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ヤマハ、HDMI搭載でネットワーク再生もできる2chアンプ「R-N2000A」

R-N2000A

ヤマハは、Amazon Music HDやSpotifyなどの音楽配信サービスの再生に対応し、HDMI ARC端子も備えた2chアンプ「R-N2000A」を5月26日に発売する。価格は429,000円。カラーはブラック/ピアノブラック。

AVアンプの「RX-A8A」や、2chプリメインアンプ「A-S2200」や「A-S1200」などで培った技術を融合させた、ネットワーク再生対応の2chアンプ。HDMI ARCに対応し、テレビとも連携可能。さらに、同社AVアンプでお馴染みの、最適な音場を創り出すという自動音場補正機能「YPAO」も備えている。

R-N2000A

HDMI ARC対応のテレビと、HDMIケーブル1本で接続し、テレビの音をR-N2000A + スピーカーから再生できる。テレビのリモコンでR-N2000Aの電源ON/OFFが連動できる。

HDMI接続時の音途切れや音質劣化の原因となるジッターに対し、専用のチューニングを施すことにより安定的なデコードと高音質再生を両立。オプションメニューからPLL(位相同期回路)の設定変更も可能。なお、HDMIで再生できるデータはPCM 2chの192kHz/24bitまでとなる。

YPAOは、付属のマイクを使って再生環境を測定。部屋の形状や壁の材質、スピーカーの性能や設置場所などによって生じる再生音の違いを、64bit精度で演算、イコライジング処理する「ハイプレシジョンEQ」や、初期反射音を積極的に制御する「YPAO-R.S.C.」を組み合わせ、環境に合わせた最適な音場を作り出すというもの。測定結果を反映させることでラウドネスコントロールの効果も高まり、小音量再生時に自然な音質補正効果が得られる「YPAO Volume」も備えている。

DACチップはESS製8ch DAC「ES9026PRO」を採用。L/Rチャンネルそれぞれに2ch分ずつ使用することで、高精度な信号変換を実現した。

電気回路設計は、主要グラウンドポイントをネジ止め結線したり、大電流を扱うパワーアンプ部に50μm厚の銅箔を使用するなど、ローインピーダンス化を徹底。

電源トランスには、磁束漏洩が少なく、電力変換効率・電源レギュレーションに優れたトロイダル型を搭載。A-S2200と同様に、トランス底面とインナーシャーシの間には、3mm厚の真鍮製ベースプレートを挟み込み、トランスの振動をコントロールしている。

付属のACケーブルは、線材にPC-Triple Cを採用。全帯域にわたり情報量豊かで滑らかな音質になったという。

アンプ部には、「フローティング&バランス・パワーアンプ」を搭載。出力段の左右チャンネルそれぞれの+側と−側、計4組の電力増幅回路をフローティングし、出力段におけるプッシュプル動作の完全対称化(プル−プル化)を実現しつつ、電源供給を含む全回路をグラウンドから完全に独立させ、微細な電圧変動やグラウンドを巡る外来ノイズの影響を排除した。出力素子には同一極性のMOS-FETを使っている。定格出力は90W×2(8Ω)、最大出力は120W(8Ω)。

レイアウトは、ステレオ再生の理想を追求し、電源部を中央に、パワーアンプブロックを本体の両端に配置した左右対称コンストラクションを採用。理想的な重量バランスを追求しつつ、チャンネル間の悪影響を抑え、優れたチャンネルセパレーションを実現している。

Hi-Fiフラッグシップモデルにも採用されている設計思想「メカニカルグラウンド・コンセプト」を継承。電源トランスやブロックケミコンなどの振動を伴う大型重量パーツをベースフレームに取り付け、ベースフレームに溶接されたボルトに直接レッグを装着することで重量物を機構的に接地。構造の安定化を図っている。

脚部には、真鍮削り出しの高剛性レッグを装備。真鍮にシルバーメッキ加工を施すことで音の響きを引き出すとともに、フォーカスのあった実在感あふれる空間描写力と豊かな低音表現を実現したとする。

