ニュース

ヤマハ、ハーモニアスダイアフラムで統一した1台44万円のフロアSP

フロア型の「NS-2000A」

ヤマハは、スピーカーの新モデルとしてフロア型の「NS-2000A」を2023年2月24日に発売する。価格は1台44万円。

主張し過ぎず、リビングにも設置しやすい柔らかなデザインが特徴のスピーカー。上位機種となるNS-5000/3000で培った技術も多数投入し、音質面も高めている。

「NS-2000A」

エンクロージャーは構造的な強度を持つ最小構成として、折れ曲がった2つの面を持つ木材を前後から組み合わせた直方体形状を採用。平行面で生まれる定在波をキャンセルしつつ、ラウンド形状により、適度な響きも備えている。奥に向かって少しすぼまる形状になっているため、塗装の難易度も高いが、楽器メーカーでもあるヤマハとしてこだわり抜いたピアノブラック仕上げも実現。背面からもネジが見えないデザインにもこだわった。

構成としては3ウェイのバスレフで、ユニットは30mm径のドームツイーター、80mm径でドーム型のミッドレンジ、160mm径のウーファー×2基を搭載している。再生周波数帯域は34Hz~65kHz。外形寸法は330×459×1,124mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は34.6kg。

上位モデルは、ユニットの振動板に「ZYLON(ザイロン)」を使っているのが特徴だが、高価な素材であるため、NS-2000AではZYLONのような利点を備えつつ、コストを下げられる「ハーモニアスダイアフラム」を全ユニットに採用した。

これは、音速と内部損失のバランスに優れるZYLONを細く切り、ピアノの響板に使用するスプルース剤の端材を細かくしたものと混ぜ、さらに自然素材を加え、紙のように抄いて作ったもの。

ZYLONだけで作った振動板より優れた点もあり、ZYLONは繊維の厚さが決まっているが、ハーモニアスダイアフラムでは、部分的に厚くするなど、厚さのコントロールが可能。これにより、ベースとなる素材を統一しつつ、重量・配合を微調整し、振動板毎に求められる特性を最適化できたという。

クロスオーバー周波数はシンプルな仕様で、カットオフ周波数は750Hz/3.5kHz。フィルター特性は全てのクロスで-12dB/oct。前述の通り、全ユニットで音色が揃っているため、まるで広帯域のフルレンジユニットのような動作をさせるため、全ユニットを正相で駆動している。

ネットワーク回路には、独ムンドフル製のコンデンサーであるMCap SUPREME Classic Audio Capacitorを採用。内部配線にはPC-Triple Cを使っている。

エンクロージャーの開発では、レーザー光線を照射し、エンクロージャーが共振していると、ドップラー効果で戻ってくる光の波長が変わる事を利用したFEM解析を活用。不要な共振を抑制を追求。内部にはJ字型の共鳴管を入れており、狙った周波数の定在波を除去。吸音材は極力使わず、共鳴管のみで抑制している。

J字型の共鳴管

ツイーターとミッドレンジのバックチャンバーには、NS-5000と同じ音響解析により、管共鳴を抑制するR.S.チャンバーを採用。これも吸音材削減に寄与している。

背面のバスレフポートは、捻りながら広がるフレア形状を採用。ポート部分に生じる空気の渦を拡散させる、独自のツイステッドフレアポートとなっており、ポート端でのノイズを低減。低域のレスポンスや解像度を向上させ、SN感も高めているという。

スピーカーターミナルは、NS-5000/3000と同じ大型のものを採用。真鍮削り出しで、金メッキ仕上げ。

音を聴いてみる

全ユニットがハーモニアスダイアフラムで統一されているため、各ユニットの繋がりが良く、全体としてまとまりが良く、自然なサウンドが味わえる。音像も自然で、音場の広がりも広大。ストレスフリーで、リラックスした気分でゆったりと聴けるサウンドだ。

かといって“甘い音”ではなく、情報量はしっかりと出ており、女性ボーカルの口の動きや、オーケストラの音の重なりも克明に見える。ハーモニアスダイアフラムのもう1つの利点として、紙の振動板特有の“ガサゴソ”した紙っぽい音がせず、ストリングスの質感などがうまく描写されている。

NS-5000など、上位機との違いとしては、良い意味でNS-2000Aは“カッチリし過ぎていない”と感じる。NS-5000はシャープでソリッド、音楽を分析的に描写するような一面も備えているが、NS-2000Aはそこまで前のめりにならず、椅子にゆったり腰掛けて楽しめるサウンドだ。

東京インターナショナルオーディオショウ出展

10月28日~30日に東京国際フォーラムで開催される「2022東京インターナショナルオーディオショウ」と、11月5日、6日にハートンホテル心斎橋で開催される「オーディオセッションin OSAKA 2022」のヤマハブースにて、NS-2000Aの試聴が可能。詳細は、ヤマハホームシアター・オーディオ体験イベント情報に掲載されている。