小寺信良の週刊 Electric Zooma!
第1219回

送信機付きで5万円以下“高コスパ”なノーマルドローン「DJI Lito 1」を試す
2026年5月20日 08:00
DJIのドローンに新シリーズ登場
ジンバルカメラからポータブル電源、ロボット掃除機まで、今やドローン以外でもドカドカ新製品が出てくるDJIだが、祖業のドローンでも今年新シリーズが登場した。
4月23日に発売開始したエントリー「Lito」シリーズは2つのモデルを用意。「DJI Lito 1」はドローンとしての標準的な機能を備えつつ、価格を抑えたモデル。例によってアクセサリ類を同梱したコンボもあるが、機体とコントローラだけのベーシックなセットは47,570円。
もうひとつの「DJI Lito X1」は、Lito 1をベースにカメラをアップデートしたモデル。内蔵メモリー42GB、前方のみLiDARを搭載し、ベーシックなセットで54,450円。
今回は最もベーシックな「DJI Lito 1」をお借りすることができた。いつもの筆者所有の山林でフライトしてみたい。
シンプルながら綺麗なボディ
DJIの小型機ということでは、本体のみのプログラム撮影やハンドジェスチャーで自撮りができる「DJI Flip」や「DJI NEO 2」といったシリーズもある。これらは専用コントローラを用意すれば一般的なドローンとしても飛ばせるが、コントローラありのコンボだと6万円を超えてくる。
一方Litoシリーズは、本体のみで自動撮影はできないノーマルドローンだが、コントローラまでついて5万円前後という価格設定だ。小型といってもDJI FlipやDJI NEO 2程小さくはないので、撮影の安定性も期待できる。個人的な観点では、これぐらいのサイズで「カラスに舐められない」のは大きいんじゃないかと思う。
まずサイズだが、プロペラを除いた展開時で183×251×79mm(長さ×幅×高さ)となっている。折り畳み時は149×94×62mmで、標準重量は約249g。
機体の上下にビジョンセンサーがあり、これで360度全域の障害物を検知する。また底部には距離センサーを備えるというシンプルな構造だ。正面の両眼に相当する部分は、素通しで何もない。上位モデルのX1はここにLiDARが搭載されるわけだ。
プロペラは上位モデルのように捻るだけで簡単に交換できる機構ではなく、ねじ留めである。フライトの際は付属のドライバーも忘れないように持っていく必要がある。
センサーは有効画素数48MPの1/2インチCMOS、レンズは35mm判換算26.2mm/F1.8の単焦点となっている。
センサーのアスペクト比は公開されていないが、静止画の最大撮影画素数が8,000×6,000ピクセルであることから察すると、4:3だろうと思われる(ちなみに上位モデルLito X1は1/1.3インチCMOS搭載)。
弱点といえば最近接距離が4mからとなっており、あまり接近での撮影はできないところだ。風景を撮るなら問題ないが、人物を撮るなら4mはまあまあ離れた距離になる。このあたりは1mまで近接できるX1のほうが有利と言える。
動画撮影フォーマットとしては、H.265およびH.264に対応するが、4K撮影とハイスピード撮影はH.265に限られる。またD-Log M撮影は、上位モデルのX1は可能だが、Lito 1はできない。以下に表組みでまとめておく。
| コーデック | 解像度 | フレームレート |
| H.265 | 3,840×2,160 | 24/25/30/48/50/60/100fps |
| 1,920×1,080 | 24/25/30/48/50/60/100fps | |
| 2.7K縦向き撮影 | 1,512×2,688 | 24/25/30/48/50/60fps |
| H.264 | 1,920×1,080 | 24/25/30/48/50/60fps |
| 2.7K縦向き撮影 | 1,512×2,688 | 24/25/30/48/50/60fps |
縦向き撮影は以前、カメラごと90度ローテーションさせて撮影できるドローンもあったが、縦動画で4K解像度はあまりニーズがないということなのか、昨今はセンサークロップで対応するようになっている。Lito 1も同様だ。
