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ソニー、AIプロセッシングで被写体を自動認識するフラッグシップミラーレス「α1 II」

「α1 II」

ソニーは、中央8.5段周辺7段の手ブレ補正、フルサイズミラーレス一眼カメラαのフラッグシップモデル「α1 II」を12月13日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は99万円前後。発売に先駆け、11月26日10時より予約受付を開始する。

2021年3月に発売された「α1」の後継機。「解像力とスピード性能の高い次元での両立」という位置づけはそのまま、有効5,010万画素の積層型CMOSイメージセンサー「Exmor RS」と映像処理エンジン「BIONZ XR」の組み合わせによるAF/AE追従最高30枚/秒のブラックアウトフリー高速連写を踏襲。新たに中央8.5段周辺7段の手ブレ補正機構、AIプロセッシングユニットによるリアルタイム認識AFを搭載したほか、「α9 III」に搭載されたプリ撮影機能とボディ前面にはC5ボタンを備え、連写速度ブースト機能も使用できる。

AIプロセッシングユニットによる被写体認識は、人物、動物、鳥、昆虫、車/列車、飛行機に対応。α1比で、人物の瞳認識性能は約30%向上、動物も約30%、鳥については認識性能が50%向上している。また、ソニー初の機能として、被写体の選択肢に「オート」を追加。設定から被写体を切り替えることなく、自動で被写体を認識できるようになる。

被写体認識にオートが追加

また、オート時の認識対象の絞り込みも可能。例えば、動物、鳥、昆虫を選択しておけば、オート時に自動で認識するのも動物、鳥、昆虫のみになる。

オートでは、自動認識する被写体の絞り込みもできる

動画撮影時にもオートと、認識対象の絞り込みが可能で、撮影中に被写体が動物から人物に移り変わるシーンなども、スムーズに撮影できるようになる。

被写体認識が「切」の場合でも、タッチ操作によるリアルタイムトラッキングが利用可能。カスタムキーに割り当てる「押す間トラッキング」も利用できる。

カメラ前面の可視光+IRセンサーに加え、AIセンシングユニットが加わったことで、オートホワイトバランス(AWB)の精度、安定性も向上。特に日陰シーンでより正確なホワイトバランスが得られるようになったという。

有効約5,010万画素の高画像ながら、低感度時は約15ストップの広いダイナミックレンジで撮影可能。拡張ISO50−102400の広い感度域も引き続き備え、中高ISO感度域では低ノイズ化を実現。画像のディテールを損なわない効果的なノイズリダクションにより、前機種よりもグレインノイズを抑え、被写体の解像感を向上した。

AEアルゴリズムも進化。制止画・動画撮影時に、人の顔の肌領域を検出して適切な明るさに調整する。逆光で顔が暗くなっている場合や、太陽光が顔に当たって明るすぎるシーン、逆光で顔が暗いとき、横向きのシーンなどのAE制御が、前機種比で約20%安定した。

αシリーズ初となる、中央8.5段、周辺7段のボディー内手ブレ補正を実現。対応する手ブレ補正機構内蔵レンズとの組み合わせではより効果的にボディと協調し、例えば、望遠域で目立つ大きなブレを効果的に抑制、従来よりも安定したフレーミングで撮影をサポートするという。

動画撮影は最大8K30p、4K120pの撮影に対応。動画撮影時には光学式5軸ボディ内手ブレ補正による「アクティブモード」に加えて、最適化されたアルゴリズムによる電子式手ブレ補正機能を併用した手ブレ補正モード、「ダイナミックアクティブモード」が使用可能。アクティブモードよりも手ブレ補正の効果が30%以上向上するため、小走りをしながらでの撮影でも安定した映像を収められる。なお、8K撮影時やフレームレート120fps以上になる記録方式では使用できない。

また、ダイナミックアクティブモード時に被写体を同じ位置に保持して構図を安定させる「フレーミング補正」を新たに搭載。被写体と並走して撮影するときなどに、被写体が構図内の同じ位置に保たれるようにトラッキングし、自動で構図の補正を行なう。被写体が中央になるように構図を固定する「中央」と手動で設定する「マニュアル」から選択できる。

AIによる被写体認識性能を生かし、動画撮影や動画配信時に認識したカメラが被写体を追尾しクロップする「オートフレーミング」機能も搭載している。

動画撮影機能としては、ユーザーLUTをカメラモニターに表示できるLUTインポートを搭載。S-Log3での撮影は前機種比でディテールの再現が向上し、ソニーのシネマカメラから出力されたS-Log3とのマッチングが容易になったとしている。S-Log2は非対応となった。

