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日本初「IMAX Enhanced」映画配信を'19年内開始。TSUTAYA TVで
2019年11月1日 13:08
IMAXとDTSは1日、IMAX Enhancedの普及を目指し、TSUTAYAとの提携を発表。TSUTAYAは、2019年内にIMAX Enhanced対応の映画タイトルを独占的に配信するOTT(Over the Top)ストリーミングサービスをTSUTAYA TVにて開始予定。具体的なタイトルは、「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」や、「メン・イン・ブラック:インターナショナル」「スパイダーマン:スパイダーバース」など。IMAX Enhanced作品の視聴料金は都度課金で770円などを予定している。
IMAX独自の映像、サウンド、スケールを家庭で楽しめるというIMAX Enhancedは、デジタルリマスターされた4K HDRコンテンツとDTSオーディオテクノロジーを、高品位なAV製品と配信サービスを組み合わせたプログラム。
今回の提携により、IMAX Enhancedコンテンツのレンタル・購入が、TSUTAYAの動画配信サービス「TSUTAYA TV」を通じて可能になる。
IMAX Enhanced版「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」は独自のアスペクト比とフル画面フルスケールで提供。他にも「メン・イン・ブラック:インターナショナル」、「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」、「スパイダーマン:スパイダーバース」、「スパイダーマン:ホームカミング」などのソニー・ピクチャーズ作品をラインナップする。
「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」に関しては、映像が16:9サイズになる“IMAXシーン”を40分程度収録。他に作品も同様に、画面が上下に広がるIMAXシーンを収めているという。視聴料金は、都度課金のレンタルが1本770円。購入は今後対応予定で「おそらくは3,000円台になる予定」(TSUTAYA説明員)とのこと。
素材作成に関しては、映画会社から提供されたIMAX Enhanced版のデータを、TSUTAYA TV側で映像と音声をそれぞれ圧縮し、OTT用データを作成。「TSUTAYA TVとしては、4Kタイトルを初めて扱うことに加え、dtsのエンコードも初めてだった。IMAX Enhancedが要求する高い品質とデータ量のバランスが非常に難しく、サービス開始まで細部を詰めている状況。サービス開始のアナウンスと併せて、推奨の通信環境などを掲示する予定だが、回線速度は20Mbps程度になるだろう」(同上)という。
TSUTAYA TVのIMAX Enhancedコンテンツを視聴するには、IMAX認証機器が必要となる。IMAX認証機器で無い場合は、TSUTAYA TVにアクセスしてもIMAX Enhancedの作品リストは表示されない。
なお、11月22日~24日に開催される「東京コミコン 2019」にて、IMAX Enhanced対応コンテンツの視聴体験会を開催するという。
サービス開始当初のIMAX Enhanced認証機器は、ソニー4K有機ELテレビ「BRAVIA A9G」「A9F」、4K液晶テレビ「Z9F」「X9500G」シリーズ。いずれもテレビ本体のソフトウェアを最新にする必要がある。今後対象モデルの追加も予定しているという。
ディスプレイにおけるIMAX認証は数百項目に及び、実機をIMAXに送付し最終確認を行なうという。ただ、Dolby VisionやNetflixなどと異なり、BRAVIAに「IMAX Enhanced」専用の映像モードは無く、「視聴時は、手動で“カスタムモード”(旧名シネマプロ)にして楽しんでほしい」(ソニー説明員)としている。
発表会には、XPERIのギア・スカーデン氏が登壇。
スカーデン氏は「TSUTAYAとの提携により、日本でIMAX Enhancedのコンテンツを提供できることを大変嬉しく思う。日本のエンターテイメント市場を牽引し、歴史あるTSUTAYAと提携することは非常に自然なことだった。ソニーも加わったことで、素晴らしい組み合わせになったと思う。IMAX Enhancedは、IMAXならではの映像と、dtsのサウンド、スケールを家庭に提供するものだ。是非高品質な作品群を自宅で楽しんで欲しい」と述べた。
TSUTAYA Digital Entertainmentの山内氏は「TSUTAYAは30年間に渡り、映像関連サービスを手掛けてきた。映像が進化し、メディアが変わる度に、ユーザーの感動が大きくなる様を目の当たりにしてきた我々としては、そうした体験をどこよりも早く提供したいと考えていた。日本における初めてのIMAX EnhancedプログラムをTSUTAYA TVで展開できることを光栄に思うと同時に、大きな喜びを感じている。今後は対応作品、対応デバイスが増え、IMAX Enhanced対応機がリビングで1番になることを期待する」とコメント。
IMAXのマーコウ氏は、IMAXの近況について触れ「IMAXは現在、80カ国1,500以上の劇場に導入されている。1館1館カスタマイズされ、巨大なスクリーンとIMAX用に調整された映像、そしてイマーシブサウンドにより、臨場感と没入感に溢れる視聴体験が味わえる。毎日キャリブレーションしているのも特徴だ。日本でも年末には36館を数え、IMAX版『天気の子』は日本で公開されたIMAX映画としては最高収益を記録し、我々も大変嬉しく思っている」と説明。
続けて「IMAXはカメラからDMRを含むポストプロダクション、劇場、マーケティング、そして家庭に至るまで、全てのワークフローに関わっており、製作者の意図を損なうこと無く、そして高い品質を維持しながら届けることが出来るのがIMAXプログラムの強みだ」と語った。
トークショウも行なわれ、ゲストとしてソニーホームエンタテインメント&サウンドプロダクツの小倉敏之氏が登壇。
小倉氏は、テレビの役目について「テクノロジーの進化のおかげで、劇場の画と音がデジタルで家庭に届けられるようになった。家庭用テレビの役目は、やってきたデジタルの画と音のデータを“光”や“波”といったアナログに変換することだと考えており、我々は“正確”かつ“より良く”変換することに尽力してきた。BRAVIAのX1プロセッサーは、正確かつ、信号を間引くことなく処理することで、製作者の意図が保持できるようになっている。そしてそのプロセッサーを最高のデバイス・技術と融合させることで、BRAVIAはコンテンツが持つパワーをそのままユーザーに届けることができる。IMAXのような最高品質のコンテンツがやってくることで、我々の努力は報われる」と語った。