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これで見納め!? シュワ&リンダ「ターミネーター:ニュー・フェイト」来日記者会見

「ターミネーター2」の正統な続編として描かれる、シリーズ新作「ターミネーター:ニュー・フェイト」。11月8日からの全国公開に先立ち、主演を務めたアーノルド・シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトン、マッケンジー・デイヴィスらキャスト陣が来日し、都内で記者会見が行なわれた。会見でシュワルツェネッガーは「素晴らしいキャストとスタッフによって、本当に誇らしい、素晴らしい作品に仕上がった」と新作の抱負を語る一方、「ターミネーターを演じるのは、私自身はコレで最後だと思う」との衝撃発言も飛び出した。

写真左からガブリエル・ルナ、マッケンジー・デイヴィス、アーノルド・シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトン、ナタリア・レイエス

会見には、T-800を演じたアーノルド・シュワルツェネッガー、28年振りにサラ・コナーを演じたリンダ・ハミルトンほか、グレース役のマッケンジー・デイヴィス、ダニー・ラモス役のナタリア・レイエス、REV-9役のガブリエル・ルナが登壇した。

冒頭、シュワルツェネッガーは「日本に戻ってくることが出来て、とても嬉しい。私と日本の関係は'72年まで遡り、最初はボディー・ビルダーとしてエクササイズを披露した。以来、映画の宣伝はもちろんのこと、休暇でも訪れたし、そして大変ユニークなコマーシャルにも参加させてもらった。毎回日本を離れるときは、“アイル・ビー・バック”と話していて、私にとってとても大切な場所。来る度にとてもエンジョイさせてもらっている」とコメント。

新作については「ニュー・フェイトは、ジェームズ・キャメロンが原案を作成し、スペクタクルな脚本をティム・ミラー監督が素晴らしい内容にまとめ上げた。誇りを持って紹介できる作品だ。ターミネーターシリーズを手掛けることは非常にタフな作業だが、ティム・ミラーは演出や演技、アクション、VFXなど、あらゆる事柄に理解があり、的確に仕上げた、才能溢れる監督」と、仕上がりに自信に見せた。

アーノルド・シュワルツェネッガー

続けてリンダは「私も今回の来日はとても嬉しい。実は来日するのは(ジェームズ・キャメロンと同行した)『タイタニック』のワールドプレミア以来、2度目。これからも何度も訪れたいし、次回は是非観光で来たい」と話した上で、「アーノルドとは35年来の友情と信頼がある。互いに尊敬し、冗談も話せる。そんな関係の人は他にいない。今回の共演は、アーノルドとの信頼と歴史があったからこそ、実現できた」と述べた。

リンダ・ハミルトン

未来から送り込まれたスーパーソルジャー・グレースを演じたマッケンジーは「美しい日本を、訪れるこの瞬間を一生待ち続けていた。そして素晴らしいキャストと一緒に、この映画を紹介できることを、とても光栄に思う。1人でも多くの方に『ターミネーター:ニュー・フェイト』を早く観て欲しい」とコメント。

続けて「リンダとアーノルドの歴史を継承できること、そしてそれを間近で参加することができた今回の経験は、かけがえの無いもの。私もまた、スクリーンで観たサラ・コナーの女性像に感銘を受けた1人だった。ティム・ミラー監督はあらゆる事に精通した素晴らしい監督で、何よりもキャラクターとストーリーの描き方が素晴らしいと思う」と監督の手腕を称えた。

マッケンジー・デイヴィス

本作で鍵を握る女性ダニーを演じたナタリアも「コンニチハ。このように素晴らしいキャスト、しかもレジェンドの2人と来日することができて、本当に今もワクワクしているし、私の夢が叶った。実は日本の食事も、日本の文化も大好きなのです」と来日の喜びをコメント。

新作に参加した感想については「世界中で愛されている物語に参加できたことは、私にとって“ギフト”であり、とても光栄なこと。間近で見るレジェンドの仕事ぶり、抑制的で全てに気を配る意識の高さは、感銘の連続だった。本作で私は、ラテン系を代表して出演させてもらっているが、これは多様性の証。私だけでなく、色々な人がハリウッドに参加できる余地があるのはとても素晴らしいことです」と話した。

ナタリア・レイエス

本作で主人公らを苦しめる新ターミネーターを演じたガブリエルは「今日は日本に招いてくれて本当にありがとう。日本は“私が行きたかった国リスト”のNo.1でしたし、何よりも日本の文化に興味を持っていた。私は小さい頃から“ターミネーター”のファンでしたから、憧れたレジェンドと同じ舞台に立てたことを今でも信じられないほど」とコメントした上で、「あまり詳しくは話せませんが、劇中、日本文化の、あるテクニックを応用しているシーンがある。是非そうしたシーンにも注目してほしい」と述べた。

ガブリエル・ルナ

記者からの「35年前から変わったこと、変わらなかったことは?」との質問に対して、リンダは「アーノルドは俳優として成功し、家族ができ、そして知事・政治家になった。今は環境保護を訴える活動もしているし、何より彼はチェスの名人でもあるの。35年間を通して、彼があらゆる面で大きく、成長する姿を見てきた」とコメント。

