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ソニー、CEATECブースはSUV型プロトEVがお出迎え

SUVタイプのプロトタイプEV「VISION-S 02」

ソニーグループは、10月18日に幕張メッセで開幕する「CEATEC 2022」に先駆けて、報道関係者向けにブースを公開した。プレイステーションスタジオが開発しているアプリ「Climate Station」の予告動画や、2022年1月のCESで公開したSUVタイプの電気自動車(EV)プロトタイプ「VISION-S 02」などが展示されている。

ブースのテーマは「ずっと、地球で感動を分かち合うために。」で、「THE PLANET もっと地球を知る」「SOCIETY 社会のシステムを考え直す」「PEOPLE 一人ひとりが行動する」と、ブースを3つのエリアに分けて、環境負荷の低減や改善を目指すさまざまな技術を展示する。

「Climate Station」の予告映像

「THE PLANET もっと地球を知る」では、PlayStationプラットフォームで2023年に配信を予定している無料アプリ「Climate Station」の予告映像を公開している。VR技術を使って、複雑な気象データを見て、操作し、理解できるアプリケーションで、「世界中で発生しているような自然災害などを、アプリケーションを通じて見ていただき、地球がどのような状態なのかを体験していただき、環境視点を養っていただくコンテンツ」になるという。

「ELTRES」受信機

そのほか、実証実験を進めている地球上のあらゆる場所をセンシング可能にすることを目指す「地球みまもりプラットフォーム」の映像や、国際宇宙ステーション(ISS)日本実験棟「きぼう」の船外実験プラットフォームに設置している「ELTRES」受信機も展示。

ソニー製カメラを搭載した超小型人工衛星の実寸大モデル
「宇宙撮影サービス」のデモンストレーション

さらに、宇宙感動体験の創出を目指すプロジェクト「STAR SPHERE」より、今冬に打ち上げを予定しているソニー製カメラ搭載超小型人工衛星の実寸大モデル展示、同衛星を使って自分が意図したカメラワークで地球や星々を撮影できる「宇宙撮影サービス」のデモンストレーションも行なっている。

バーチャルプロダクションのデモンストレーション

「SOCIETY 社会のシステムを考え直す」では、Crystal LEDディスプレイを使ったバーチャルプロダクション、SUVタイプのプロトタイプEV「VISION-S 02」を大きく展示。この「SOCIETY」エリアでバーチャルプロダクションを展示している理由については「いわゆるロケ撮影とバーチャルプロダクションではCO2発生量、つまりエネルギー使用量がバーチャルプロダクションのほうがはるかに少ないことが試算で分かってきている」ことを挙げている。

「ロケ撮影では多くのスタッフが現地に赴き、そこに逗留する必要がありますが、その移動にかかるエネルギーが非常に大きい。もうひとつは現場で発電機を回して電気を作るといった行為もCO2を排出する要因のひとつです」

バーチャルプロダクションのデモではシネマカメラ「VENICE」が使われている

「バーチャルプロダクションに制作手法を変えることで、環境負荷を減らした映像制作が可能になると考えています。私たちの試算では、バーチャルプロダクションのほうが約75~80%ほどCO2排出を削減できるというデータも出ています」

「VISION-S 02」
「VISION-S 02」のホイール
「VISION-S 02」のコンソールパネル
後部座席にもディスプレイを備える
ドアハンドルは格納式
テールランプ

VISION-S 02についても、EV自体がガソリン車よりも環境負荷が少ないことに加え「大きな蓄電池を積んでいるので、再生可能エネルギー等の普及が各コミュニティで起きたとき、それを蓄電する役割を担うことができる」からと展示理由を説明している。

「Synecoculture」
インテリジェントビジョンセンサー

そのほか、「SOCIETY」エリアでは協生農法「Synecoculture」や「オープンエネルギーシステム」、イメージセンサーにロジックチップを重ね合わせた世界初のAI処理機能搭載インテリジェントビジョンセンサー「IMX500」を展示している。「IMX500」ではイメージセンサー内でデータ処理を行なうことで、メタデータのみを出力することができるため、イメージセンサー自体の電力効率向上に加え、データセンター側の負荷も軽減。消費電力は従来比で7,400分の1になったとのこと。このセンサーはローマ市や米NomadGoなどで活用されている。

“着るエアコン”こと「REON POCKET3」
イヤフォン/ヘッドフォンのパッケージに使われているオリジナルブレンドマテリアル
「紙発泡材」

最後の「PEOPLE 一人ひとりが行動する」エリアでは、今年発売した“着るエアコン”「REON POCKET3」のほか、完全ワイヤレスイヤフォン「LinkBuds」シリーズやワイヤレスヘッドフォン「WH-1000XM5」のパッケージに採用しているオリジナルブレンドマテリアル、さらに“脱プラスチック包装への新提案”として、紙を原材料に発泡させた新たな緩衝材「紙発泡材」を展示。

ブースで使われている什器にもオリジナルブレンドマテリアルを採用
ブースにあるソニーロゴもオリジナルブレンドマテリアル

このうち、オリジナルブレンドマテリアルについては、ブース内の什器やブース外周の目隠し、さらには吊り下げられているソニーロゴにも活用されている。

「Triporous(トリポーラス)」
「Triporous(トリポーラス)」を使ったアパレル製品

日本で年間200万トン、世界で年間1億トン以上排出されているという米の籾殻を原料とした多孔質カーボン素材「Triporous(トリポーラス)」も展示。アパレルやインテリア、化粧品、薬剤など幅広い分野で製品展開されているといい、消臭・抗菌効果もあることから上述のVISION-S 02の内装にも、トリポーラスが使われている。

このトリポーラスを繊維に応用した生活用品のアイデア「TriPorous:Space QOL Series」(リラクシングウェア、タオル、ポーチ)はISSへの搭載に向けたアイデアとして選定。このうちリラクシングウェアについては開発が完了し2023年以降にISSに搭載されるとのこと。

ブースでは、そんなトリポーラスを使ったアパレルが展示されているほか、ブース内スタッフが着用するウェア、マスクも、トリポーラスを使用したものとなっている。

「高音質再生プラスチック」と、それを使った製品たち

そのほか音質と高い再生材率を両立する再生プラスチック「高音質再生プラスチック」も展示中。音質を保ちながら、燃えにくい性質(難燃性)と安定した色調をもつ高音質再生プラスチックは、2019年にホームオーディオに初採用されており、現在はサウンドバーやワイヤレススピーカーの一部に採用。その例としてサウンドバー「HT-S400」やワイヤレススピーカー「SRS-XE300」が展示されている。

「CEATEC 2022」は3年ぶりの幕張メッセ開催に加え、10月1~31日の会期でオンライン会場もオープンするハイブリッド形式で開催。幕張メッセ会場の会期は21日までで開場時間は10時~17時。入場無料だが全来場者登録入場制となっている。