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ソニー、新ハイエンドカメラ「α1」。初の8K/30p対応、“鳥の瞳”も捕捉

ソニーは、有効約5,010万画素の積層型CMOSイメージセンサー「Exmor RS」を搭載し、AF/AE追従最高30枚/秒のブラックアウトフリー連続撮影、さらにαとして初めて8K/30p動画撮影に対応するフルサイズミラーレス一眼カメラ「α1」を3月19日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は80万円前後(税別)。「解像力とスピード性能の高い次元での両立と、撮影から納品までの高効率ワークフローを実現したプロフェッショナル向けの1台」と位置付けられている。

新開発のフルサイズ有効約5,010万画素 積層型CMOSイメージセンサー「Exmor RS」と、従来比約8倍の処理性能を持つという画像処理エンジン「BIONZ XR」を組み合わせる事で、高解像ながら、AF/AE追従最高30枚/秒のブラックアウトフリー高速連写(電子シャッター時)が可能。

新開発のフルサイズ有効約5,010万画素 積層型CMOSイメージセンサー「Exmor RS」
従来比約8倍の処理性能を持つという画像処理エンジン「BIONZ XR」

30枚/秒連写で圧縮RAWで約155枚、JPEG形式で約165枚の性能を持ち、「これまで撮り逃していた一瞬の動きをより確実に捉えることができる」という。

さらに、「α9 II」比2倍となる最大120回/秒のAF/AE演算を実現。複雑な動きでスピードに緩急のある被写体でも高精度にAF追従をし続けられる。さらに急激な輝度の変化に対しても、最速0.033秒でAEが追従する。

電子ビューファインダーも強化。最高30枚/秒の高速連写時にも、「まるで肉眼で見ているかのようにシームレスに被写体を捉えることができる」という、世界初の240fps頻度で表示可能な電子ビューファインダーとなっており、画素数は約944万ドット。サイズは大型の0.64型有機ELディスプレイ。ファインダー倍率は0.90倍。

BIONZ XRと電子ビューファインダーの高速処理性能により、ファインダー内で被写体の動きをより滑らかに表示することができ、動体撮影時も被写体を追いやすくなったとする。

高密度かつ広範囲に配置した759点の像面位相差AFセンサーにより、被写体を高速・高精度に追随。BIONZ XRとの組み合わせで、検出能力が従来比30%向上したという。リアルタイム瞳AF(人物)にも対応し、角度のある横顔や上向き、下向きの顔でも、高精度に自動的に瞳にフォーカスを合わせ続けられる。

さらに、動物への瞳AF対応では、従来の犬や猫などに加え、新たに鳥に対応。オートフォーカスとトラッキングのアルゴリズムの最適化により、急な飛び立ちや高速飛翔中のフレーミングの変化など、鳥特有の撮影条件でも高い追従性を実現。フォーカス枠をピンポイントに合わせることが難しかった鳥撮影が格段に便利になるとする。

加えて、AIを用いて色や模様(輝度)、被写体距離(奥行)からなる空間情報をリアルタイムに高速処理し、動体を高精度に追従し続けるリアルタイムトラッキングにも対応。リアルタイム瞳AFとシームレスに使用できる。

イメージセンサーからの高速読み出しに加え、大容量バッファメモリーとBIONZ XRの高速処理性能により、高画素ながら電子シャッターでも「α9 II」比で約1.5倍、動体歪みを抑えた静止画撮影が可能。最高1/32000秒のシャッター速度も実現し、高速シャッターが露出の自由度を高めてNDフィルターがなくても高輝度環境に柔軟に対応できる。

最新の画像処理システムにより、有効約5,010万画素の高解像ながら、低感度時は約15ストップの広いダイナミックレンジを実現。拡張ISO50-102400の広い感度域で、暗所や薄暗い場所での撮影でもノイズの少ない高精細な描写が可能。

ボディ内手ブレ補正機能も搭載し、これを制御しながら、複数画像を撮影し、PC上で合成することで極めて高い解像感を持つ画像を生成するピクセルシフトマルチ撮影が進化。計16枚の画像の持つ約7億9,626万画素分の情報から、約1億9,900万画素(17,280×11,520)の画像生成が可能。ピクセルシフトマルチ撮影時は1/200秒のフラッシュ同調速度の使用が可能で、ブレを抑えたり、明るい屋内で美術品や物撮り撮影でも使用できるようになっている。

