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ソニー、VR/ARヘッドセット向けに1.3型4K OLEDマイクロディスプレイ開発

1.3型OLEDマイクロディスプレイ「ECX344A」

ソニーセミコンダクタソリューションズは、VR/AR向けヘッドマウントディスプレイへの搭載を想定し、4K(3,552×3,840ドット)の高解像度によりリアルな空間再現に貢献するという1.3型OLEDマイクロディスプレイ「ECX344A」を商品化する。11月にサンプル出荷を予定しており、サンプル価格は150,000円(税別)。

カメラの電子ビューファインダー開発で培った微細化プロセスと独自の画素駆動回路を採用する事で、大型な1.3型ディスプレイにおいて4Kの高解像度を実現。さらに、4Kにおいても高フレームレートを実現する新開発の高速駆動用ドライバー回路を搭載したことで、リアリティを高めた滑らかな映像を可能にする。

ディスプレイの画像比較イメージ。左が従来品(約40µmピッチ)、右が新商品(6.3µmピッチ)

一般的にディスプレイデバイスで高解像度化を進め、画素数が増えると、画素ごとの輝度などの特性にばらつきが生じ、画質が劣化する。そこで、トランジスタのレイアウトやプロセスを最適化し、独自のばらつき補正回路も採用。これにより、トランジスタ特性のばらつきを改善し、4Kの解像度がありながら、均一な輝度特性による高画質を実現したという。

また、従来技術では色域と輝度の性能はトレードオフの関係だったが、新製品では色域を広げながら、光の利用効率を改善する独自の画素構造を採用。これにより、DCI-P3を96%カバーした広色域と高輝度の両立を実現。「高精細とあわせることでリアルな映像による没入感を高めた体験を可能にする」という。

VR/AR向けヘッドマウントディスプレイでは、周りの景色を見まわしたときに、映像の遅延や残像があると、仮想空間への没入感が失われ、脳が違和感を抱くことがある。

そこで、残像感を低減させた滑らかでクリアな映像を提供するために、毎秒90フレームの高フレームレートに加え、画素の発光時間を従来比で1/5(Duty 20%駆動)と短くした。

一方で、5,000cd/m2の高輝度を実現する独自技術を生かすことで、Duty 20%駆動においても、一般的に搭載製品の明るさとして求められる1,000cd/m2の輝度を実現。明るさと残像感の低減を両立させたという。

また、4K高解像度を表示するためには、搭載製品側で高いデータ処理能力が必要になるため、負荷を軽減するために3つの表示モードを用意。 「Normal mode」では4K解像度の入力データを、解像度を落とさずにディスプレイに表示。

「Upscale mode」は2K~2.5K解像度の入力データを、4Kにアップスケールしてディスプレイに表示するもので、入力データ量を抑えることで、搭載製品のデータ処理負荷を軽減。搭載製品に高い処理能力を必要としないため、幅広いアプリケーションプロセッサーへの対応が可能という。

「Foveated scan mode」は、人の視野中心は高解像度で表示し、視野の外側に向かうほど解像度を落として描写する機能。視覚的な没入感を維持しつつ、転送データ量を約60%削減できる。