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NHK、「宛名なし郵便」7月利用開始。都市部から送付

NHKの前田晃伸会長は3日開催の定例記者会見において、宛名のない郵便物でも配達する新サービスについて言及。NHK受信料の徴収義務に関連し、訪問によらない営業活動の一環として、同サービスを7月から都市部で試験運用する考えを示した。また郵便物の中身については「いきなり請求書を出すということにはならない」とし、まずはNHKの案内・契約等の送付を検討しているという。

既報の通り、日本郵便が6月21日より試験導入する新サービス「特別あて所配達郵便」は、受取人の氏名が不明(無記載)でも、受取人の住所、または居所が記載されていれば郵便物を配達するというもの。条件を満たせば企業等が利用できるサービスとなっているが、NHKの営業経費削減案の1つとして、昨年秋からNHKと日本郵便の連携を総務省が働きかけていた背景がある。

前田会長は新しい郵便サービスについて、「利用できれば利用させていただきたい」とコメント。「今年から、基本的に訪問によらない営業活動を進めたいということで、今までみたいにものすごい数のダイレクトメールを限りなく配るという方式から少し精度の高いものにしたい。ちょっとお金もかかるが、これを使って、NHKとして、どの程度効果があるかを確かめながらやっていきたい」と意図を説明した。

時期とエリアについては、7月から都市部での配布開始を検討。「都市部でかつ大規模な、ある意味では郵便局の受け入れサイドの問題もあるため、大規模なところと中規模なところ、小規模なところ、それ以外のところと、まず手はじめにスタート」していくという。

受信契約率が最も低い沖縄から始める考えはないか、との記者の質問に対しては「沖縄は、歴史的な経緯があり、他と単純に比較するのはあまりよくない」とコメント。配布エリアに関しては「検証しながらやるしかない」としながらも、「支払い率が非常に高いところよりも、むしろ都市部でこのサービスを使い、いろいろな課題解決に持っていきたい。支払率の高いところで、やる必然性はあまりない」と答えた。

また郵便物の中身については「検討している最中。いろいろな形の内容物を研究する必要がある」とした。

請求書や住所変更届などを送ることを考えているか、という質問に対しては「いきなり請求書を出すことにはならない」と回答。「契約があるかないかもわからないのに、請求書を出すことにはならない。若干の手順を踏む必要がある。NHKが提供しているサービス、まず何を提供しているかという営業案内から入るのが普通。それに加え、どういう形でやると、どういう契約ができるという、入り口はそちらの方だと思う。(中略)分厚いダイレクトメールがドカンと行ってしまうと、たぶん見ないでそのまま捨てられるおそれがある」と話した。

なお昨年、NHKが総務省の有識者会議において、テレビを持っているか否かの届出や居住者情報の照会などを要望した件については「個人情報保護の観点から、結構ハードルが高いというなので、残念ながら、そこから進めていくのは、マイナスイメージばかり深まる」とし、現状考えていない旨を明らかにした。