パナソニック、第3四半期は黒字転換。AVC事業は減益

-3Dで将来の収益強化へ。三洋子会社化で業績見通し修正


パナソニックの上野山実取締役

2月5日発表


 パナソニックは、2009年度第3四半期連結決算を発表した。

 9カ月累計(2009年4~12月)の売上高は前年比16%減の5兆2,199億円、営業利益は49%減の546億円、税引前損益は62%減の1,442億円、当期純損益は前年同期の654億円から、マイナス146億円の赤字となった。

 また、第3四半期単独の業績は、売上高は前年並の1兆8,866億円、営業利益は283%増の1,010億円、税引前損益は前年同期の591億円の赤字から、811億円の黒字に転換。当期純損益は前年同期の631億円の赤字から、323億円の黒字に転換した。

 パナソニックの上野山実取締役は、「第3四半期単独は増収増益、累計営業利益では、年間公表値を上回った。経営体質の強化により、収益は着実に回復している」とした。

第3四半期連結決算概要。右は9カ月累計経営体質強化の進捗状況

デジタルAVCネットワークの業績

 2009年度第3四半期累計のセグメント別の業績は、デジタルAVCネットワークの売上高が、前年同期比15%減の2兆5,782億円、営業利益が46%減の529億円となった。

 「第3四半期累計では、情報・通信機器が前年比20%減と、主にパソコンやアビオニクスなどのBtoBビジネスが減収となった。だが、3カ月単独では映像・音響機器に加えて、カーエレクトロニクスが2桁の増収となった」という。

 デジタルAVCネットワークの主要ドメイン別では、AVCネットワークス社の売上高が17%減の1兆3,285億円、営業損失が453億円悪化し、328億円の赤字。パナソニックモバイルコミュニケーションズの売上高は22%減の2,296億円、営業利益が64%減の101億円となった。

 9カ月累計のプラズマテレビの出荷実績は前年同期比18%増の539万台、液晶テレビは50%増の551万台。薄型テレビ全体で32%増の1,091万台となった。また、テレビの販売金額は、9カ月累計で前年同期比4%減の8,070億円。そのうち、プラズマテレビが9%減の4,421億円、液晶テレビが8%増の3,084億円となった。

 テレビの黒字化については、「第1四半期から、期を追うごとに改善が進んでいる。第4四半期は2010年モデルの生産も入り、赤字幅は2桁(億円)にまで収まってきている。いつ黒字化するかは、時期は明確にはできないが、2010年度からの新たな中期経営計画のなかで、より具体的な話ができる」とする一方、「正直なところ、売価の下落にコストダウンが追いついていない。いま一度、生産拠点の位置づけを見直す必要がある。海外生産によりシフトしていくだけでなく、海外でも拠点を集中化して生産する。モジュール生産は、タイとマレーシアに集中し、実装基板はアジアに集中している。社内生産から、ODMに移行していくということも検討していきたい。また、材料のコストダウンは年率30%ぐらいを前提として、引き続き推進していかなくてはならない。さらに、設備投資抑制の方向で進めており、これらの取り組みを通じて黒字化を早く進めていく」とした。

 パナソニックでは、今年春から本格稼働するプラズマパネルを生産する尼崎の国内PDP第5工場と、今年7月から稼働する液晶パネル生産のIPSアルファ姫路工場の投資で4,450億円を計画。2009年度中に3,000億円の投資を完了する計画。残りの1,500億円の投資に関しては、2012年度までに投資する予定だが、「そのほとんどが2010年度中になり、投資としては2010年度でほぼ打ち止めになる」としたほか、「2010年度は、新工場の稼働が、償却という形で負担が効いてくることになる。それを踏まえた改善への取り組みが必要。さらに、これまでは薄型テレビへの投資が中心だったが、今後は環境、エネルギー分野への投資が増える。三洋電機の子会社化により、太陽電池などの成長分野への投資が増えていくことになる」などとした。


AVC/PMCの概況

 一方、3Dテレビについては、「まだ価格そのものが決定していない。収益に貢献するには、もう少し時間がかかる。3Dテレビの販売開始によって、テレビだけでなく、デジタルカメラやBDレコーダ、オーサリングシステムなどの周辺の装置にも波及し、収益を高めることができると考えている」とした。

 デジタルカメラは、7%減の1,647億円。BD/DVDレコーダは2%増の1,122億円、そのうち、BDレコーダおよびBDプレーヤーは41%増の837億円。ビデオムービーは24%減の483億円となった。

 なお、電子書籍については、「一度、撤退した経緯がある。いまのところ、知る範囲では予定は聞いていない」とした。

 アプライアンスの売上高は12%減の8,566億円、営業利益が8%減の597億円。デバイスの売上高は20%減の7,568億円、営業利益が61%減の212億円。電工・パナホームは売上高が13%減の1兆1,844億円、営業利益が53%減の216億円。その他事業の売上高は17%減の6,777億円、営業利益は71%減の83億円となった。


アプライアンス電工・パナホームデバイス

 

グローバルでの地域別販売概況

 なお、2009年度上期の地域別売上高は、日本が11%減の2兆7,809億円、米州が12%減の6,750億円、欧州が18%減の5,819億円、中国が16%減の5,629億円、アジアが5%減の6,192億円となった。

 「とくに、日本におけるコンシューマ事業が好調であり、なかでも、薄型テレビ、デジタルカメラ、BDレコーダーが大きく伸びている」という。

 また、同社では、2009年度の業績見通しを修正した。

 売上高は3,500億円増の7兆3,500億円、営業利益は300億円増加の1,500億円、税引前損益のマイナス400億円、および当期純損益のマイナス1,400億円は据え置いた。

 修正の理由については、三洋電機を連結子会社化したことで、三洋電機の第4四半期の業績および連結化の影響を加味したとしている。

年間連結決算見通し。右は三洋の連結の影響を示したもの


(2010年 2月 5日)

[Reported by 大河原克行]