動画撮影能力も進化。α初の8K/30p対応

αシリーズとして初めて、8.6KオーバーサンプリングによるXAVC HS方式の8K/30p動画撮影に対応。リアルタイムトラッキングやリアルタイム瞳AFなどと組み合わせ、高解像8Kならではの映像表現を提供するという。ポストプロダクションの際には、8K撮影素材の切り出しよる自由度の高い4K編集作業が可能。

最大120pのハイフレームレート映像を、4K解像度でカメラ内部に記録できる。4K解像度の最大5倍の滑らかなスローモーションなどの、印象的な映像表現も可能。4:2:2 10bitのサンプリングにも対応し、従来の4:2:0 8bit比で約128倍の情報があるため、カラーグレーディング時の微細な階調・色調整に対応できるとする。

圧縮方式では、従来のLong GOPに加え、フレーム単位で圧縮し高画質記録を行ないスロー&クイックモードでの撮影時は最大1,200Mbpsの記録ビットレートとなるAll-intra方式や、高効率圧縮コーデックのMPEG-H HEVC/H.265を採用したXAVC HSに対応。高い圧縮効率により、同じファイルサイズの場合、従来よりも高画質に記録できる。

画質面では、映像制作用CineAltaカメラ「VENICE」で培った画作りのS-Cinetoneを搭載。人肌の中間色の表現力を高め、色あいはよりソフトに、ハイライトの描写は被写体を美しく際立たせる自然なトーンで撮影できる。S-Log3/S-Gamut3にも対応し、ポストプロダクション時の業務用カメラとの高い親和性を実現。S-Log3設定時には、15+ストップの広いダイナミックレンジで、諧調豊かな映像を撮影できる。

撮影中の温度上昇を抑制するため、イメージセンサーから画像処理エンジン、各種回路設計すべてにおいて細やかな制御を行ない、低消費電力を実現。カメラの内部構造やパーツを新たに設計し、イメージセンサーや画像処理エンジンの駆動に伴う熱を効果的に分散し放熱させることで、約30分の8K/30p動画記録を可能にしている。

高精度な手ブレ補正ユニットとジャイロセンサーを搭載し、手ブレ補正アルゴリズムの最適化することで、5.5段の補正効果を実現。有効約5,010万画素の高解像性能を最大限引き出せるとする。

動画撮影時には、光学式5軸手ブレ補正アクティブモードにより、手持ち撮影を強力にサポート。ポストプロダクション時にPCアプリケーション「Catalyst Browse」または「Catalyst Prepare」を使うと、撮影時の手ブレ補正メタデータを利用した高精度な手ブレ補正機能も使える。

IEEE 802.11ac規格準拠の5GHz帯に加え、複数のアンテナで通信品質を向上させるMIMOにも対応。α9 II比で高速通信性能が2倍以上向上し、業界最速の転送速度を実現。

FTP転送機能(無線LAN、USBテザリング、有線LAN)が動画ファイルにも対応。Wi-Fi 11ac 2x2 MIMOとマルチスレッドの採用により、ワイヤレス転送時はα9 II比約3.5倍のデータ量の同時転送が可能。

PCリモート撮影や画像バックアップが可能な、SuperSpeed 10 Gbps(USB 3.2)対応のUSB Type-C端子も備える。

USBテザリングに対応し、同時発表されたスマートフォン「Xperia PRO」などの5Gミリ波帯対応デバイスと本機をUSB接続すれば、5G通信を活用した高速かつ安定したFTPファイル転送も可能。

非圧縮RAWと同等の画質を保ったままファイルサイズが削減できるロスレス圧縮RAWに新たに対応。より滑らかに階調を再現する10bit記録の静止画記録フォーマットHEIF(High Efficiency Image Format)にも対応する。JPEGおよびHEIF形式での記録において、画質設定として「標準」よりファイルサイズを優先する「ライト」を新たに追加している。

次世代記録メディアのCFexpress Type AカードとSDXC/SDHCカード両方に対応したスロットを2基搭載。トップカバーやフロントカバー、内部フレーム、リアカバーなどに軽量かつ剛性の高いマグネシウム合金を使用するなど、堅牢性も確保している。フィールドでの使用を想定し、強化したセンサークリーニング機能と防塵防滴に配慮した設計も採用。イメージセンサー上のホコリ除去性能を向上したアンチダストシステムと電源オフ時のシャッタークローズ機能に対応。約50万回の高耐久メカシャッターを搭載する。

高容量のZバッテリーに加え、バッテリー2個を搭載可能な縦位置グリップ「VG-C4EM」も用意。USB Power Delivery対応による給電および高速充電も可能。外形寸法は約128.9×96.9×80.8mmで、本体のみの重量は約652g。