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Amazon Prime Video、日本オリジナル作品拡充へ。スポーツ配信も

Amazonは30日、Prime Videoの今後の番組ラインナップや戦略を説明する「PRIME VIDEO PRESENTS JAPAN」を開催。新作ドラマとして「モダンラブ・東京」を2022年秋に配信する事や、2023年配信予定の「僕の愛しい妖怪ガールフレンド」、「エンジェルフライト」などの作品を発表。さらに「復活!風雲!たけし城(仮題)」や、ボクシング独占ライブ配信第2弾として、6月7日に井上尚弥 VS ノニト・ドネアのWBA・IBF・WBC世界バンタム級王座統一戦の配信も発表した。

人気番組の新作として「ザ・マスクド・シンガー シーズン2」と「バチェロレッテ・ジャパン」シーズン2が、2022年夏に配信予定である事もアナウンスされている。なお、「復活!風雲!たけし城(仮題)」やボクシングについては別記事で掲載している。

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モダンラブ・東京

モダンラブ・東京。左から黒沢清監督、池松壮亮氏、水川あさみ氏
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ニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたコラムを基に、愛にまつわる物語を描いたAmazon Original「モダンラブ」。2019年にアメリカで制作され大きな話題を呼んだ同作が、舞台を東京に移して描かれるのが「モダンラブ・東京」。2022年秋の配信予定。

7つの作品が作られており、キャストは水川あさみ氏、永作博美氏、ユースケ・サンタマリア氏、池松壮亮氏、ナオミ・スコット氏ほか。監督は平栁敦子氏、黒沢清氏、荻上直子氏、廣木隆一氏、山下敦弘氏らが担当する。

『モダンラブ・東京』特別映像

Amazonスタジオ日本オリジナルコンテンツ製作責任者である早川敬之氏は、「Amazon Original作品の中でもアイコニックな存在である『モダンラブ』の日本版を、世界のプライム会員の皆様にお届けできることをとても嬉しく思います。『モダンラブ・東京』で描かれるのは日常の中に愛です。恋人やパートナーへの愛はもちろん、自己愛、別れた恋人への愛など、誰もが共感できる世界共通の愛というテーマを描く素晴らしい作品が完成しました。日本を代表する映画監督の方々と俳優陣が集結した本作をぜひ楽しみにしていてください」とコメント。

平栁敦子氏監督作「息子の授乳、そしていくつかの不満」に出演する水川あさみ氏は、「愛の喜びとか愛の悲しみとか、誰にとっても普遍的なものがテーマになっています。今の時代に愛を語るのは少し恥ずかしくてくすぐったいですが、様々な愛の形や姿が描かれているので、自分はどの物語に寄り添えるのかとドラマを観て共感してもらえると嬉しいです」。

同監督作「彼は最後のレッスンを私にとっておいた」に出演する池松壮亮氏は、「平栁敦子さん、ナオミスコットさん、AmazonUSとJapanチーム、アメリカの撮影クルー、素晴らしい方々に出会い、人と出会うこと。想うこと。愛するということについて取り組みました。距離や違いを越えてゆくこのラブストーリーのプロセスと機微に今の時代の希望を探しました。Modern Love という素晴らしいシリーズの一員になれたこと、心から光栄に思います」と、コメントを寄せている。

イベントには、永作博美氏、ユースケ・サンタマリア氏が出演する「彼を信じていた13日間」を手掛ける、黒沢清氏監督も登壇。黒沢監督は、「モダンともラブとも縁のない作品撮ってきましたが、声をかけていただき、初心に戻ったような気持ちで監督させていただきました。世界に配信されるものですし、最近では配信も家庭の大きなテレビで、映画と同じような気持ちでご覧いただいていると思います。高いクオリティを要求されているのだろうなと、身の引き締まる思いでお受けさせていただきました」と語った。

僕の愛しい妖怪ガールフレンド

三木孝浩監督

日本独自の文化である“妖怪”と“オタク”がメインとなるストーリーを、日米の作家で構成された脚本家チームで作り上げた完全オリジナルドラマが「僕の愛しい妖怪ガールフレンド」。2023年の配信を予定。

恋人が欲しくて仕方ないオタクの大学生と、偶然にも魔法の呪いによって彼と結ばれた妖怪の女の子との奇妙な恋人関係から始まる物語で、500年越しの復讐という使命を背負った妖怪の女の子によって思わぬ展開へ……謎の連続殺人あり、笑いあり、恋愛ありと非日常の世界観を楽しめるバトルファンタジーラブロマンスになるという。

監督は三木孝浩氏。脚本は「NCIS:Hawaii」と「Grace」のヤルン・トゥ氏、「Grace」のザック・ハインズ氏が担当する。

三木監督は、「(日本的な設定の物語を)アメリカの人が脚本として手掛けているのが面白いところ。それゆえ、海外から見たジャパニーズカルチャーのエキセントリックさも含まれている。日本人からすると“いや、そうじゃないよ”と言いたくなる部分もありますが、そうは言わずに、より膨らませていきたい。例えるなら、寿司が海外でカリフォルニアロールになったものを、日本人の僕がさらに美味しいものに仕上げようという、そんな意識で頑張っています」と、意気込みを語った。