フレームレート24p設定時に、シャッター速度を24fpsの倍数である1/48、1/96に設定可能。一時的にマニュアルフォーカスに切り替えられるAFアシストや、動画撮影時にピントの合っている箇所を視覚的に表示するフォーカスマッピング、ショットマークから自動で静止画を撮影する機能、動画セルフタイマーなど、α9 IIIまでに搭載された新機能を搭載する。

シャッターを切る前の瞬間に遡って撮影できるプリ撮影機能も新搭載。記録時間は0.03秒から1秒まで選択可能で、0.03秒から0.09秒は0.01刻み、0.1秒から1秒は0.1秒刻みで設定できる。

シーンに応じて連写速度を変更できる連写速度ブースト機能も搭載。カスタムボタンに設定することで使用可能で、例えば通常時15枚/秒、ブースト時30枚/秒に設定し、ボディ前面のC5ボタンに機能を割り振っておけば、通常の連写では15枚/秒、C5ボタンを押している間だけ30枚/秒で連写できる。

外観も大きく変化。グリップは丸みを帯びたことで手のフィット感を向上しているほか、シャッターボタンの角度も変更。より自然に押すことができるようになった。

左が「α1 II」、右が「α1」
左が「α1 II」。正面にC5ボタンも追加されている
左が「α1 II」。端子の配置もプロの声を反映して変更しているとのこと
左が「α1 II」。シャッターボタンの角度のほかにもモードのダイヤル等もα9 IIIのような配置に

アイピースカップは新たに、目とアイピースカップの間への外部光を防ぐ深いタイプの「FDA-EP21」を用意。従来の標準タイプの「FDA-EP19」とともに同梱される。なお、FDA-EP21単体も12月20日に発売し、価格は2,750円。α1 IIのほか、α9 III、α7R V、α7 IV、α7S IIIに対応している。

新アイピースカップを追加で付属。従来のアイピースカップとともに付属される

ファインダーには解像度約944万ドットの高精細OLEDを採用。ファインダー倍率0.9倍と大きく写すことが可能で、倍率切替機能も備える。

背面モニターは4軸マルチアングルモニターを採用。3.2型の液晶パネルを採用し、解像度は210万ドット。

過酷な環境下での使用にも耐えられる堅牢なボディを実現するために、軽量かつ剛性に優れたマグネシウム合金を採用。防塵防滴に対しては静止画・動画のプロクリエイターからのフィードバックを反映し、随所に様々な工夫を施したという。本体背面に備える音声メモ専用マイクもよりクリアに録音できるよう音質を改善した。

バッテリー「NP-FZ100」を2個同時に充電できる「BC-ZD1」を同梱。縦位置グリップはα9 III用に発売された別売の「VG-C5」(55,000円)が使用できる。

Wi-Fiのほか、High-speed 2.5GBASE-T対応イーサネット端子も搭載。USB 3.2対応のUSB-C端子も備え、高速転送を実現。デュアルカードスロットを備え、両方がCFexpressType AカードとSDXC/SDHCカード UHS-II/UHS-Iに対応する。

開放F2通しの新GMズームレンズ「FE 28-70mm F2 GM」

「FE 28-70mm F2 GM」α1 IIに装着したところ

αシリーズ初の開放F値2通しの大口径標準ズームのG Masteレンズ「FE 28-70mm F2 GM」を12月13日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は50万円前後。発売に先駆け、11月26日10時より予約受付を開始する。

画面中央部から周辺部まで、ズーム全域において高い光学性能を装備。スーパーEDガラス/EDガラスが色収差など諸収差を抑制し、色つきのない「大きなぼけ」と「なめらかで自然なぼけ味」を、高い解像力の両立を実現した。

開放から2段絞っても高い円形形状を保つ新設計の11枚羽根の円形絞りユニットを開発。ぼけの滑らかさに影響を与える口径食を抑え、ぼけ描写にこだわった撮影が行なえる。

ソニー独自の「ナノARコーティング II」により、画面内に太陽光などの強い光源がある逆光時でも、フレアやゴーストを抑制。鏡筒内の反射も徹底的に抑える設計を採用した。

最新の光学設計により、フォーカスブリージングを抑制。さらにαシリーズのブリージング補正機能にも対応している。

α9 IIIのAEAF追随、最大120fpsの連写にも対応するAF性能を装備。フローティングフォーカス機構により、最大撮影倍率0.23倍、最短撮影距離はズーム全域で0.38mと高い近接性能を備えている。

外形寸法92.9×139.8mm(最大径×全長)、重量約918gで、F2ズームレンズとしては小型軽量の設計で、長時間撮影の負担を軽減する。