ニュース

実写版「シティーハンター」監督・主演のラショー氏が、アニメ版制作陣と感動の対面

11月29日より全国公開される実写版「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」。監督・主演フィリップ・ラショー氏の来日を記念し、テレビアニメシリーズの監督であるこだま兼嗣氏や、アニメシリーズの諏訪道彦プロデューサーなど、アニメ制作陣も参加した「日仏会談!シティーハンターの夕べ」と題したトークイベントが開催。そのレポートが到着した。

(c) AXEL FILMS PRODUCTION - BAF PROD - M6 FILMS

イベントに参加したのは、実写版監督のフィリップ・ラショー氏と、その弟で脚本製作に関わったピエール・ラショー氏。日本からは、テレビアニメシリーズの監督であり、「劇場版シティーハンター<新宿プライベート・アイズ>」のこだま総監督、テレビシリーズのプロデューサー諏訪道彦氏、新宿プライベート・アイズのプロデューサー若林豪氏が参加した。会場は新宿区歌舞伎町にある「おとなのジャンプ酒場」。

「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」
(c) AXEL FILMS PRODUCTION - BAF PROD - M6 FILMS

監督・主演のフィリップ・ラショー氏とともに、共同脚本を務めた弟のピエール・ラショー氏は、「共同脚本で関われてすごく嬉しい。心からワクワクしてアドベンチャーのよう」と挨拶。監督は「私もピエールも小さい頃から日本のアニメを紹介する“クラブ・ドロテ”というTV番組を見て育った」と幼少期から日本アニメが大好きだったことを明かし挨拶した。

こだま氏は、一足先に作品を鑑賞し「シティーハンターをこんなに理解している人がいるのかと焦った」と本音をこぼす。諏訪氏は「笑いを超えて感心した。“やられた”と思った」と明かした。

若林氏は「この作品を観終わった後に飲みに行って、その時にこだまさんが“もし『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』の続編があるとして、もし自分が監督するとしたらこの作品を意識するかも”とおっしゃっていて……創作意欲を掻き立てられているこだまさんに驚いた。作り手として刺激を受けて、監督同士が作品を通して対話しているんだ」と驚いたという。

その話を受け、こだま氏は「やられたという気持ちと“負けられない”という気持ちがあって。自分にないものがあったし、看護師が両手を上げるシーンなんかは最高で……自分でやりたかった」と笑みをみせる。

監督は、「あのシーンは一番・冴羽獠の個性が出せたと思っているお気に入りのシーン。そこを挙げてくださるなんて、さすがです」と感動を口にした。

こだま氏は「マンガとアニメーションは表現する手法が違うけど、それぞれの相乗効果がある。映画もそう。これからも負けないように頑張ろうと思った。いい競争相手!」とコメント。ラショー氏も「もし本作の続編を作るとしたら、僕も<新宿プライベート・アイズ>を意識すると思う」と、お互い感化を受け、ライバル宣言した2人に観客から歓声が上がった。

諏訪氏は「本作では強烈なオリジナルキャラクターが登場して、そのキャラクターがそれぞれリョウとカオリに絡んでくる。映画を見ながら“絶対アニメではやらないよ!”と思うくらい驚いた(笑)でも観ているとだんだん愛着が湧いてくる。キャラクターの作り方に感心した」と語り、若林氏も「勇気のあるストーリーだと思った。<新宿プライベート・アイズ>では獠に、どんな危機を持ってくるか考えた時に、最新のドローン兵器などアクション要素で作ったが、実写版では、ドラマ要素で、危機を作り出していて凄いと思った」と話す。

ピエール氏は、ネタバレ満載のコメントをしようとした兄を制止し「冴羽獠にとって“最大の危機”とは何かを考えた時、たくさんの女性ではなく、1人の人しか愛せなくなることなんじゃないかと思い、ここを軸に物語を考えていった」とコメント。そのコメントに登壇者と観客も大きく頷いた。

本作の脚本で大変だったことを尋ねられると「全部」と即答する監督。「リアルを貫こうと決めていたので、ハンマーやカラスをどうリアルに表現するか悩んだ」と明かし、ピエールは「獠と香、獠と海坊主の関係を扱うのは必須だと思った。そこが難関だった」と振り返る。

