ニュース

IMAX Enhanced拡大、テレビなど対応機器とコンテンツの現状。いつ頃から楽しめる?

DTSを展開するXPERIの「CES 2019」ブースでは、AVアンプなどで導入が進んでいる「IMAX Enhanced」のコンテンツを体験できるデモを実施。今後の対応製品増加やコンテンツ拡大が見込まれるIMAX Enhancedに、多くの来場者が関心を寄せていた。

CES 2019のXPERIブースでIMAX Enhancedのデモを行ない、多くの人が来場

IMAX Enhancedは、対応コンテンツと、IMAX Enhanced認証機器を組み合わせ、認証機器に搭載されている「IMAXモード」を選択する(自動で切り替えも可能)ことで、“IMAXクオリティ”が家庭でも楽しめて、より没入感のある体験が可能になるというもの。詳細は'18年12月の記事で紹介している。

映像で分かりやすいポイントは、上映用に用意された「IMAXマスター」が使われる点。“IMAX画角”のまま高画質な映像が楽しめるという。音声に関しては既存のDTS:X技術を使っているが、IMAX劇場の音に近づけるため、機器で「IMAXモード」を選ぶと低音がより強調されるチューニングになるという。

“IMAX画角”で楽しめる

CES会場に用意されたブースでは、ソニーの77型有機ELテレビ「77A9G」による映像と、マランツのAVセパレートアンプ、4台の天井スピーカーやサブウーファーを含む推奨の7.4.4chスピーカーの音声で体験可能。A9Gの高コントラストな映像で没入感が高まり、4台のサブウーファーを使っている効果もあって低域の迫力は通常のDTS:Xよりも圧倒的に強い。ただし低域のゴリ押しではなく、DTS:Xの立体的な音の動きも十分に楽しめた。

77型有機ELのA9Gと7.4.4ch環境で体験

IMAX Enhanced対応環境が徐々に整備。後からアップデート対応は可能?

米国時間の7日に発表された通り、IMAX Enhancedコンテンツが観られる映像配信サービスが決定。対応プラットフォームは、Tencent Video(中国)、FandangoNOW(米国)、Rakuten TV(欧州 ※日本のRakuten TVとは異なる)が提供。さらに、Privilege 4K(米国エリア)は、ソニーBRAVIA向けに配信を予定している。日本はまだ入っていないが、実現に向けた取り組みは進んでいるという。

また、「Alpha(原題)」など15タイトルをラインナップ。パラマウントも'19年に同社初のIMAX Enhancedコンテンツをリリース。これらは配信に加えて、UHD BDでの展開も予定する。他のハリウッドスタジオからも、数社が対応予定とのこと。

ソニー・ピクチャーズ「ヴェノム」などの作品が対応

ハードウェアについては、日本でも対応予定製品を発売しているデノンやマランツのほか、Arcam、Elite、Integra、Lexicon、Onkyo、Pioneer、TCL、およびTrinnovがデバイスパートナーとして参加を表明。Arcam、Elite、Integra、Lexicon、Onkyo、Pioneer、TrinnovからはIMAX Enhanced対応AVアンプ、そしてTCLからはIMAX Enhanced対応テレビが一部地域で'19年より発売される。

日本で発売されている対応予定製品はAVアンプで、テレビは米国発表されたソニーの最上位有機ELテレビ「A9G」が対応するものの、国内モデルではまだアナウンスは無い。IMAX Enhanced対応ではないテレビでも視聴は可能だが、対応テレビでは、より高水準な体験ができるとのことなので、実際にどのクラスのモデルまでがサポートするかは気になる点だ。

ソニーの有機ELテレビA9Gが対応をアナウンス

IMAX Enhanced認定機器のハードウェアはスペックとしては決まっており、認証作業はXPERIとサードパーティーが実施するものの、実際にどのテレビが搭載するかは、メーカー側が決定することになる。スペック上でクリアしたもの全てに搭載するのか、その中でも新モデルやプレミアムモデルに限って提供するのかは、メーカーによって分かれる。

基本方針としては、今後の新製品から対応ということになりそうだが、既にAVアンプでアップデート対応予定機種があるように、テレビについてもハードウェアスペックを満たしていれば、技術的には後からのアップデート対応も可能とのこと。最終的にはメーカーの判断となりそうだ。

音声についても、DTS:Xに対応したテレビ向けSoCソリューションがメディアテックより'19年後半にリリースされることが発表。IMAX Enhanced対応テレビなどへの採用を見込んでいる。

現在DTS:X音声に対応している製品は主にAVアンプだが、前述の配信サービスなどからストリーミングで受信する場合は、テレビアプリで受信するケースが多いため、テレビ側も対応する必要が出てくる。このSoCを各テレビメーカーがテレビへ組み込み、認証作業を経て製品が登場する時期のターゲットとしては2020年モデルが想定されている。今後ストリーミングサービス側もDTS:X音声に対応すれば、IMAX Enhancedをストリーミングでも楽しめるようになる見込みだ。