専用アプリ「MusicCast CONTROLLER」を使い、対応機器から音楽を再生する独自のネットワーク機能「MusicCast」に対応。アプリに表示されるアイコンにタッチして聴きたいソースを選択、音質調整もできるほか、アルバムアートを見ながらの曲選択やプレイリスト作成も可能。

専用アプリ「MusicCast CONTROLLER」でソースを選択しているところ

radiko.jp、Amazon Music、Spotify、Deezerなどをサポートし、ハイレゾ/ロスレス音源も再生可能。AirPlayにも対応する。ネットワークプレーヤーとしてはDSD 11.2MHzのネイティブ再生も可能。PCMは、AIFF/WAV/FLACの384kHz/32bitまで再生できる。ただし、32bit-floatファイルは非対応。

USB DAC機能も備えており、こちらも384kHz/32bitまでのPCMや、DSD 11.2MHzのネイティブ再生が可能。32bit-floatファイルは非対応。

Bluetooth受信・送信機能も装備。コーデックは受信時がSBCとAAC、送信時がSBCに対応する。フロントパネルにはVU/ピークの切り替え表示が可能なアナログメーターを装備。イルミネーションはディマーも可能。柔らかな雰囲気を意識したランプ色のLEDライトを使っている。

フロントパネルにはVU/ピークの切り替え表示が可能なアナログメーター

FMチューナーも内蔵。フロントパネル下部には有機ELディスプレイも備え、日本語表示も可能。入力コンテンツや操作時のボリューム表示などの情報を見やすく高品位に表示できる。

フロントパネル下部には有機ELディスプレイも

音声入力は、アナログRCA×4、光デジタル×2、同軸デジタル×1、USB-B×1、HDMI ARC×1、。音声出力はアナログRCA×1、サブウーファー×1、ヘッドフォン×1。スピーカーターミナルはスクリュー式で、A/B出力可能。トリガー出力やFMアンテナ入力、YPAO用マイク端子も備えている。

IEEE 802.11a/b/g/n/acで2.4/5GHzの無線LAN機能と、LAN端子も装備。消費電力は350W。外形寸法は435×473×157mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は22.1kg。

付属のリモコン

音を聴いてみる

NS-2000A

フロア型スピーカーの新モデルとして2月に発売された「NS-2000A」(1台44万円)と組み合わせ、短時間だが試聴したのでインプレッションをお届けする。ソースはハイレゾ音楽ファイルのネットワーク再生だ。

R-N2000Aの開発時から、NS-2000Aとの組み合わせも想定しているとのことで、相性はバッチリ。NS-2000Aはフロア型らしく、ワイドレンジかつ雄大なサウンドで、リビングなどで使いやすい、ホッとさせる音色が特徴のスピーカーだが、R-N2000Aでドライブすると、穏やかさだけでなく、音がしっかりと前に出て、音圧豊かなパワフルさが味わえ、アンプとしての駆動力の高さを伺わせる。

また、前に出る音の情報量も多く、ボーカルの口の動きや、弦楽器の響きの細かさなどに高い描写力を感じさせる。“音の丁寧さ”と“鋭さ”が同居しているサウンドであり、“ハイスピードな美音”というイメージだ。

HDMI ARCにも対応しているので、UHD BDプレーヤー + テレビと組み合わせ、オーケストラも聴いてみたが、こちらもクオリティは高い。2つのスピーカー間にテレビを設置すると、どうしても音像の定位などは劣化するが、そうした時にR-N2000AのYPAOが効果を発揮する。

YPAOのON/OFFをアプリから切り替えて聴いてみると、ONにすると、コンサートホールの広大さや、そこに定位する音像の立体感、音像へのフォーカスなどがクッキリ・ハッキリする。また、OFFでは少しモヤッとしていた低域の膨らみも、YPAO ONでは整理され、見通しが良くなる。

なお、UHD BDプレーヤーの同軸デジタル出力と、HDMI ARCのサウンドも聴き比べた。空間広さ、低域の深さにおいて、同軸デジタルに軍配が上がるものの、HDMIもかなり肉薄している。