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世界初の家庭用DVDプレーヤー、東芝「SD-3000」が未来技術遺産に

世界初の家庭用DVDプレーヤー「SD-3000」

東芝は15日、1996年に販売した世界初の家庭用DVDプレーヤー「SD-3000」と、世界初のDVD用MPEG-2デコーダーLSI「TC81201F」が、国立科学博物館が選定する令和2年度の「重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)」に登録されたと発表した。

未来技術遺産とは、独立行政法人国立科学博物館(産業技術史資料情報センター)が、日本の科学技術史資料のうち、「科学技術の発達上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つもの」や「国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えたもの」に該当する資料を選定し、「重要科学技術史資料登録台帳」に登録しているもので、2008年度から毎年行なわれている。

今回登録された「SD-3000」は、1996年11月に世界初の家庭用DVDプレーヤーとして販売された製品。

1990年代前半に始まったDVD開発は、それまでのAV機器と異なり、映画産業などのコンテンツ側の意見を取り入れながら規格化が進行。東芝はDVDの規格化を主導し、規格の取りまとめや、基幹部品、コンテンツ作成のための装置、プレーヤーの開発などを並行して進めた。SD-3000はDVD、そして今日のBlu-rayへの発展の幕開けを告げる機種として評価されたという。

世界初のDVD用MPEG-2デコーダーLSI「TC81201F」

SD-3000と共に登録された「TC81201F」は、家庭用DVD機器の実現を可能にしたキーデバイスで、DVDに特化した1チップのMPEG-2デコーダLSI。

DVDでは、要求される画質を限られた容量のディスクにデジタルデータとして記録するためにMPEG-2圧縮技術を採用。このMPEG-2信号を復号(デコード)するには大規模な電子回路が必要であり、家庭用DVD機器の実現には1チップの素子開発が不可欠だった。

東芝では、既に存在したMPEGデコーダICを基礎にして、DVDに特化した1チップLSIとして世界初のDVD用MPEG-2デコーダLSIを開発し、SD-3000の最も重要な基幹部品として採用された。後継として周辺機能を取り込んだ高集積なLSIが開発されるが、その基礎となったLSIとして評価されたという。

なお、今回登録されたDVDプレーヤー「SD-3000」、およびMPEG-2デコーダLSI「TC81201F」のパネル展示が、9月15日から27日までの間、国立科学博物館・日本館にて行なわれる。東芝未来科学館では、SD-3000の実機を展示している。