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NHK、学生の受信料全額免除を拡大。年収130万円以下も対象へ

日本放送協会(NHK)は、経済的に困窮する学生などを受信料全額免除の対象に加える、新しい免除基準の素案を作成した。全額免除対象となるのは、年収130万円以下の学生や国民年金の納付が免除されている学生などで、開始は2023年10月を目指す。NHKは、素案への意見を5月11日までホームページで募り、集まった意見を参考に総務省へ認可申請する予定。

NHKは現在、親元等から離れて暮らす学生のうち、奨学金受給や授業料免除の学生、市町村民税の非課税世帯や公的扶助の受給世帯の学生など、一定の要件を満たす場合に限り、受信料の全額免除を行なっている。

しかし近年、コロナ禍による社会経済の低迷や物価高騰など、学生や親元等を取り巻く現在の経済状況が悪化。とりわけ親元等から離れて暮らす学生においては、アルバイト収入や仕送りの減少など経済的に厳しい状況が続いている。

こうした状況を踏まえ、NHKは親元等から離れて暮らす学生のうち、新たに「社会保険制度において被扶養者となっている学生」や、「被扶養者となっている学生と同等の収入水準にある学生」についても、今年10月から受信料の全額免除対象とする計画。

またNHKは、インターネット上の情報空間においてはフェイクニュース等の様々な課題が指摘されていることも挙げ、「学生を対象とする免除の拡大は、テレビ設置の負担を軽減することで、多様で信頼できる情報を取得したいと考える学生の一助となるものと考えています」と、学生を対象とする免除拡大の基本的な考え方を示している。

具体的に免除対象として検討されているのは、親元から離れて暮らす学生のうち、以下の条件に当てはまる場合。NHKの試算では、新たに全額免除となる件数は約19万件で、年間約20億円('23年度は約10億円)の減収を見込んでいる。

  • 年間収入が一定額(130万円)以下の学生
    →社会保険制度において被扶養者となっている学生
    →年間収入が、所得税法に規定する各種控除のうち、勤労学生に適用される控除額(給与所得控除55万円・勤労学生控除27万円・基礎控除48万円)の合計額以下の学生
  • 国民年金保険料の学生納付特例対象の学生
    →国民年金法第90条の3により国民年金保険料の学生納付特例の適用を受けている学生
  • 国民健康保険の就学特例対象の学生
    →国民健康保険法第116条により「国民健康保険遠隔地被保険者証(マル学)」が交付されている学生

なお、今回の学生免除拡大は、2023年1月に修正したNHK経営計画(2021-2023年度)において、構造改革や経営努力の成果を視聴者へ還元するための受信料値下げとあわせて実施するものとなっている。