ニュース

テレワークで注目“ネックスピーカー”の裏側。JASジャーナル最新号無料公開

音質重視の「没入派」モデル「AN-SX7」

日本オーディオ協会は、オーディオビジュアル関連のニュースや新技術、各種イベントのレポート、協会会員による投稿などを掲載した「JASジャーナル」の2020年9月号(Vol.60 No.5)を公開。シャープのネックスピーカー「AQUOS サウンドパートナー」のテレワークでの活用や、三研マイクロホンが手掛ける、音楽用の超広帯域単一指向性コンデンサマイク「CUX-100K」の紹介などが掲載されている。

AQUOS サウンドパートナーについては、シャープのTVシステム事業本部 BtoB事業推進部長田俊彦部長が執筆。製品には音質重視の「没入派」モデル「AN-SX7」と、使い心地重視の「ながら派」モデル「AN-SS2」をラインナップ。商品としては、ネックスピーカー本体に送信機が同梱されているモデルが人気だという。送信機をテレビに接続するユーザーが多いとのこと。

使い心地重視の「ながら派」モデル「AN-SS2」

音質重視の「AN-SX7」では、音質を向上させるために、蛇腹形状のゴムの中に、中央に重りを付けたチューブを取り付けた“振動ユニット”を開発。スピーカーの振動が蛇腹形状のゴムに伝わることで蛇腹が変形し、パッシブラジエータのように動作。さらに蛇腹内のチューブがバスレフダクトの役割を担うことで、形状的にスピーカーの容積を十分に確保できない中でも、低音域から高音域までバランスよく再生できるという。

使い心地重視の「AN-SS2」では、小型軽量化が求められるため、スピーカー容積など高音質の実現に対する制約は、“没入派”に対してさらに大きくなるという。また、音質重視ではないものの、AN-SS2ではスピーカーボックス構造の開発と、信号処理による機能追加を実施。

スピーカーから耳に効率的に音を届けるために、スピーカーの出口の構造を工夫。通常では周りに漏れてしまう音を、スピーカーの出口で反射させるために、リフレクタ機構を採用。信号処理では、ニュースやドラマなどで流れる人の声がよりくっきりと聴こえるように、クリアボイス機能を追加したとのこと。

ハイレゾ対応マイクの開発秘話も

ハイレゾ配信の活発化で、100kHzまで収音できるマイクが注目を集めているが、100kHzまで集音できる性能がありつつ、単一な指向性を持つ超広帯域マイクは少ない。三研マイクロホンが開発した「CUX-100K」は、そのニーズに向けて投入する新製品だ。三研マイクロホン技術部の盛田章氏、金子孝氏、千葉裕氏が執筆している。

内部には、主要帯域を受け持つマイクと、超高域を受け持つマイクの2ウェイ方式を採用。2つのマイクカプセルの出力を合成する際のクロスオーバー周波数は10kHz。10kHzまでの主要帯域には、新しく開発した長方形振動膜を持つ単一指向性カプセルを採用。

超高域(10kHz~100kHz)には、音楽用全指向性マイク「CO-100K」で使っているカプセルを採用。

また、新製品では単一指向性(Far)、若干高域を減衰させた単一指向性(Near)と全指向性の3パターンに、収音対象、状況に応じて切り替えられるようになっている。