ニュース

ソニー、業界最小画素と最高輝度を両立したARグラス向け、0.44型OLEDマイクロディスプレイ

0.44型のフルHD解像度のOLEDマイクロディスプレイ「ECX350F」

ソニーセミコンダクタソリューションズは、業界最小となる5.1µm画素(約5,000ppi)と、最大10,000cd/m2の業界最高輝度を両立した、0.44型のフルHD解像度のOLEDマイクロディスプレイ「ECX350F」を商品化した。サンプル出荷は10月予定、サンプル価格は税抜40,000円。

薄型化・軽量化や高い視認性が求められるARグラスでの活用を想定したOLEDマイクロディスプレイ。小画素化しても画素ごとの発光性能を高めるために、新設計のOLED構造とマイクロレンズを採用。これにより、小型の0.44型でフルHD解像度を実現するとともに、従来製品比約2倍となる最大10,000cd/m2の輝度を実現。これまで難しいとされていた小画素化と高輝度の両立に成功した。

OLEDマイクロディスプレイは、画素を小さくすると発光効率が下がり、画素あたりに流せる電流に制約がかかるため、高輝度化が難しいという問題があった。そこで、5.1µm画素と、その画素サイズでの発光効率を最大化するマイクロレンズを製造するための半導体プロセスを新たに開発。

さらに独自設計のOLED構造を採用することで、駆動電圧と発光効率の最適なバランスを追求し、小画素化と高輝度の両立に成功したという。

映像表示領域の周囲の非映像表示領域(額縁)には、駆動に必要な回路や配線を実装するが、従来技術では、ディスプレイデバイスとしての信頼性や、回路部分の配線幅の要求から画面表示不良といった問題が懸念され、狭額縁化は困難だった。

そこで、新たな回路設計と組立工程を導入することで、これらの問題を解決。ディスプレイ長辺の額縁を上下でそれぞれ1.14mmまで小型化している。画素の小型化とディスプレイの狭額縁化により、フルHDの画素数を維持しながらも従来製品比24%減となる短辺サイズ7.99mmを実現している。

フルHD以下の任意解像度の映像入力を受信した際に、デバイスの表示領域内の任意の位置に映像を表示することができる「可変黒枠機能」も搭載。一般的にARグラスでは、黒表示部分では実空間が透過して視認されるため、表示映像と実空間を重ねた表示が可能。従来製品では、前段の処理側(アプリケーションプロセッサ)で黒表示部分の映像信号を生成・入力していたが、新たに、任意で設定した解像度による表示を容易にすることで、システムとしての低消費電力と低遅延に貢献している。