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京セラ、高品質マイクロLEDを安価に生産できる独自基板と工法

京セラが開発した100µm長レーザー発振の様子

京セラは17日、独自の成膜技術を応用して、GaN系微小光源(短共振器レーザー・マイクロLED)を作製するためのシリコンをベースとした独自基板と、その基板を用いたGaN系微小光源の新しい工法を開発したと発表。高品質なマイクロLEDを安価に生産できるようになり、次世代の車載用透明ディスプレイや、AR/VR用スマートグラスの微小光源などに活用できるという。

素子の一辺が100µm以下の光源は「微小光源」と呼ばれ、その代表的なものに、短共振器レーザーとマイクロLEDがある。これらの微小光源は、高精細、小型軽量という優位性から、次世代の車載用ディスプレイやスマートグラスへの活用、また通信、医療分野への応用が期待されている。

特に、マイクロLEDチップの市場規模は2022年の約26億円から2026年までには約3,700億円と、約142倍の市場拡大が予想されているという。

一方で、従来のGaN系光源デバイス(LED、レーザー)の作製には、サファイア基板やGaN基板が使用されており、その基板を1,000度以上の高温に加熱し、原料となるガスを供給することで、光源となるデバイス層(GaN層)を成膜し、デバイス層を基板と一緒に分割していた。

しかし、さらに微細な光源を作製する際には、微小なデバイスを基板から剥離することが困難だったり、欠陥密度が高く品質にばらつきが出たり、製造コストが高いといった課題があった。

京セラが開発した新工法では、基板に特殊な技術を採用。低コストで、大口径化が可能なSi基板上にGaN層を育成。その上にGaN層が成長しない材料でマスキングをし、中央に開口部を形成。その後、GaN層を成膜すると、マスキングしていない部分からGaNの成長核が開口部上に成長する。成長核であるGaN層は成長する初期段階で欠陥が多く発生するが、それを横方向に成膜することで、欠陥密度が低く高品質なGaN層の成膜が可能となり、この低欠陥領域にデバイスを作製する。

これにより、デバイス層の剥離が容易であり、欠陥密度が低く高品質なデバイス層の作製がを実現。安価なSi基板からデバイス層の剥離ができるため、製造コストの削減にも貢献するという。

高品質なマイクロLEDを安価に生産できるようになるため、次世代車載用透明ディスプレイや、AR/VR用スマートグラスの微小光源などに活用できるとする。スマートグラスでは、従来のAR用の半導体レーザーでは300µm長が限界だったが、京セラは3分の1の100µmの大きさを実現したため、低消費電力にも繋がり、バッテリーの小型・軽量化にも寄与できるという。

次世代車載用透明ディスプレイイメージ
ARグラスイメージ