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U-NEXTがTVリモコンにボタンを入れる理由。“大画面”で長時間&満足に

Android TV搭載レグザのリモコンにも、U-NEXTボタンが搭載

U-NEXTは25日、「テレビデバイス戦略と視聴実態に関する勉強会」と題したメディア向けの説明会を実施。テレビでU-NEXTを楽しむユーザが増えている実績や、“大画面での視聴がコンテンツの視聴時間やサービスへの満足度向上に影響する”といった、自社サービスの最新動向を紹介した。

説明会は、先日発表したAndroid TV搭載4Kレグザ「X8900K」「Z670K」シリーズへのU-NEXTボタン搭載のアナウンスに合わせて開催された。レグザのU-NEXTボタンは、従来モデル(Linux OS版)から既に搭載されていたが、'21年夏モデル(Android TV版)の付属リモコンにも搭載されることが決定。

説明会に登壇した、U-NEXTの前田氏は「新発表のレグザに搭載されたことで、国内で発売されている全主要メーカーの最新モデルに“U-NEXTボタン”が搭載されることになった」と話す。

U-NEXTは現在、Netflix、Amazon Prime Videoに次ぐ売上シェアを持つ動画配信サービス。

21万本以上の見放題作品に加え、2万本以上のレンタル作品、そして60万冊以上のマンガ・書籍を用意した豊富なコンテンツ群と、テレビやSTB、スマホ・タブレット、ストリーミング端末などで視聴できるマルチデバイス戦略により会員数を年々拡大。2021年第2四半期時点で、有料会員数は217.9万人に達し、国内勢トップのサービスに成長した。

説明会では、テレビデバイス戦略の一環として、“テレビリモコンへのダイレクトボタン搭載”を積極的に進めてきたことを紹介。

前田氏はテレビリモコンへの搭載を推し進めた理由として「認知効果が高いこと」「サービスへの加入促進」「生涯顧客価値の増加」という3点を挙げ、「テレビのリモコンは、常日頃手にするものであるため、サービスを知らなかった方に対しても、U-NEXTの存在を伝えることができる。そして専用ボタンの搭載がユーザとの接触機会を最大化し、サービス加入へのトリガーとなる。また我々は実際の利用データから“画面サイズが大きくなればなるほど、視聴時間が長くなる”と判断しており、テレビでネット動画を視聴することがサービス満足度の向上に寄与し、ライフタイムバリューを高めることに繋がると考えている」と説明する。

U-NEXT マーケティング部 部長 前田弘之氏

近年のテレビデバイスの市場動向についても紹介。

「2018年春の時点では20%弱だった50型オーバーの出荷シェアが、直近では40%に迫る勢いを見せている。40~49型・50型以上を合わせると、出荷台数の実に70%近くとなり、テレビの大型化が確実に進んでいる。そして4Kテレビの出荷台数の増加も顕著になっている」と、テレビの4K・大型化がスタンダードになりつつあるという。

さらに、コロナ禍による生活様式の変化が、テレビのネット接続率を急速に後押ししたと分析。「コロナ前の2019年12月時点では、ネット接続率が41.6%であったのに対し、コロナ後の2020年6月には50.7%まで増加した。わずか半年で、約9ポイントの非常に驚異的な伸び」と話す。

もう一つ興味深いデータが、デバイス別のネット動画利用率。コロナ前後で比較すると、スマホやタブレットで視聴する割合が減り、テレビでのネット動画視聴が増えていることが分かったという。

U-NEXTでは、今後も動画配信をテレビで楽しむ傾向が続くと分析。まだテレビを使って動画配信を見ていないユーザ調査においても、実に6割以上が“テレビで見ることを検討中”、“興味あり”と回答しており「動画配信はテレビで観る時代になりつつあると感じる一方で、“テレビで動画配信を視聴する方法が分からない”、“設定・接続が大変そう”“テレビの買換えが必要では”などの声も聞かれた。U-NEXTとしては、こうした課題を1つ1つ解決していくよう努力する。動画配信をテレビで楽しむというスタイルは、まだまだ伸びしろが大きい」と動画配信とテレビの親和性を強調した。

U-NEXTユーザの利用実態も披露した。

前述の全体調査では、動画配信のテレビ利用比率は20%弱だったが、U-NEXTでの視聴実績では約45%を記録。「U-NEXTユーザは、動画配信サービスの全体平均よりも2倍、“テレビで観ている”」とした。さらにテレビ利用者の約65%がモバイル端末を併用。「テレビでの視聴だけでなく、外出先など、様々なシーンで、モバイル端末を使ってU-NEXTサービスが利用されている」と分析する。

年代別の利用デバイス種別を調査すると、若年層はモバイル、中高年層はPC・テレビの利用率が高くなり「年齢に比例して画面サイズが大型化」していることがデータから得られた。またコンテンツ別に見ると、韓流・アニメジャンルはモバイル視聴率が増加。それに対し、キッズジャンルはテレビの利用率が格段に大きくなった。

前田氏は「韓流やアニメは、比較的個人、パーソナルに楽しむコンテンツを考える。一方キッズコンテンツは、家族で楽しむもの。テレビは“誰かと一緒に見たい”というスタイルをかなえるデバイス」と説明。

さらに、テレビリモコンへの搭載を推し進めた理由として挙げた「生涯顧客価値の増加」をデータで披露。

「U-NEXTユーザの1人あたりの月間視聴時間を比べると、テレビの視聴時間は、モバイルやPCの1.5倍以上長いことが分かった。“大画面は視聴時間を増やすデバイス”とも言える。利用時間の増加はサービス価値が向上し、結果としてサービス継続率が高まることに繋がる。実際にテレビは解約率を劇的に抑制することがデータにも表れており、モバイル・PCの単体利用に比べてテレビの解約率は28ポイントも少ない。更に、複数デバイス利用にテレビが入ると約40ポイントも解約率が下がった。こうした結果は我々がテレビリモコンにダイレクトボタンを搭載することを目指す、大きな理由になっている」と話した。

説明会には、U-NEXTボタンを2018年より搭載した、ソニー・ブラビアのマーケティングを務める福田氏との対談も行なわれた。

福田氏は「我々ブラビアは、放送やネット動画に関わらずあらゆるコンテンツを提供したいという考えで製品をユーザに提供してきたが、近年は特にテレビとネット動画の親和性が重要になってきていると感じる。例えば、テレビ購入時の重視点では、3人に1人が“ネット動画が楽しめる”を選び、ネット動画の対応・非対応が購入を左右する要素になりつつある」とテレビとネット動画の関係性を強調。

ソニーマーケティング ホームエンタテインメントプロダクツビジネス部 統括課長 福田耕平氏

さらに「ブラビアのネット接続率は直近で80%に迫り、この2年間で年代を問わずネット動画の視聴時間が約2倍に増えている。先ほどの話で“大画面は視聴時間を増やす”とあったが、これは我々がブラビアを展開する上でも良い相関関係だ。U-NEXTは4KやDolby Vision、Atmosなどリッチコンテンツにいち早く取り組んだサービス。オンラインライブへの取り組みも速く、我々にとっても心強いパートナーだ。引き続きU-NEXTのアグレッシブさに期待してる」と話し、対談を締めくくった。