シュワルツェネッガーも「私とリンダは、シリーズの1作目から友情を築いてきました。私が知事になる就任式にも、彼女は共和党員ではないにも関わらず出席してくれたほど」と互いの信頼を改めて強調した上で、「リンダは、『ターミネーター』で女性のアクションヒーロー像を創り上げた。アクションは完璧で迫力に溢れ、説得力ある演技はこれまでの女性アクションで見ることができなかった。そしてリンダは、『ターミネーター2』で、さらにその演技を高めた。だからこそ、キャメロンが“新しいアイデアなんだ”と原案を持ってきた時は、リスクも感じていた。彼女が”T2”で見せた演技の質に到達できるだろうかと……。」

「でも、それは杞憂だった。実際私が見たリンダのアクションは見事で、圧倒させられた。彼女は60歳を過ぎても、軍事的なトレーニングを重ね、献身的に、そして誰よりも先進的に準備を行なったと思う。そしてその姿が私たちに与えたインスピレーションは、本当に重要なものだった。あまりこのようなことを言いたくはないのだが、昔の作品に彼女がいなかったのは、間違いだったと思う」とリンダの演技を絶賛した。

サラ・コナー演じるリンダ・ハミルトンの存在が、女性アクションヒーロー像を高めたとするシュワルツェネッガー

アクションで苦労したシーンを訊ねられると、ガブリエルは「リンダが僕をグレネードランチャーや火炎放射器で撃ちまくるシーンは、自分の中で最高の1シーン。レジェンドが僕に銃口を向けたり、照準器越しに僕を見ている様は本当に興奮した」と発言。マッケンジーも「REV-9と車でチェイスするシーンを、南スペインで一週間半撮影したのですが、その最後にリンダが現れ、REV-9に銃を撃ち込む姿が本当にかっこよかった」とコメント。

ナタリアは「思い出深いのは、ブダペストでの水中のシーン。撮影は1カ月半近くにまで及んで、夜6時から朝6時まで、12時間連続して撮影しました。私は本当に死ぬかと思って、撮影を終えた最後の日はヘロヘロだったのだけれど、その時リンダは隣で“さ、行くわよ”と話して、信じられないほど元気に歩いていて…(笑)」と超人並みのエピソードを披露。

リンダは「ありがとう、みんな。まるで番組“This is My Life”の主人公になった気分みたいよ(笑)」と会場をなごませた上で、一番難しかったのは名台詞「アイル・ビー・バックのセリフだった」と吐露。

「“アイル・ビー・バック”は35年間、私の頭の中で、アーノルドの声で響いているの。だから、自分のものにするまでに何度も何度もトライした。撮影の後、監督に“どうだった?”と訊ねると、“アーノルドみたい”と言われたわ(笑)。それからさっき、ナタリアも話していたけど、長期間の水中撮影があって、私は耳に炎症を起こしてしまった。水中撮影の後、待っていたのは逆さ吊りのシーン。バランスが取れないし、吐き気もしてしまって、本当に大変だった」と撮影の苦労を明かした。

シュワルツェネッガーは「私はREV-9との格闘を心から楽しんだ。スタントやVFXを重ねるシーン、それにワイヤーで吊られたり、小道具が飛びかう危険なシーンもあるけれど、何より生身で彼と闘うシーンが本当に楽しかった」と話すと、ガブリエルは「シュワルツェネッガーは僕の頭ほどもある大きな手で、何度も何度も殴るんだ。でも僕の心の中は、童心に返ったみたいで、憧れの彼との格闘に内心喜んで、興奮していたんだ」と話した。

第1作の製作当時、ここまで続くシリーズになることを想定していたか、との質問には「ターミネーターシリーズがここまで愛されるものになるとは、誰も予想していなかったと思う。製作前は小さな、B級アクションムービーと思われていて、スタジオも主要な作品と捉えていなかった。結果的に『ターミネーター』は大きな反響を呼び、当時のTIME誌のTOP10にも選ばれた。その後も多くのシリーズが作られて……4作目は州知事をしていたから、参加できませんでしたが(笑)。ただ、私にとってターミネーターは本当に大きな影響を与えてくれました。」

「実は当初、私はターミネーター役に関心が無く、本当はカイル・リースを演じたかったのです。でも、キャメロン監督が私を信頼して、根気よく説得して、ターミネーター役を演じることになりました。ターミネーターは、先見性あるキャメロン監督のビジョンの賜物。もちろん観客が決めることだとは思いますが、私自身はターミネーターを演じるのはこれが最後だと思っています」とした。

最後、もし過去に戻れるとしたら? との質問に、リンダは「1984年に戻って、『ターミネーター』に出演している私の髪型を直したい。それから……出来れば、2016年の大統領選をやり直したいわ」とコメント。

一方のシュワルツェネッガーは「100年前に戻って、当時の人々に化石燃料をあまり使わないように説得したい。化石燃料を消費することで、温室効果ガスや水質汚染が発生し、多くの人々を苦しめることになるから」と元州知事らしい問題を提起し、記者会見を結んだ。

映画『ターミネーター:ニュー・フェイト』本予告【新たな運命編】11月8日(金)公開