エンジェルフライト

2023年配信を予定している「エンジェルフライト」は、海外で亡くなった人を母国に送り届ける“国際霊柩送還士”の活躍を描いたドラマ。主人公の伊沢那美は、ご遺体とご遺族に最後のお別れの機会を提供しようと、並々ならぬ強い信念と行動力で困難な状況を乗り越えていく。

脚本は古沢良太氏(リーガル・ハイ/コンフィデンスマンJP)と香坂隆史氏(Doctor-X/緊急取調室)が担当。原作は佐々涼子氏の「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」。

古沢氏は、「死を扱うドラマですが、あまり暗くならず、楽しくエンターテイメントとして見てもらいたい。一方で、死がテーマなので、そこは誠実に描きたい。そのバランスが大事なのかなと思っています。異国の地で亡くなる人の話なのですが、名探偵が登場して謎を解くとか、犯人との攻防などは一切ありません。しかし、その地でどうやって生きて、死んだのか。それは 世界中に無限にある人の生き方で、それらはすべてドラマチックな話であるはずです。それを1つ1つ描くことが、チャレンジングであり、やりがいを感じました。きっと、亡くなっていく人と、それを受け取る遺族の気持ちは万国共通だと感じていただけると思います」と見どころを語った。

ザ・マスクド・シンガー シーズン2

圧倒的なライブパフォーマンスで魅せるエンターテイメント推理番組「ザ・マスクド・シンガー」のシーズン2が、今年の夏に配信予定。

派手なマスクを被ったパフォーマーたちが、審査員であるスターたちの前でライブで歌い、圧倒的なパフォーマンスと歌声やヒントを基に、マスクの中の有名人を推理することを楽しむ番組。シーズン2は、よりスケールアップした豪華パフォーマンスが展開。司会は引き続き大泉洋が担当する。

バチェロレッテ・ジャパン シーズン2

婚活サバイバル番組「バチェラー・ジャパン」の男女逆転版である「バチェロレッテ・ジャパン」のシーズン2配信も今夏に決定。

個性的な男性参加者と真摯に向き合う姿や、旅先で繰り広げられる駆け引きや心の葛藤から生まれる友情など、様々な人間ドラマに共感を呼び、大きな話題を集めた。シーズン2の配信決定を記念して公開された特別映像には、過去5年間のハイライトシーンを通じて、シリーズの「真実の愛を探す旅」が感動とともに蘇り、新シーズンの幕開けを予期するシーンが映し出されている。

『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン2 | 特別映像

ボクシング以外の大型スポーツイベント配信も

プライム・ビデオ ジャパンカントリーマネージャーの児玉隆志氏

プライム・ビデオ ジャパンカントリーマネージャーの児玉隆志氏は、Prime Videoが有料の動画サブスクリプションサービスとして、日本で最も多くのユーザーに利用されている事を紹介した上で、「ここからさらに多くのお客様にサービスを利用していただくためには、動画配信を目的にプライム会員になった人、それ以外を目的として会員になった人、そのどちらの方にも満足していただかなければならない」と説明。

そのための重要な要素として、「お客様の満足度を支える“価格”、“利便性”、“品揃え”」の3つの要素を、「恒常的に改善・改良していくことが大事」とした。

“利便性”の部分では、「誰もが簡単にコンテンツと出会えること、想像していなかった作品と出会える事、それを目標にユーザーインターフェイス改善に努めています。また、好きな時に好きな場所で、好きなスクリーンで利用してもらえるようにすることも大事。スマホやタブレット、ゲーム機など、対応デバイスは今後もどんどん増やして行く予定」だという。

“品揃え”では、Prime Videoでしか見られない見放題作品が、プライム会員獲得の大きな鍵になっており、「どうしても見たいというオリジナル作品の充実に力を入れている。また、(今回のボクシングのように)ライブスポーツなどの新しいジャンルも追加していく。見放題サービスだけで十分だとも思っておらず、レンタルやプライムビデオチャンネルの拡充も需要。現時点では1万タイトル以上を追加料金無しで見ることができるが、それでは足りない。数万タイトルをレンタル形式で提供し、その数も増やしていく」とした。

また、配信するスポーツのジャンルについては、「今後のことを考えるとプレッシャーにもなりますが(笑)、ボクシングに限らず、ビッグマッチをお届けできるように頑張っていきたい」とした。

プライム・ビデオ オリジナルコンテンツ製作責任者の早川敬之氏

プライム・ビデオ オリジナルコンテンツ製作責任者の早川敬之氏は、「革新的な1年のはじまりになるなと思っています。我々の役割は、日本の皆様に最高のオリジナル作品をお届けすること。今までバラエティやリアリティ番組で成功を収めてきましたが、グローバルでは映画、ドラマ、ドキュメンタリーでもPrime Videoは大きな成功を収めている。日本でも、映画やドラマを作っているとアナウンスさせていただきましたが、今回はその極一部を発表したい」とし、「モダンラブ・東京」などの作品を紹介。

早川氏はさらに、各国で、その地域に根ざしたオリジナル作品を充実させる事が重要とし、日本のAmazonスタジオでも「企画、ポスプロ、音楽など、現在は20人ほどのチームでやっています」と語った。