の概要。DP Alt Mode機能がマンダトリとなった
TxからRxへの信号の流れ

インターフェイスに関して、同氏は「デスクトップPCなどにおいては、フルサイズのDisplayPortコネクタを求める声も多く、mini DisplayPortコネクタ含め、引き続きサポートは続ける。ただ今後は、USB-Cコネクタを使ったDPの拡がりが主流となるだろう」と述べた。

VESAの加盟の主な国内メーカー

'19年6月にアナウンスしたDP 2.0についても説明が行なわれた。

DP 2.0では、従来(DP 1.3/1.4)の1レーン/8.1Gbpsだったリンク速度が20Gbpsまで拡張。4レーン使うことで、最大リンク速度80Gbps・最大ペイロード77.37Gbpsの伝送パフォーマンスを実現し、最大16K/60p HDR(10bit 4:4:4)の圧縮映像、もしくは10K/72p HDR(同)の非圧縮映像伝送をサポートする。16Kのシングル伝送や、4K/8Kディスプレイへの多面表示、ヘッドセットへの4K×4K/HFR表示などの用途が期待されている。

従来比で約3倍の伝送レートを実現
4レーンを使えば、最大16K/60p HDR(10bit 4:4:4)の圧縮映像や10K/72p HDR(同)の非圧縮映像が伝送可能

高レートのデータを安定して伝送できるよう「DP8Kケーブル」の認証プログラムも用意する。「伝送レートが10Gbps程度の場合はパッシブ型でも問題ないが、20Gbps以上になるとパッシブ型ではケーブル長に制約が出てくる。現在、アクティブ型DP8Kケーブルのテストプログラムを策定中だ」とした。

DP 2.0製品の開発と認証は'20年を予定する。市場投入については「認証~製品が市場に並ぶまでは通常、およそ1年程度が目安。ただ、DP 2.0になることで大幅な設計変更が要求されるわけではないため、タイムスケジュール的にはもう少し早く投入できるのではないか」と述べた。

VESA コンプライアンス・プログラム・マネージャのジム・チョート氏

グラナイト リバーラボ・ジャパンでエンジニアリングマネージャを務める永田学氏からは、DP規格のコンプライアンステストに関する説明が行なわれた。

グラナイト リバーラボ・ジャパンの永田学氏

VESAでは、DP規格を採用したディスプレイのHDR性能(HDR10)を示す「DisplayHDR」ロゴプログラムを'17年より導入している。「DisplayHDRは、VESA加盟を問わず様々な企業が参加できるよう、オープンな仕様になっている。テストツールもMicrosoftストアからダウンロード可能だ。今ではVESAの中で最も成功しているロゴプログラムに拡大した」(チョート氏)と話す。

具体的なテスト方法としては、完全暗室環境でHDRテストアプリを再生し、照度計といった試験装置を使い黒輝度・白輝度・色域・色深度などを測定することで、HDR性能をクラス分けしているという。

会場に設置されていたDPコンプライアンステストに用いる機器
試験装置と試験項目

クラス分けとしては、液晶モデルを対象に「DisplayHDR 400/600/1000」の3種を用意していたが、19年1月に「DisplayHDR 500」と、有機EL/microLEDなどの自発光型を対象とした「DisplayHDR TRUE BLACK 400/500」を追加策定。後者のDisplayHDR TRUE BLACKにおいては、許容する黒レベルを0.0005cd/m2まで低減している。

さらに9月には、高輝度な液晶モデル用に「DisplayHDR 1400」を新設。1400レベルでは、従来の1000レベルに比べて3.5倍のダイナミックコントラスト比を設定した。なお、世界初のDisplayHDR 1400認定モデルは、ASUS「ProArt Display PA32UCG」という。

「DisplayHDR 1400」を新設
自発光型のロゴ