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マクセル、車載カメラの映像をリアルタイムに見やすく補正する技術

高演色画像処理の効果(イメージ)

マクセルは、人間の視覚特性をモデル化したRetinex理論を応用した高視認化処理と、色彩を強調する色復元技術を組み合わせた独自の高演色・高速画像処理アルゴリズムを開発。車載カメラの映像に適応してヘッドアップディスプレイ(HUD)に表示することで、夜間や悪天候時の視認性を改善し、安全運転を支援するシステムなどが実現できるという。

この高速画像処理アルゴリズムをハードウェアに実装することで、演算に伴う遅延を大幅に低減し、60fpsのリアルタイム処理を実現。原理的には120fps以上の高速カメラ映像へも対応できるとしている。局所コントラスト改善比率は2倍以上。製品実装形態はFPGAまたはASIC。処理時間は16ms以下。

さらに、高演色アルゴリズムにより悪天候時の車載カメラ映像を明るくするだけでなく、色鮮やかに補正することが可能となり、歩行者や道路標識など、安全運転に必要な情報をより見やすくできるという。映像内容に応じた補正で画質を最適化できるため、車載向け以外にも、監視カメラ、テレビ会議システムなど幅広い分野での適用が見込まれる。

車載カメラ画像での補正効果イメージ(夕方)
車載カメラ画像での補正効果イメージ(夜間)
車載カメラ画像での補正効果イメージ(霧)

コントラスト補正や明るさ補正などで映像の明るさを調整する場合、映像全体を一律に補正するため、元々明るかった部分が潰れて見えにくくなったり、色が薄くなったりすることがあるが、高演色画像処理技術では、画像の領域ごとの特徴に応じた補正を施すとともに、色成分を復元することで高い視認性を実現。これにより、晴天時の明るい環境下だけでなく、夜間、雨天、霧などの悪環境下においても、周囲の環境に応じた見やすい映像になるとしている。

マクセルでは、この高演色画像補正技術を「車載映像表示システム」のコア技術の一つと位置付け、HUDを始めとした映像表示装置と組み合わせて2021年から順次市場投入。さらに、これまでプロジェクターやHUD開発で培ってきた光学技術や現在開発中の3D映像表示技術と併せて、車載映像表示システムのほか、監視システムやサイネージシステムなどへの展開を図る。