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FIIO、AKMセパレートDACとディスクリートアンプで“DAC内蔵ヘッドフォンアンプの可能性追求”「K17」
2025年3月21日 10:00
エミライは、FIIOの新製品としてハイエンドデスクトップDACとヘッドフォンアンプの新たな可能性を追求しつつ、レトロ風のデザインも特徴のUSB DAC内蔵ヘッドフォンアンプ「K17」を3月28日に発売する。価格はオープンで、市場想定価格は165,000円前後。カラーはブラックとシルバーを用意する。
K9 Proシリーズの後継機。ヘッドフォンアンプ部分はフルディスクリート・アンプ回路を採用。オペアンプとトランジスタ電流増幅設計を組み合わせたもので、オン・セミコンダクターの定番トランジスタ「MJE243/253」のペアを搭載。低インピーダンス出力で大電流を生成できる。
その結果、バランスモードで最大4,000mWの出力を実現。「K9 Pro ESS」のほぼ2倍の出力が得られる。これにより、「様々な種類のヘッドフォンやIEMを簡単に駆動することができ、滑らかで心地よい自然なサウンドを生み出せる」とのこと。
DACは、AKMのフラッグシップ・セパレートDACシステム「AK4191EQ+AK4499EX×2」を搭載。2基のAK4499EXはそれぞれ左右のチャンネルを担当し、LPFを8chから4chへまとめる事により、コモンモードノイズを低減。分離とダイナミクスを向上させた。
デジタル/アナログ完全分離構造の新設計技術に基づき、新開発の “DWA ROUTING技術”を取り入れることで、バックグラウンドノイズをさらにクリーンにし、解像度を向上させている。
DACからI/V変換、ローパスフィルター、ヘッドフォンアンプに至るまで、オーディオ回路全体は完全バランス設計。広いダイナミックレンジとクロストークの大幅な低減を両立したという。
I/V変換段やLPF段を含むオーディオ回路の各部には、複数の低ノイズ精密オペアンプ「OPA1612」を使用。内部電源部、デジタル部、アナログ部の各セクションは、相互の干渉を避けるため全て物理的に分離された回路基板上に配置している。
電源部分には、カスタマイズされた高品質の低ノイズトランス電源を使用し、電源の純度を確保。5個の4700μF大容量電解コンデンサにより、安定した電力を供給できる。
デジタル電源とアナログ電源は分離し、回路間の相互干渉を回避。アナログオーディオ回路には多段電源を採用し、デジタル・アナログ変換、LPF、トランジスタなど、多くのステージに専用の電源制御回路を搭載。2次電圧レギュレータには超低ノイズ、高PSRR(リップル除去率)のハイエンドLDO 「TPA7A47/7A33」を採用し、安定したピュアな電源を継続的に供給している。
クロックには、ACCUSILICON製の超低位相雑音クロックジェネレーターを採用。AS318-L(45.1584MHz、49.1520MHz)、AS318-Pro(24.576MHz)を含む3基を搭載し、位相ノイズの影響を大幅に低減させている。
ニチコン製オーディオ専用コンデンサーや、ELNA製MILIC IIコンデンサー、パナソニック製フィルムコンデンサーなど、高品質なパーツも多数採用。内部基板間を伝送するオーディオケーブルには銀メッキ無酸素銅線を使っている。
高性能DSPチップにより、オーディオ信号の忠実度が高いパラメトリックEQが可能
64bitの倍精度浮動小数点演算が可能なCEVA製のDSPチップ「M21586Q」を搭載しており、360MHzの高いクロック周波数で動作。高性能なADC「ES9821Q」と、特別にカスタマイズされた超低位相ノイズのフェムト・クロックによって補完されている。
これら3つのコンポーネントにより、ユーザーはすべてのモードで31バンドの高精度ロスレスPEQ(パラメトリックEQ)を利用可能。「PEQ処理後もオーディオ信号の忠実度が高いことを保証するように設計されている」という。
パラメトリックEQはダイナミックレンジ・コンプレッション(DRC)、ダイナミックレンジ・エクスパンション(DRE)、リミッター、コンプレッサー調整機能も搭載。DEL(デュアル・エンジン・リミッター)テクノロジーと独自のアルゴリズムにより、PCM 44.1kHz~96kHzの信号をサンプルレート変換することなくPEQ処理できる。
加えて非常に精密なオーディオパラメーターの調整が可能で、ゲインレンジは+12~-24dB、Q値レンジは0.4~128といった調整が可能。ヘッドフォンの周波数応答曲線をシミュレート、または調整できるだけでなく、エクスポート、インポート、共有、保存も可能。簡単にPEQチューニングを再現できる(PEQはアナログ出力に対して有効)。
また、DSPチップは堅牢な出力保護機能を備え、ヘッドフォンやその他の接続されたオーディオ機器を安全に保護するとのこと。
ローカル再生機能として、外付けUSBフラッシュドライブやポータブルHDDからの再生も可能。なお、USB-Aポートの最大電流出力は500mAで、USBフラッシュメモリを使用するには十分だが、 ポータブルHDDを接続する場合はそのドライブ用の電源を別途接続する必要がある。
入力端子は、RCA、4.4mmバランス、光デジタル、同軸デジタルを各1系統装備。USB入力も備え、PCM 768kHz/32bit、 DSD 512、MQAフル・デコードに対応。AirPlayによるストリーミング再生や、Bluetooth受信も可能。コーデックはSBC/AAC/aptX/aptX LL/aptX HD/aptX Adaptive/LDACコーデックをサポートする。
LAN端子はギガビット速度に対応。AP6256 Wi-Fiモジュールは2.4Gおよび5Gワイヤレスネットワークをサポートし、ロスレスオーディオでも安定して伝送可能という。
ヘッドフォン出力は、4.4mmバランス、XLRバランス、3.5mmアンバランスを装備。その他の出力端子は、RCA、XLRバランス、光デジタル、同軸デジタルを備えている。
デザイン面では、「レトロなエレガンスとモダンなイノベーションを融合させた」としており、コントロールを容易にするために複数の操作ノブを配置。放熱を早めるためにグリッド構造を採用している。
カスタム仕様の3.93インチLCDスクリーンは、タッチ操作で様々な設定を素早く調整できる。5つの独立したコントロールノブを備え、スタンバイに入るにはノブを1回押すだけ。 また、ノブでボリュームやゲイン出力などを素早く簡単に調整できるという。
赤外線リモコンが付属。離れた位置から動作モードの切り替え、EQ設定の選択、音量の調整などができる。
最大ヘッドフォン出力は、バランス4,000mW (32Ω,THD+N<1%)、バランス950mW (300Ω,THD+N<1%)、アンバランス1,850mW (32Ω,THD+N<1%)、アンバランス240mW (300Ω,THD+N<1%)。
外形寸法は約244.6×213×66.8mmで、重量は約2,750g。