ラショー氏は「本当は、北条先生にも出演して欲しかったんです。あと少しで口説けたんだけど(笑)」と驚きのエピソードや、「実はピエールと続編作るなら、<新宿プライベート・アイズ>のように“キャッツ・アイ”を入れたいねと話していたんだ」と裏話も明かした。

また、諏訪氏はラショーが演じたリョウを「パーフェクト!」と絶賛。「アニメでできなかったことをしているのが凄い。カオリはどんどん香に見えてくるし、この映画のカオリが大好きになった」とコメントすると、ラショーは「カオリに恋されると困る(笑)。カオリを演じたエロディ・フォンタンはプライベートでも僕の大切なパートナーなので」と惚気もみせつつ、「カオリはバランスが難しかった。でも、北条先生が初めてこの作品を観てくださった時も、カオリを一番褒めてくれた」と明かす。

「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」
(c) AXEL FILMS PRODUCTION - BAF PROD - M6 FILMS

日本でも似すぎていると話題になった海坊主について、実は演出は簡単だったと語り、「海坊主役の役者には、この役は“ターミネーター”と思って演じて」と説明したことを明かし、的確な表現に観客からは笑いの声が上がった。

脇の濃い男性キャラクター2人に関しても「コメディ色を出したくて彼らを登場させた。タレク・ブダリとジュリアン・アルッティは2人とも5歳くらいの頃から知っている近所の幼なじみで、ジュリアンは本作の共同脚本としても参加している」と驚きの事実が判明。

フィリップ氏は「脚本には本当に時間をかけた。もっと北条先生からコメントがあると思っていたけど、最後のシーン以外はほとんど直しがなくてビックリした」と1年半かけた脚本の完成度の高さが伺えるエピソードも明かされた。

デラックス吹替版の話へ移ると、若林氏はアニメシリーズで獠を演じる神谷明さんが、今回の実写版のリョウを山寺宏一さんに託した際のエピソードを振り返り、「<新宿プライベート・アイズ>の打ち上げの2次会でバーに行った時、神谷さんと山寺さんが話し込んでいて。お2人がいる場所だけ違う空気でとても近づけなかった(笑)」と明かす。

諏訪氏は「良いキャスティングとしか言いようがない」とコメントし、「この最高の吹替キャストは本作の成功につながると思う。TVアニメも昭和から平成へ移り変わる時代だったが、今年も平成から令和へ。こんなにも時代をまたがって愛されている作品もなかなかない。ぜひ今年の“シティーハンターイヤー”はこの作品で締めくくってほしい」と太鼓判を押した。

最後に、監督は「子供の頃に日本のアニメで幸せな時間を過ごした。こうしてレジェンドの皆さんと語り合っていること自体が感謝」と喜びをみせ、「この作品をフランスで公開した後、フランスで“シティーハンター”の再放送が始まった。2019年に新たな世代にも届き始めているのが嬉しい。日本でも新たな世代へファンが広がるきっかけとなってほしい」と改めて作品への愛を伝えた。

実写版 あらすじ

ボディーガードや探偵を請け負う凄腕のスイーパー「シティーハンター」こと冴羽獠は、相棒の槇村香と日々様々な依頼を受けている。

ある日、ふたりに危険な依頼が舞い込む。それは、その香を匂った者を虜にする「キューピッドの香水」の奪回。これが悪用されたら世界は大変なことに!

タイムリミットは48時間。獠と香は、時間内に香水を取り戻すことができるのか!? 元傭兵の海坊主、美人刑事の冴子を巻き込みシティーハンターの香水奪回作戦がはじまる。

『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』本予告

シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション

監督:フィリップ・ラショー(「世界の果てまでヒャッハー!!」)
出演:フィリップ・ラショー(冴羽獠)、エロディ・フォンタン(槇村香)
吹替版(声の出演):山寺宏一、沢城みゆき、玄田哲章、田中秀幸、一龍斎春水、浪川大輔、多田野曜平、土師孝也、恒松あゆみ、三上哲、伊倉一恵、神谷明
日本公開:11月29日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
原題:NICKY LARSON et le parfum de Cupidon
配給:アルバトロス・フィルム