ニュース

リコー、全方位から裸眼で立体映像が見られる「WARPE」開発

「WARPE」のイメージ

リコーは、新事業創出に向けたプログラム「TRIBUS 2020」の1つとして、現実空間に全方位映像を映し出せる投影装置を社内チームで開発、認知度拡大と市場性の検証をするため、デジタルサイネージ用途で2021年3月から「WARPE」(ワープイー)ブランドとしてビジネスパートナーを募り、市場探索を開始する。

WARPE 000 - 試作機
WARPE 001:裸眼立体-メタバースとの遭遇

装置の真下から上に向けて光を投射、独自に開発した特殊な回転スクリーンに当たった光の残像で立体映像を表示させる体積走査型の投影装置

光の点を多数空中に配置し、それで立体映像を構成している。例えば人の顔を表示した場合、横方向から見るだけでなく、斜め上から見た場合は頭のてっぺんを、斜め下から見た場合はあごの下を見ることもできる。

試作機の表示。中央に黒い棒のようなものが見えるが、これは映像が見えにくい部分が黒くなっているだけで、実際に棒があるわけではない。下の映像は格闘ゲームをイメージしたもの

実用化に向けて開発を進めており、現時点では人の頭のサイズ(直径200mm、高さ250mm)で立体映像のカラー動画表示を実現。特殊な眼鏡や専用のヘッドセットを使わずに、複数人で、全方位から、裸眼で同時に立体映像が見られる。

仮想空間の三次元デジタルコンテンツを、現実の世界に同化するかのように立体投影し、顧客とコミュニケーションをすることで、「新たな体験価値を提供し、ワクワクできる場所へと進化させることに寄与する」という。

開発にあたっては、三次元酔いを起こさずに、現実空間に実在するような完全立体表示を実現することにこだわっており、現時点で約3.7億ボクセル(三次元像を構成する画素の数)のカラー動画立体表示を実現。参考までに、フルハイビジョンの平面映像では二次元像を構成する画素の数は約207万画素となる。

2021年度中に試作機による実証実験や試験的な稼働を始め、2022年度中の実用化を目指す。将来的には、働く場における立体映像によるリモート会議や立体構造物のシミュレーション、モデリング支援、教育分野における立体構造把握支援、エンターテインメント、家庭用バーチャルアシスタントなど、幅広い用途で、デジタルコンテンツを使ったコミュニケーションの高度化に貢献していくという。