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「空いたBS右旋帯域は4K放送に」。総務省が基本的考え方公表
2022年8月5日 14:00
総務省は4日、BS右旋で空いた帯域に関し、「4K放送に割り当てることが適当」とする基本的考え方を公表した。新たに認定を受けた放送事業者が実際に放送開始するのは2025年以降になる見通し。なお、東経110度CS右旋については、引き続き2K放送への割り当てを前提に対応する。
4K放送普及の観点から、4K放送に割り当てることが適当
現在BS右旋は、NHKや民放BS5局による2K/4K放送、またWOWOWなどの有料放送事業者による2K放送で利用されている。
今回総務省は、「今後、BS右旋に一定の空き帯域が確保できた場合には、4K放送普及の観点から、当該帯域は4K放送に割り当てることが適当であり、そのために基幹放送普及計画を改正する必要がある」との基本的考え方を示した。
その理由として、4Kテレビに対する不満足に「新4K8K衛星放送のチャンネルが少ない」とするアンケート回答をあげ、「BS右旋において4K放送が増えることにより、4Kコンテンツが質・量ともに充実し、新4K・8K衛星放送視聴可能機器の更なる普及や既に受信機を購入した視聴者の満足度の向上につながることが期待される」と説明。
また「市場全体としてピュア4Kコンテンツの制作量が増えることで、映像制作関連会社等における設備投資が進み、放送事業者においてもピュア4Kコンテンツの制作コストが低下するとともに、インターネット動画配信サービスとの連携など4Kコンテンツのマルチユースが進むことも期待される」としている。
また右旋の位置付けについては、「基幹放送普及計画の改正に当たっては、右旋を左旋と同様に4K等の超高精細度テレビジョン放送の伝送路としても位置付けることが適当」との考えも示した。
認定を受けた事業者が放送開始するのは2025年以降
2K放送を行なう放送事業者については、「既存の2K放送を行う放送事業者が、認定事業者の公募の機会を捉え、4K放送に対する視聴者ニーズに応える形で、自発的に4K放送への高度化を図る」こと、さらに「自発的に映像符号化方式の技術の進展に対応する」ことが想定されると説明。
4K放送に割り当てるために新たに帯域再編を行なった場合、その再編が完了し、新たに認定を受けた放送事業者が実際に放送を開始するのが2025年以降になる見通しであり、映像符号化方式の高度化は、「この時期を念頭に、必要な検証を経た上で、同一トランスポンダにおいて2K放送と4K放送とが併存できる環境を整備することが考えられる」とした。
なお新しい映像符号化方式としては、現在の4K/8K放送で使われているHEVCや、次世代のVVC等が考えられるとしながらも、「技術の進展や移行に伴う負担とのバランスを踏まえて検討する必要がある」こと、また「現行2K放送のHEVC・VVC化に際しては、受信者保護についても十分に配慮する必要がある」ことを加えている。
東経110度CS右旋については、2018年に行なわれたHD放送化(一律12スロット)から時間がそれほど経過していないこと、一部のチャンネルではSD放送が継続していること、そしてBSに比して小規模な放送事業者が多いこと等の理由を考慮し、「当面の間、引き続き2K放送への割当てを前提とした対応を行うことが適当」との考えを示した。
BS/CS左旋は4K8K放送活用を前提としつつ、新サービスへの活用可能性を検討
新4K・8K衛星放送向けに用意したBS/東経110度CS放送の左旋に関しては、引き続き4K・8K放送での活用を前提としつつも、今後、新たなサービスへの活用可能性について検討を進めていくとしている。
同省では今後、基幹放送普及計画の改正案を作成。改正案についてパブリックコメントを募集した後、電波監理審議会への諮問を行なう予定。
今回の基本的考え方は、昨年10月29日に公表された「衛星放送の未来像に関するワーキンググループ」(WG)の報告書、および今年6月23日~7月22日に実施した意見募集の結果を踏まえ、同省の現時点での考えを整理したもの。