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パナソニック、客席からの見え方をVR化する「View-esT」
2021年1月19日 12:40
パナソニック ライフソリューションズ社は、ラムサの西豊彦代表取締役と東京都市大学建築都市デザイン学部建築学科の勝又英明教授と共に、VRなどにより、各座席から舞台がどのように見えるかなどを事前に把握することで劇場・観覧施設の最適な計画・運用を支援する設計評価手法「View-esT」を確立。特許を申請した。
劇場やホールなど観覧施設では、計画・設計段階で客席から舞台が見えやすいかを判別することが難しい場合があり、施設完成後に施設利用者から「お困りごと・苦情」などの形で顕在化することがあるという。
今回確立した「View-esT」では、従来の評価手法ではできなかった評価基準を数値化し定義することで可視化。課題解決を支援する。
計画・設計段階から本手法による独自の評価、およびVRによる可視化を通じて、各座席から舞台がどのように見えるかなどを事前に把握。竣工後の施設運用イメージも含めて計画段階から評価を行なうことで、設計にスムーズに反映させ、より良い施設の実現に繋げるという。また、新設施設だけではなく、既設施設の現状把握や改修計画にも対応ができるとする。
「View-esT」は、見え方総合評価プログラム、一体感および親密性の計測・数値化・評価プログラム、照明配置評価プログラム、劇場等計画支援VRシステムの4つで構成。
見え方総合評価プログラムでは、従来存在しなかった舞台の見え方に関する明確な評価手法・設計プログラムを確立。様々な身長の視点に対応し、複数の目標を多数の視点で同時検証可能で、見やすい設計法を実現したという。また、設計前に客席からどのように舞台が見えるかを評価できるとする。
一体感及び親密性の計測・数値化・評価プログラムは、抽象的なため理解しづらい一体感や親密性を数値で具体化し、「良質な劇場の創出に活用する」としている。親密性が高いと、舞台の演者からは観客が近く詰まって見え、観客は舞台をより近く感じ、臨場感がより一層高まるという。
照明配置評価プログラムでは、照射対象と光源位置を立体的に計算し図上で評価。より効果的な照明配置を実現する。
劇場等計画支援VRシステムは、パナソニックが1990年より培ってきた、都市計画やホール・アリーナ・スタジアムなどで多くの実績を残しているVR技術を活用したもので、劇場・観覧施設などの計画・設計前段階に重要な要素の検討・判断・共有が可能だという。
また、VRによって可視化されたデータは、主催者が客観的な視点でチケッティングやマーケティングにも応用可能。鑑賞者は、事前に購入予定の座席の見え方をスマホやPCなどからVRイメージで確認でき、客観的な評価をもとに検討してチケット購入ができるとする。
パナソニックは今後、「『View-esT』を広め、より良い劇場などの創出に貢献することにより、文化・芸術の発展に寄与していく」としている。