コントローラはDJI RC-N3が付属する。スマホを接続してディスプレイ代わりにするタイプだ。そのほか本体バッテリーが1つ、予備のプロペラが1セット、交換用ドライバが付属する。本体のみのセットにはキャリングケースは付属しない。
ノーマルゆえに厳選された機能
では早速フライトしてみよう。カメラは単焦点だが、デジタルズームで2倍、3倍の撮影が可能になっている。ただし画質的にはそれほど良くないので、撮影というよりはモニターで確認といった用途になるだろう。
本機は特にVlogやセルフィ撮影に特化したモデルではないが、トラッキングが使える。トラッキングモードはアクティブトラック、スポットライト、POIの3つだ。
まずスポットライトを試してみたが、概ね良好に動作するものの、近接距離が4mなので、被写体があまり近づきすぎるとターゲットをロストしてしまうことがあった。このあたりは本機の弱点として気をつけたいところ。
アクティブトラックは、対象が後ろを向いていても問題なく追従できる。また正面から撮影する場合は、ドローンは後ろ向きに飛ぶことになるが、障害物検知も正確だ。間に障害物が入ってもトラック対象を見失うことはない。このあたりは上位モデルのアルゴリズムがそのまま入っていると思われる。
空撮も試してみた。フライト日は風もあまりない穏やかな日だったので、安定した撮影ができた。
今回の撮影では、筆者所有の山林の一部で樹木伐採を行なうということで、事業者立ち会いのもと、上空から境界の位置や倒木の状態を確認した。ここは道路沿いではあるが、山の中に道があるわけではないので、それなりの装備がないと地上から分け入って目視で確認することは難しい。事業者は実際に立ち入って目視確認しているが、地権者としては上空から状況を確認したというわけだ。
またいつもの山林では、明治時代の地図で池があったとされる場所を探してみた。現在は池の存在は確認できないが、おそらくこのあたりが池ではなかったかという場所を確認した。この池があった場所から下流の水の流れが「水路」として登記されており、利用もされているので、一応隣接の地権者としてはそこに崩落や倒木がないか、あるいは不法投棄がないかを時折は見ておかなければならない。
Lito 1は、スポーティに飛び回るだけでなく、コントローラの微妙な動きにもリニアに反応できるので、静止したりゆっくり移動して状況確認するといった用途にも十分対応できる。レベル5(10.7m/s)の風圧に耐えるので、風が強い日も安定したフライトができるだろう。
付属の軽量バッテリーでも、36分のフライト時間が確保できる。今回は移動中に継ぎ足し充電したため、バッテリー1本でもおよそ50分程度のフライトができた。大容量のPlusバッテリーなら52分飛べるので、ゆっくり見回りしても十分なフライト時間が確保できる。
静止画撮影の見どころは、パノラマモードである。スフィア、180度、広角、垂直の4モードが使える。静止画は分割して撮影されるが、フライトアプリDJI Flyの中でステッチングして書き出すことができる。その際に撮影データや緯度経度情報も書き出せるので、場所情報が重要になる撮影でも対応できる。
総論
いわゆる汎用のドローンとしてシンプルな機能に絞り、価格を大幅に下げたというのが、Litoシリーズということだろう。中でもLito 1はコントローラまで含めて5万円を切る価格は、なかなかインパクトがある。
上位モデル「DJI Lito X1」と違いLiDAR非搭載、カメラの近接距離が4mからというスペックからわかるように、狭い場所や込み入ったところをフライトするのではなく、障害物の少ない開けた場所で空撮するような用途に向く。以前ならそうしたシンプルな用途であっても、10万円程度の機体を使わざるを得なかったが、それが半額で実現できるというわけだ。
ただあと7,000円出せばLito X1が買えてしまうのも事実である。10台単位で大量に導入するなら7,000円差は効いてくるだろうが、個人で買うなら頑張ってX1を買ったほうが安心感は高いだろう。
筆者のように所有の山林の見回りに使いたいといった用途にはLito 1でも十分対応できる。見回りだけでは利益は生まないので、少しでも安いほうが助かる。
低価格の割には機体もスマートで、不格好な部分もない。この価格でも、競合がなくても品質を落としてこないあたり、さすが「天下のDJI」というところである。













